通信障害で見直される「eSIM」の使い道 知らないと損する“意外な落とし穴”も

» 2023年06月11日 12時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 今や通信サービスの種類は豊富だ。MNOの大容量プランはもちろん、日本通信やpovoなど、毎月ワンコイン以下のサービスもあり、メインをMNOの大容量プラン、サブを小容量プランや段階性プランとして、通信障害などに備えることができる。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクも別のSIMを用意することで、通信障害時に他社回線を利用できるよう、「副回線サービス」を始めた。

 また、5月24日にMNPワンストップ方式が始まり、回線の切り替えが容易になった他、eSIMに対応したサービスや端末も増えつつあり、ニッチだったeSIMの使い道が見直されている。

 いろいろな意味で"手軽"になった通信サービスだが、今から契約や乗り換えをするなら、eSIMでの契約をオススメしたい。ただし、eSIMには知らないと損をする意外な落とし穴も多いので、注意事項を理解した上で活用したい。

eSIMのメリット

 この記事で触れるeSIMは数ミリ四方の埋め込み型のものを指し示しており、物理SIMカードのように差し替えなくても、ネットワーク経由で契約者情報(プロファイル)を書き換えたり、プランを変更したりできるのが特徴だ。iPhone XS以降やGoogle Pixelシリーズ(Pixel 4以降)では埋め込み型のeSIMが採用されている。

 eSIMの申し込みについて"最短即日開通"(場合によっては数日程度かかる)をうたうサービスが多く、オンラインで申し込んでから物理SIMの到着を待たずに通信サービスが使えるようになる点もメリットといえる。また、先のように差し替えによる手間が減り、併用する物理SIMとeSIMの切り替えが簡単だ。

 メイン回線とは別に持つ副回線としてもeSIMは選びやすい。例えば、iPhoneやPixelの他、MNOで販売されている、Galaxy S23シリーズ、Galaxy Z Fold4、Galaxy Z Flip4、Galaxy A54 5G、Xperia 1 V、Xperia 10 V、AQUOS R7、AQUOS sense7、AQUOS R8 pro、AQUOS R8、AQUOS wish3などがeSIMに対応しており、対応製品は増えている。

eSIMを使う上で知らないと損する“意外な落とし穴”

 先述の通り"eSIMの手軽さ"がお分かりいただけたかと思うが、実は使う上で知っておくべき注意点はいくつかある。

 1点目はサポートについて。そもそもeSIMでのサービス契約は契約者自身がオンラインで全ての手続きから後述の設定作業までを済ませなければならない。従って、基本的に対面でのサポートは受けられない。

eSIM 乗り換え 機種変更 基本的にeSIMの設定はユーザー自身で行う必要がある。mineoでは申し込んだ後に送られてくるメールのURLからeSIMの設定(後述)へ進むような流れとなる

 2点目はeSIMのアクティベーションだ。eSIM対応通信サービスの契約手続きを終えた後、実際にeSIMを使えるようにする、アクティベーションと呼ばれる作業が必要になる。アクティベーションが可能な時間帯も通信キャリアやブランドで異なる。

 しかもこのアクティベーションは事業者から発行されたQRコードをカメラで読み取る必要があることから、手続きをする際、eSIMを使う端末とは別にもう1台、インターネットに接続してQRコードを取得するための端末が必要になってくる。つまり、スマートフォン以外のデバイスがなければQRコードを表示して、それをスマートフォンで読み込むことができない。

 【7月11日19時45分追記】なお、QRコードを読み取らず、手動でプロファイルの情報を入力する方法もある。iPhoneの場合、「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」→「QRコードを使用」から「詳細情報を手動で入力する」を選べばよい。

eSIM 乗り換え 機種変更 Y!mobileのページではSIMを利用する機種以外からQRコードへアクセスするように案内されている

 3点目としてAPN(=Access Point Name)構成プロファイルを挙げたい。APN構成プロファイルはiPhone/iPadでMVNOの通信サービスによるモバイルデータ通信を行うための設定ファイルだ。配布はMVNOの公式サイトで行われている。

 注意点として1台のiPhone/iPad端末に1つのAPN構成プロファイルしかインストールできない点を挙げておく。この厄介な仕様により、APN構成プロファイルを必要とする2社分のSIMを併用できないことになり、「メイン回線とサブ回線を使い分ける」といった用途には向かない。

 また、SIMの組み合わせと、設定手順によっては正常に通信しない場合がある。例えば、APN構成プロファイル必須のmineoのeSIMと、ahamo/povo/LINEMOなどのキャリアブランドSIMを組み合わせて使う場合、以下の手順で設定しなければ、どちらのSIMでも通信できない。

1:mineoのAPN構成プロファイルがインストールされている場合は、一旦削除した上で、再度、複数SIMでのご利用方法(iPhone端末)に沿って設定ください。

(注意:mineoをモバイルデータ通信に使用することを選択した上で、mineoのAPN構成プロファイルのインストールを行ってください。APN構成プロファイルは、モバイルデータ通信として使用する方のSIMに紐づけられます。キャリアSIMを使用する方を選択しながら、mineoのAPN構成プロファイルをインストールすると、いずれのSIMも利用不可となってしまいます。)

2:それでもなお利用不可の場合は、モバイルデータ通信がOFFになっていないか、mineoのeSIM単体では動作するかなどをご確認ください。

3:mineoのeSIM単体でも動作しない場合は、有料になりますがeSIMを再発行し、手順1のとおり再設定する必要があります。

eSIM 乗り換え 機種変更 iPhoneでは1台につき1つのAPN構成プロファイルしか入れられない(画像=左)。SIMの組み合わせと、設定手順によっては正常に通信しない場合がある(画像=右)

 4点目として挙げるのは機種変更だ。物理SIMなら基本的に古い端末から新しい端末への差し替え(場合によっては先のAPNも必要)で済むが、端末に内蔵されたeSIMは差し替えることができない点に注意が必要だ。そのため、利用する通信事業者への再発行を申し出て、手続きを行わなければならず、この点においては差し替えで済む物理SIMよりも面倒と感じる。

 iOS 16以降のiPhoneユーザーなら「eSIM クイック転送」を利用し、古い端末から新しい端末への移行を簡単に行える。これは新旧のiPhoneがiCloudまたはBleutoothでつながり、eSIMプロファイルを旧iPhoneから新iPhoneへクイックに移せるというものだ。

eSIM 乗り換え 機種変更 eSIMを旧iPhoneから新iPhoneへ簡単に移行できる「eSIM クイック転送」

 ただ、このeSIM クイック転送は対応する端末とキャリアが限られているし、Android端末では使えない。2023年6月6日9時時点ではNTTドコモ(ドコモ、ahamo)、KDDI(au、UQ mobile、povo)、楽天モバイルでしか使えない。

eSIM 乗り換え 機種変更 eSIM クイック転送対応通信事業者(2023年6月6日9時時点)

 ここまでお伝えしたように、端末で通信できるようにするためにはあらゆる手続きや操作が必要で、特にeSIMについては一定の知識がないと厳しい。この記事でお伝えしたような注意点を理解した上でeSIMをうまく活用するのが望ましい。

【訂正:6月13日23時5分】初出時、eSIM クイック転送について、「2022年10月時点ではNTTドコモ(ドコモ、ahamo)、KDDI(au、UQ mobile、povo)、楽天モバイルでしか使えない」としていましたが、正しくは「2023年6月6日9時時点」です。お詫びして訂正いたします

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月27日 更新
  1. 3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化 (2026年04月25日)
  2. スマホの「残価設定」にメス? 総務省がルール統一を検討も、Appleは「不当な扱い」と猛反発 (2026年04月25日)
  3. 楽天モバイル、ルーター「Rakuten WiFi Pocket 5G」の販売を一時停止 理由は? (2026年04月24日)
  4. ダイソーで1100円の「USB充電器(PD20W)」は、きちんと20Wで充電できるのか? (2026年04月26日)
  5. Xiaomiの前に、中国スマホの“雄”だったMeizu、またしてもピンチ (2026年04月26日)
  6. ダイソーの1100円「シースルーイヤフォン」に一目ぼれ “音質と個体差”に目をつむれば「あり」な選択肢 (2026年04月23日)
  7. 5万〜6万円台で買えるおすすめスマホ7選 ハイエンド級性能、防水+おサイフ対応、カメラ重視など多彩 (2026年04月27日)
  8. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  9. 携帯電話のホッピング問題、「6カ月以内の継続利用を認める」方向で決着か 2026年夏に結論 (2026年04月23日)
  10. 1.72型ディスプレイ搭載スマートバンド「Xiaomi Smart Band 10」、高精度の睡眠モニタリングも可能 (2026年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年