「Galaxy S23 Ultra」のカメラ画質が向上した秘密 “2億画素”だけではない見どころ(1/2 ページ)

» 2023年02月03日 12時36分 公開
[石野純也ITmedia]

 Galaxy S23シリーズ最大の特徴といえるのが、「Galaxy S23 Ultra」に搭載されたカメラだ。メインとなる広角カメラに、サムスン初の2億画素センサーを採用。4つの隣接するピクセルを使って、上下左右それぞれの位相差を検出でき、フォーカス速度が上がった他、2段階のピクセルビニングも行える。1200万画素相当の写真として記録することで、暗所での強さも実現。動画、静止画ともに同社が打ち出していた「ナイトグラフィー」を強化している。

Galaxy S23 Ultra 2億画素カメラを採用し、AIをフル活用することで写真のクオリティーを大きく上げたというGalaxy S23 Ultra。S23、S23+も、AIベースの画質向上が実現している

 こうしたカメラの開発をリードしているのが、サムスン電子のビジュアルソリューションチームでEVP(Executive Vice President)を務めるジョシュア・チョ氏だ。同氏によると、2億画素のセンサーは、「明るいときには画素をフルに使うが、明るさが中程度のときは5000万画素、低照度時は1200万画素と使い分けることができる」。ISP(Image Signal Processor)も強化されており、静止画撮影はもちろん、「安定させるのが非常に難しい」動画でも夜間撮影時のノイズを大きく削減できているという。

Galaxy S23 Ultra Galaxyシリーズのカメラ開発を率いるチョ氏が、その実力を解説した
Galaxy S23 Ultra 2億画素のセンサーは16のピクセルを1つに束ね、感度を向上させている。5000万画素、1200万画素と2段階にピクセルビニングできるのが特徴だ

AIで被写体を検出してパーツごとに画質を調整

 撮影した映像はマルチフレームで処理を行っており、AIで被写体を検出。人物の顔全体だけでなく、メガネ、髪の毛といった細かなパーツまで検出し、背景なども含めて明るさや彩度などのチューニングを行っている。実際、Galaxy S23 Ultraで撮影した暗所での写真は、別記事で掲載したように暗所でも人物を明るく描写しつつ、背景も白飛びや黒つぶれがなく、高いクオリティーに仕上がっていた。センサーとAIをはじめとしたソフトウェアの両面で、カメラ機能を大幅に強化したといえる。

Galaxy S23 Ultra 暗所で撮影した人物写真。ノイズが少なく、人も明るく写っているが、背景のネオンは白飛びしていない

光学式手ブレ補正も強化、セルフィーは各国の声を反映

 また、光学式手ブレ補正は「Galaxy S22 Ultra」との比較で、防振角が2倍に上がり、動画撮影時でもより手ブレが起きにくくなっているという。これを利用したアダプティブ手ブレ補正は、撮影時の明るさや動きに応じて、自動で処理を行う。この手ブレ補正と「強化したISPにより、低照度時でも安定した撮影ができ、ノイズも非常に少なくなる」という。

 一方で、「ユーザー自身が設定で、露出やフォーカス、シャープネスを設定したいというニーズがある」ことから、こうした声に応えるべく、Galaxy S22シリーズには新たに「カメラアシスタント」という機能を搭載した。これを使うと、HDRのオン・オフや、画像をソフトにするかどうか、連写スピードなどの設定を変更できる。Galaxyには、手動で撮影を行うプロモードに加え、RAW撮影を行うための「Expert RAW」というアプリもあるが、カメラアシスタントは、より簡易的に好みを反映させるための機能といえるだろう。

Galaxy S23 Ultra
Galaxy S23 Ultra
Galaxy S23 Ultra ユーザーの好みを反映させるための新機能となるカメラアシスタント

 また、Expert RAWで撮影したRAW写真を現像するためのアプリとして、Adobeの「Lightroom」を採用。アプリは、「Galaxy Store」からダウンロードする必要があるが、撮影後にプレビューを表示したあと、ワンタッチでLightroomを呼び出すことが可能になった。

Galaxy S23 Ultra
Galaxy S23 Ultra Expert RAWをカメラアプリのモードの1つとして呼び出せるようになった他、RAW画像の編集アプリにAdobeのLightroomを採用した

 同様に、セルフィーには世界各国の声を反映させ、スキントーンをナチュラルとウォームの2種類から選択できるようになった。セルフィー撮影用のインカメラも、センサーにデュアルピクセルを採用しており、位相差の検出が可能。AIによる処理で、人物と背景を分離し、正確なボカシをかけることができるという。

Galaxy S23 Ultra セルフィーは、色調をナチュラルとウォーム(暖色)の2種類から選択できる。国や地域で異なるユーザーの嗜好(しこう)を反映させるためだ。ちなみに、韓国ではウォームがデフォルト、それ以外はナチュラルがデフォルトに設定されているという
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