新フラグシップ「Galaxy S23 Ultra」を試す 2億画素カメラや特注チップの実力を徹底検証(2/3 ページ)

» 2023年02月22日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]

ハード、ソフト両面から進化したカメラ機能、夜景は驚くほどきれい

 次にチェックしたのが、カメラだ。まずは、超広角、広角、3倍望遠、10倍望遠のそれぞれで風景を撮ってみた。空の青さがパッキリと出ているのは、補正の効果だろう。3倍望遠や10倍望遠は、広角カメラと比較するとセンサーサイズが小さく、レンズもF2.4、F4.9と暗くなっていくが、日中の風景写真を撮るには十分な性能。カメラ自体を切り替える光学望遠のため、10倍で撮ってもデジタルズーム特有の画質劣化は見られない。

Galaxy S23 超広角から10倍望遠まで、4つのカメラを搭載。メインカメラは2億画素になった
Galaxy S23
Galaxy S23
Galaxy S23
Galaxy S23 上から超広角、広角、3倍望遠、10倍望遠で撮った写真。空の青さが際立っているのは、補正効果が高いからだ

 これまでのUltraが付くGalaxyと同様、Galaxy S23 Ultraも最大で100倍までズームすることが可能だ。10倍望遠の写真をさらに10倍デジタルズームで引き伸ばすため、画質は当然劣化してしまうが、Galaxy S23 UltraはAIによる補正を強化したという。その結果は、次の通り。看板や横断幕に印刷されたような文字は非常にクッキリしており、壁のれんがの質感もかなり再現されている。劣化具合が少なく、10倍ものデジタルズームをかけたとは思えないほどだ。

Galaxy S23 上記のシチュエーションで100倍までズームした写真。横断幕の文字がクッキリ写っている
Galaxy S23 建物のれんがも、かなり質感が残っている。10倍ぶんもデジタルズームをかけたとは思えないほどだ

 一方で、何を撮るかでも結果は変わってくる。以下の基地局を撮った写真は、背景に樹木が写り込んでいるが、かなり描写が怪しい。恐らくこれは、AIが被写体をきちんと判別できず、補正をしきれなかったのだろう。ユーザーが100倍ズームで撮るであろうものはキレイに写るが、その想定から外れてしまうとやや残念な結果になるというわけだ。とはいえ、上記のように被写体次第ではかなり“実用的”な写真に仕上がるインパクトは大きい。

Galaxy S23 100倍にした際の構図が複雑だと、AIの補正が追い付かないためか、描写が甘くなる

 次に試したのが、メインの2億画素カメラだ。といっても、通常は16のピクセルを1つに束ねることで、サイズは1200万画素相当になる。2億画素をそのまま使いたいときや、5000万画素モードで撮りたいときには、アスペクト比の設定メニューを呼び出す必要がある。以下は、それぞれの解像度で撮った料理の写真。サムネイルだと違いは分かりづらいが、拡大しても仕上がりの差は少ない。2億画素モードだとピクセルサイズはかなり小さくなるはずだが、健闘しているといえる。

Galaxy S23 1200万画素モードで撮った写真がなぜか一番暗目に
Galaxy S23 こちらは5000万画素モード
Galaxy S23 2億画素で撮影。ノイズなどの差は思ったより少なかった

 拡大してみたときの精細感には大きな差分がある。上記の写真の一部を切り取ってみると、その差は歴然。ただし、ピントの当たる範囲が狭いこともあり、どこを拡大してもそのまま使えるというわけではない。2億画素モードで撮った写真は画像のサイズが約16MBと大きくなってしまう上に、連写も効かなくなるため、使いどころは限られてくる。どちらかといえば、1200万画素で撮り、光を多く取り込んだ方がいいだろう。

Galaxy S23 1200万画素として撮った写真の中央部分を切り出したもの。解像感は大きく失われている
Galaxy S23 2億画素で同じ部分を切り出すと、ネギ1つ1つがシャキッと写っている

 このセンサーや画像処理の改善が生きてくるのが、先に挙げたナイトグラフィー、つまり夜景撮影だ。以下は、渋谷の街を背景撮ったモデルの写真。通常だと、ネオンはしっかり写っている一方で人肌は暗くなってしまいがちだが、Galaxy S23 Ultraのナイトモードで撮った写真は、どちらも明るく撮れている。ナイトモードを解除すると、背景のモニターなど、明るさの強い部分は白飛びしてしまうが、それでも被写体と背景がバランスよく映し出され、ノイズも少ない。プロモードで撮った無加工の写真と比べてみると、違いが分かりやすいだろう。

Galaxy S23 ナイトモードで撮った写真。背景がつややかで、人肌も暗い割にはキレイに出ている(モデル:竹森みずほさん)
Galaxy S23 HDRも強力で、通常なら白飛びしてしまうような看板までしっかり文字が読めるレベルで写る
Galaxy S23
Galaxy S23
Galaxy S23 上からナイトモード、通常モード、プロモードで撮った写真。下の写真ほど合成感は薄まる。逆にいえば、これだけの処理を端末内で瞬時にかけているということだ

 作例を見ると、ISP(Image Signal Processor)の処理がかなり効いている印象だ。実際、写真を撮った直後に表示すると、背景が白飛びしたやや暗目の映像が表示されるが、そこからわずかな時間で写真が処理され、上記のように人物と背景、どちらも際立った仕上がりになる。一言でいえば、PhotoshopやLightroomで行うような処理を、自動でスマートフォンがやっているようなものだ。デジカメで撮った暗さが残る写真を見慣れていると不自然に見えてしまう可能性もあるが、これはこれで“映える”写真といえる。その他の作例も掲載するので、仕上がりをチェックしてみてほしい。

Galaxy S23Galaxy S23 撮った直後にギャラリーを開くと、合成前の写真が表示され、徐々に背景が浮かび上がってくる

Galaxy S23
Galaxy S23 暗所でポートレートモードを使っても、自然なボケが出せる
Galaxy S23
Galaxy S23
Galaxy S23 薄暗いレストランでも、それを感じさせない仕上がりに。AIによる補正も、以前の端末より自然になった印象だ

 写真だけでなく、動画でナイトグラフィーの処理が生きるのも、Galaxy S23 Ultraの魅力だ。この機能が実現したのは、プロセッサの性能が上がり、リアルタイムで被写体を認識しつつ、部分部分に最適な処理をかけられるようになったためだ。手ブレ補正も強力で、暗所、かつ動きながら撮影したとは思えないほど滑らかな動画を撮ることができた。

動画でも夜景に強い。リアルタイムに処理をかけることで、写真に近い仕上がりになっていることが分かる。下の動画は歩きながら撮ったものだが、手ブレが少ない点にも注目。いずれも、4K、30fpsで撮影した

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