ライカに聞く「Leitz Phone 2」(前編):初代モデルは想定よりも早く完売、シャープとの取り組みで得たもの(2/2 ページ)

» 2022年12月20日 11時00分 公開
[石井徹ITmedia]
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ロゴが「Leica」から「Leitz」に変わった理由

―― シャープの開発チームからは「Leicaからのダメ出しがなかなか厳しく、大変だ」という感想をよく聞きます。一方で、シャープ製品のカメラ品質はLeica監修後に上がっているようにも見受けられます。共同で製品開発に取り組む立場として、シャープについて思うところはありますか。

エシュバイラー氏 私たちのいない所で、シャープの人達がそのようなことを言っているのかと知るのは面白いことです。一方でこの協業は、お互いにとって非常に有益な取り組みだと考えています。Leica自身も、シャープのエンジニアから学ぶことがたくさんありました。

 また、Leicaは日本の企業とのパートナーシップを20年に渡って続けてきました。パナソニックとは2000年から提携関係にあり、クラシックカメラの分野で協業しています。その経験からも、ドイツと日本の文化は非常に近しい点があると思います。製品開発の過程においては、ベストな製品をお届けするために、時にはタフな交渉が生じることもあります。シャープさんはそれを受け止めてくれました。

―― ロゴについて。2021年のAQUOS R6とLeitz Phone 1では、「Leica」ロゴが刻印されていたが2022年のAQUOS R7とLeitz Phone 2では、ロゴが「Leitz」に変更されています。一方で、2022年に海外で発表されたXiaomi 12S Ultraは「Leica」のロゴを使い続けているようです。どのような判断があったのでしょうか。

エシュバイラー氏 「Leitz」という言葉は、Leicaが初めて世に送り出したカメラの通称「Leitz Camera」に由来しています。私たちLeicaは、スマートフォンの写真体験の追求を通して、ブランドの歴史と会社の伝統を再発掘したいと考えています。そのため、AQUOS R7とLeitz Phone 2では「Leitz」ロゴをシンボルにしました。

 一方で、Xiaomiが7月に海外で発表した「Xiaomi 12S Ultra」は、Leicaによる画質監修を受けており、本体には「LEICA」のロゴが印刷されています。こちらはXiaomi側の要望もあり、消費者向けにもLEICAで統一するという判断があったと聞いています。

Xiaomi 12S Ultra 「Xiaomi 12S Ultra」。Leicaが画質監修を担当している

多くのソフトウェアエンジニアが従事している

―― ライカカメラでは、どのような体制でスマートフォン向け事業に取り組んでいますか。

エシュバイラー氏 Leicaのスマートフォン向けのビジネスは2015〜16年に発足しました。最初の製品は「HUAWEI P9」で、ライカは画質監修の立場で関わりました。以来、事業は順調に成長を続け、2021年末には社内の専門部署としてビジネスモバイルユニットが設立されました。

 写真撮影は、現代のスマートフォンに欠かせない機能となっています。特にハイエンドモデルでは、メーカー各社が製品を差別化のためにカメラ機能を強化しています。光学技術を専門とするLeicaにとって、これは大きなチャンスだと捉えています。Leicaの品質と撮影体験をスマートフォンという新しい分野にもたらすことこそが、私たちビジネスモバイルユニットの使命です。

 ビジネスモバイルユニットは、3つの機能を備えています。1つは製品管理部門で、Leitz Phone 2のような製品の企画・監修を行っています。2つ目はモバイルソフトウェア開発・エンジニアリング部門で、ビジネスモバイルユニットの中でも最大の部門です。3つ目の組織がマーケティング&セールス部門。これは比較的小さな組織です。ビジネスモバイルユニットに関わるスタッフの85%はエンジニアが占めています。

―― エンジニアリング部門はどのような業務を担当しているのでしょうか。

エシュバイラー氏 いわゆるR&D部門で、レンズの計測などの光学設計に携わる分野、チップセットとイメージセンサーにおけるイメージ信号処理に携わる分野、最終的な画質の調整などに携わる分野、そしてLeitz Phoneシリーズなどのソフトウェアを開発する分野の4つに別れています。

 Leicaにとっての大きな課題は、研究開発能力の底上げでした。スマートフォンが主流になるにつれて、そのカメラでは異なる技術的にアプローチを取る必要が生じてきます。

 大きなレンズと大きなイメージセンサーを備えていれば高品質な写真が撮れるクラシックカメラに対して、スマートフォンでの写真撮影では、コンピュテーショナルフォトグラフィーが画質に与える影響が非常に大きいためです。こうした分野に取り組み、スマートフォンでも最高の写真体験を提供するために、Leicaでは多くのソフトウェアエンジニアから成る、国際色豊かなチームを結成しました。

―― コンピュテーショナルフォトグラフィーの分野は、AppleやGoogleのようなIT企業が先行している印象があります。Leicaがビジネスモバイルユニットを設立する際に、ソフトウェアエンジニアをどのように集めてきたのでしょうか。

エシュバイラー氏 文字通り、一から作り上げる必要がありました。スマートフォンにおけるLeicaの歴史は、今から7〜8年前に始まります。2016年にLeica監修の最初のスマートフォンとなるHUAWEI P9を世に送り出したときから、コンピュテーショナルフォトグラフィーへの挑戦が始まりました。

 ソフトウェアエンジニアの人材獲得も、その時点からスタートしました。大学でコンピュータサイエンスを学んだ人達を採用したり、海外からの人材獲得も熱心に行いました。ドイツ出身のエンジニアは、特に画像工学や画像信号処理技術の分野の逸材がそろっています。

 さらに、Leicaはドイツの企業ですが、このビジネスモバイルユニットでは米国や中国の人材も採用しており、非常に国際色豊かな組織になっています。アメリカの西海岸にソフトウェア開発部門を構えており、ドイツでは獲得できないような人材を集めることができました。

(後編に続く)

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