Canalysの2022年通年のスマートフォン出荷台数シェアを改めて見ると、1位Samsungは22%(前年は20%)、2位Appleが19%(同17%)と両社は前年から2%伸ばしている。一方、3位のXiaomiは13%(同14%)とマイナス1%となった。
Xiaomiは2021年第2四半期に前年比83%の急成長を見せ、Appleを抜いて初めてシェア2位に躍り出た。だが、例年第2四半期はAppleが不調の時期であり、しかもその後はiPhoneラインアップを整理統合して着々と出荷台数を高めている。Appleは毎年新製品が登場した後の第4四半期だけ勢いが強く、それ以外の四半期は出荷台数を大きく落としていた。しかし2022年を見ると第1、第2、第3四半期の出荷台数は前年を大きく上回っており、Xiaomiとの差を大きく広げている。
グローバル市場の四半期出荷台数。Appleはもはや通年で高い出荷台数を誇る
2021年8月、Xiaomiの雷軍CEOは向こう3年でスマートフォンシェア1位を目指すと高々に宣言した。しかし世界1位〜2位の中国とインド市場に頼り切った販売構造では市場の急激な変化に耐えられないだろう。一時期、HuaweiがAppleを抜きスマートフォン2位の座を確固たるものにしていたのは、中国以外、先進国も含めたグローバル市場全体で出荷台数を伸ばしたからだ。
幸いなことに、Xiaomiにはライカコラボのカメラフォンや、Redmiシリーズのハイスペックなゲーミングモデルなど高性能・高価格モデルも有している。Xiaomiが世界1位を目指すのであれば、インドでは高価格帯モデルの積極的な展開を進め、グローバルでも中国市場と同時にフラグシップモデル展開を進めるといった販売戦略の見直しが必要になるだろう。
一方、realmeもGTシリーズなどハイエンドモデルのインド展開を本格化させたいところ。realmeはさらに価格を抑えた「narzo」ブランドのスマートフォンやスマートウォッチを展開しているが、その見直しも必要かもしれない。インド市場での成長が各中国メーカーの業績を大きく左右する状況は、まだしばらく続くことになるだろう。
低価格モデル強化で生まれたrealmeのサブブランド「narzo」
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中国のモバイル市場は、ゼロコロナ政策の影響でマイナス成長になったが、023年は行動制限もなくなり国内景気が上向きになると見られている。2022年はXiaomiやOPPOも折りたたみスマートフォンを投入し、2023年はさらにラインアップを増やしそうだ。1型センサーを始めとしたカメラ機能の進化や、ゲーミングのパフォーマンスを打ち出した製品も増えそうだ。
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Xiaomiは他社に先駆けて1億800万画素カメラ搭載モデルを投入するなど、カメラ性能の強化を続けてきた。そのXiaomiがライカと協業したことで、Xiaomiに対するイメージはこれから大きく変わっていくだろう。2億画素カメラを搭載したXiaomi 12T Proは、その画素数が大きなインパクトを与える製品だ。
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中国では11月11日は「1」の数字が並ぶことから、「独身の日」として冬の消費喚起を兼ねた大きな販売競争が繰り広げられる。独身の日に最も売れたスマートフォンは、Xiaomiのミッドレンジ「Redmi K40」だった。一方でメインモデルやハイエンドをそろえる「Mi」「Xiaomi」シリーズが1機種も入っていない。
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- 「折りたたみ、ハイエンドカメラ、カジュアル」 Xiaomiが狙う「スマホ世界シェア2位」
2021年3月26日〜27日にXiaomiが中国・北京で新製品発表会を開催し、スマートフォンのフラグシップモデルやスマート家電、そしてスマートEV(電気自動車)への参入を発表した。今回の発表会での一番の目玉となる製品は折りたたみディスプレイを搭載する「Mi Mix Fold」だ。「スマートフォン市場のリーダーはXiaomi」という印象を全世界にアピールした。
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