イーロン・マスク氏による買収以降、何かと仕様変更が相次いでいるTwitterですが、これまで無料で提供していたTwitter APIのサポートを終了すると発表しました。
開発者でもなければあまりピンと来ないTwitter APIですが、要するにTwitterのデータにアクセスして、それを利用することができるというもの。例えば、Twitter APIを利用することで、外部アプリからTwitterに投稿したり、Twitter上の投稿を検索したり、ダイレクトメッセージを送ったりといったことが可能になります。企業がTwitterを使って行うキャンペーンで、特定のツイートをリツートするとすぐに当落の結果がリプライで送られてくるというものがありますが、こうしたものにもTwitter APIが利用されています。
このTwitter APIには、無料で利用できるものと、より高度なこと(利用できる回数や検索できる期間・ツイート数が多いなど)を行える有料のプランとがあります。マスク氏によると「無料APIは、botによる詐欺師や情報操作に悪用されており、検証プロセスやコストがかからないので、悪事を働く10万個のbotを簡単に立ち上げることができる」とのこと。つまり、無料APIを廃止することで、botを悪用するコストを高め、効果的にbotを排除しようという狙いです。
botを作るというとプログラムの知識などが必要になりそうですが、無料のbot作成サービスも多く「Twitter bot 作り方」などで検索すると、すぐに作り方が見つかります。
マスク氏は以前から悪質なbotの排除を掲げており、今回の対応もその1つと考えられます。ただし、このあおりを受ける形となったのが、悪用しているわけではない通常のbotです。例えば、日本では地震が発生すると素早くTwitterに情報を投稿するbotも複数あります。そのうちの1つ、地震速報(@earthquake_jp)は、アカウントを閉鎖するしかないとツイートしていました。
海外でも、人気のbotが継続できないと訴えており、これに応える形でマスク氏は「良いコンテンツを提供するbotには、軽量な書き込み専用APIを提供する」とツイート。その後、Twitter Devアカウントから、Twitterでのログインを含む、月1500回までは無料でAPIを利用可能と発表されています。
これがマスク氏の言う「軽量な書き込み専用のAPI」なのか、これとは別に用意されるのか、今のところ詳細が明かされておらず、分からないという状況です。なお、先の地震速報はこの発表を受けて継続する方針を示しています。
この発表に合わせ、低レベルAPIとAds API(広告プラットフォームにアクセスするためのAPIで、広告キャンペーンの作成や管理などを行えるというもの)を利用できる月額100ドルのBasicが新設されることも明かされています。また、これまで提供されていたPremium APIは廃止。より上位のEnterpriseに申し込めば、引き続きPremiumで利用していたエンドポイント(機能)を使用できるとのことです。このあたりの詳しい状況も、Twitterからの詳細待ちとなっています。
もう1つ、Twitter APIの有料化で懸念されているのが、アカウント連携で使われるOAuth認証です。WebサービスなどでTwitterアカウントを利用してログインしたり、ゲームのデータ引き継ぎのためにTwitterアカウントを連携させたりすることがありますが、このときに使われるOAuth認証にもTwitter APIが利用されています。
これに関しては、スマートフォンゲーム「ブルーアーカイブ」や「アズールレーン」などを手掛けるYostarが米Twitterに問い合わせを行い、アカウント連携の仕様については影響がないとの回答があったとツイートしています。
ただ、最近のTwitterの対応を見ていると、急に仕様を変更したり、約束を反故(ほご)にしたりということも十分に考えられます。詳細が明らかになるまでは、どちらに転んでもいいように準備をしておくのが安全かもしれません。といっても、一般ユーザーにはTwitter連携をしているサービスを確認するくらいしかできることはないのですが。
当初、Twitter APIの無料提供を2月9日に終了すると発表していましたが、当日になり13日に延期すると発表。13日には再度「数日間延期する」としていました。2月18日には、「プラットフォームの品質とパフォーマンスに集中できるように、今後数週間にわたってロールアウトを段階的に行う」としており、その後は執筆時点(2月24日)でも追加の情報は出てきていません。
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