“携帯電話の基本”が磨き上げられた「iOS 17」 ただし日本語対応には課題も石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2023年06月07日 10時34分 公開
[石野純也ITmedia]

 米Appleは、6月5日(現地時間)にWWDC(世界開発者会議)の基調講演を開催した。2時間にわたる基調講演では、iOS、iPadOS、macOS、watchOSの最新バージョンや複数のMacが発表された。「iOS 17」は携帯電話の基本ともいえる「電話」や「メッセージ」の機能改善が主なトピック。「iOS 14」で導入されたウィジェットも、より多機能になる。ここでは、iPhoneに導入されるiOS 17に焦点を絞り、その進化の方向性を読み解いていきたい。

WWDC23 Apple本社内で開催されたWWDC。基調講演は事前収録の映像を上映したコロナ禍以降のスタイルだったが、冒頭でCEOのティム・クック氏が登壇。集まった開発者に賛辞を送った

基本となるコミュニケーションに立ち返ったiOS 17

 iOS 17のアップデートは、大きく4つの分野に焦点が絞られていた。「コミュニケーション」「共有」「インテリジェントな入力」、そして「新しい体験」だ。コミュニケーションは、携帯電話であるiPhoneの核となる機能。電話や電話帳といったアプリは、長くその姿を大きく変えていなかった。iOS 17は、ここが大きく刷新される。

iOS 17 主な改善点は4つにまとめられるという。中でも大きいのが、スマートフォンの基本といえるコミュニケーションだ

 1つ目のコミュニケーションは、電話やiMessage、FaceTimeといったアプリケーションが中心になる。見た目が大きく変わるのが、連絡先だ。iOS 17では「連絡先ポスター」と呼ばれる、画面いっぱいに写真やイラストを表示したビジュアルを作成できるようになる。電話をかけた際に、相手のiPhoneの画面には、この連絡先ポスターが表示される。日本語では、縦書きのレイアウトにも対応する。

iOS 17
iOS 17 連絡先ポスターで、連絡先のデザインを刷新する。日本語は縦書きにも対応

 ただ、いくら連絡先ポスターを設定しても、相手の電話帳にそれが登録されていなければ、自己満足で終わってしまう。これを相手に受け渡すための仕組みとして用意されたのが、2つ目の「共有」に関する新機能である「NameDrop」だ。

 NameDropは、「エアドロ」という愛称でおなじみの「AirDrop」を拡張した機能。端末同士を近づけてかざすだけで、連絡先ポスターを交換できる。赤外線のポート位置を合わせて連絡先を教え合っていたフィーチャーフォンユーザーには、どこか懐かしさのある所作だが、無線でリッチな情報をやりとりできる点ではしっかり今風にアップデートされている印象。端末同士を近づけるという動作は、ある程度距離が離れていてもよかった従来のAirDropとも異なる。

iOS 17 AirDropで相手との連絡先交換が可能になる。これをNameDropと呼ぶ

 そのAirDropも、やや地味ながら、利便性の高い進化を遂げている。もともとAirDropは、iPhone、iPad、MacをダイレクトにBluetoothとWi-Fiでつなげて、写真や動画などの大容量ファイルをやりとりするためのもの。近い規格にWi-Fiダイレクトがあるが、AirDropはAppleの独自機能で、その使い勝手が評価されている。一方で、共有の途中で端末同士が離れてしまうと、処理は中断される。

iOS 17 送信の途中で接続が途切れてしまっても、ネットワーク経由でファイルを送り続けることが可能になる

 iOS 17では、ここに改善が入り、共有の続きをネット経由で行えるようになる。データ容量を消費してしまう可能性はあるものの、動画など、比較的ファイルサイズの大きなデータを受け渡す際には、共有が終わるのを待っている必要がなくなるのは朗報といえそうだ。

 また、FaceTimeには着信に応答しなかった際に動画でメッセージを残す機能が、iMessageには、「絵文字ステッカー」や「安否確認」が加わる。コミュニケーションに関する機能を総合的にアップデートした格好だ。

iOS 17
iOS 17 FaceTimeで動画メッセージを残す機能や、iMessageの絵文字ステッカーにも対応
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