モトローラがあえてスペックダウンした「moto g53j 5G」を投入するワケ moto g52j 5Gとは“全くの別物”(1/2 ページ)

» 2023年06月28日 11時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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 2022年、「moto g52j 5G」でオープンマーケットモデルにおサイフケータイや防水・防塵(じん)といった“日本仕様”を持ちこんだモトローラが、新たな1台を投入する。それが、「moto g53j 5G」「moto g53y 5G」だ。前者は、エントリーモデルに日本仕様を備えた1台で、オープンマーケットで販売する。これに対し、後者はソフトバンクのY!mobile(ワイモバイル)が取り扱い、キャリアモデルとして展開する1台だ。

 Snapdragon 695を備えたミドルレンジモデルだったmoto g52j 5Gと比べ、moto g53j 5Gやmoto g53y 5GはSnapdragon 480を備えたエントリーモデルで、少々位置付けが異なる。ディスプレイの解像度や防水・防塵の等級も下がっており、1年たったにもかかわらず、スペックダウンしている部分も少なくない。一方で、moto g53j 5Gは3万4800(メーカー直販※税込み、以下同)、moto g53y 5Gは2万1966円(オンラインショップ)と価格もmoto g52j 5Gより下がっており、その位置付けが変化していることがうかがえる。

 では、モトローラはどのような意図で新モデルを投入したのか。モトローラ・モビリティ・ジャパンで代表取締役社長を務める松原丈太氏に、両機種の開発経緯や投入の狙いを聞いた。

moto g53j 5G 「moto g53j 5G」を手にする松原丈太社長

「moto g53j 5G」は「moto g52j 5G」の後継機ではない

―― まず、moto g53j 5G、53y 5Gの位置付けをうかがえればと思います。スペックを見ると、昨年より機能が低下している部分がありますが、これは後継機ではないということでしょうか。

松原氏 発表会での説明が分かりづらく、今も自分自身を責めていますが、はっきり言いたいのは、moto 52j 5Gと今回の2機種のターゲットは別です。異なるお客さまを見据えた、別の製品になります。名前を見ると後継機と勘違いされてしまうのは当たり前で、これは全部私の責任です。ただ、moto 52j 5GはCPUも防水もサイズもほどよくしてあり、気持ちよく使えるミドルレンジ端末です。

 これに対し、moto 53j 5Gやmoto 53y 5Gは、5Gをよりお求めやすい価格で提供し、より多くの方に使っていただきたい端末です。それぞれの端末は、全く異なるミッションを持っているといっていいでしょう。2機種の価格帯は、4Gモデルよりちょっと高いぐらいですが、その値段をどんどん下げ、5Gをより身近にしていきたい。そのために、今回はY!mobileにご協力いただき、moto g53yも出すことになりました。

moto g53j 5G moto g52j 5Gとは位置付けが異なる「moto g53j 5G」。カラーはインクブラックとアークティックシルバー

―― moto g53jと53yは、いわゆるエントリーモデルということですよね。

松原氏 はい。ですので、moto 52j 5Gには引き続き活躍してもらい、販売は続けていきます。ミドルレンジではSnapdragon 695が使いやすく、コスト面もバランスが取れています。今、ガワだけを変えた焼き直しの端末を出すつもりはありません。長く活躍してもらうことで、ミドルレンジをよりお求めやすい価格で提供することもできます(※取材後、モトローラはmoto g52j 5Gのマイナーチェンジモデルである「moto g52j 5G II」を発表した)。

【訂正:2023年6月29日9時55分 「焼き回し」→「焼き直し」に訂正いたしました。】

―― ガワだけを変えた(笑)。ちなみに、もっと安いものをというような声はあったのでしょうか。

松原氏 お求めやすくするというのは、1つの大きな命題としてありました。ある程度のこのぐらいの価格というのは、明確にありました。これは、ソフトバンクの意向も大きかったですね。その辺を見据えつつ、大きなターゲットとして開発にあたりました。

moto g53j 5G moto g53j 5Gは先代のmoto g52j 5Gとは位置付けが異なることを強調する松原氏

moto g53j 5Gとmoto g53y 5Gに分けた意図

―― オープンマーケットモデルで2機種目のおサイフケータイですが、2機種目になってやりやすくなりましたか。

松原氏 おっしゃるように、グローバルモデルにFeliCaなどをインプリ(実装)する際の効率が格段によくなりました。PCB(プリント基板)のハードウェアデザインを終える前に、日本からのリクワイアメント(要求)がないかを聞いてもらえるようになったのは大きいですね。

―― なるほど。今回は後付けで入れたのではなく、グローバルモデルに仕様として入るようになっていたんですね。

松原氏 どれだけ上流で入れ込んでおけるかで、スケジュール的にもコスト的にも楽になります。これは非常に大きいですね。

―― その中で、今回は「j」と「y」が2つに分かれていました。この意図を教えてください。

松原氏 moto g53jと53yは、どちらもお求めやすい価格で5Gを、という端末です。その中でも、ほんの少しだけミッションが違います。moto g53y 5Gは、ソフトバンクにどうやって売りたいかという明確なイメージがありました。方やSIMフリー市場(オープンマーケット)に出す端末については、もう少し、モトローラとして采配ができる部分がありました。それ以外にも細かな違いはいくつかありますが、やはりY!mobileのショップに行って端末を購入するユーザーと、SIMフリーで端末を購入するユーザーは少し違う。その意味で違いを出し、それぞれの名前に「j」と「y」をつけました。

moto g53j 5G Y!mobile向けの「moto g53y 5G」。こちらは限定色のペールピンクも用意する

―― 今は端末メーカーにとって厳しい環境になっていると思いますが、そういった市場環境に対応したという側面もあるのでしょうか。

松原氏 厳しいのは全社にとってそうですが、その分、メーカーとしての底力を試されているタイミングです。そこに関しては、弊社には自信があります。今回のmoto g53j 5Gやmoto g53y 5Gをなぜこの価格でできたのかという質問を受けることがありますが、これはメーカーとしてきちんとやることをやり、グローバルのスケールメリットを生かした結果です。特別無理をしてあの価格にしたわけではない。厳しい環境の中で戦うのは同じですが、その分、差分が出てくる局面でもあります。

moto g52j 5Gは、モトローラにとって1つのターニングポイントになった製品

―― 今回の2モデルを投入できたのは、moto g52j 5Gの反響を踏まえてのものだったのでしょうか。実際に出されてから1年たちますが、いかがでしたか。

moto g53j 5G 2022年に投入した、防水+おサイフケータイ対応の「moto g52j 5G」

松原氏 反響はかなりいただきました。モトローラは日本市場に興味がなく、見向きもしてくれないから(moto g52j 5Gが出て)驚いたという声がありました。決して見ていなかったわけではありませんが、やはり日本市場では、お客さまのために日本に合った特徴や機能を入れるメーカーであるとアピールしなければなりません。

 また、サイズ感や薄さ、軽さ、素材感の出し方など、日本と世界の国で違うところもありますが、最近では、日本のニーズはこうで、コンシューマーが何を求めているかといったことも議論しています。

―― その反響に、実績もついてきたという理解でよろしいでしょうか。

松原氏 はい。SIMフリー市場はかなり厳しい市場ですが、ようやくお客さまに認めていただき、販売ランキングで名前も出てくるようになりました。moto g52j 5Gは、モトローラにとって1つのターニングポイントになった製品だと思っていますし、まだまだ活躍してもらいます。

―― 先ほども併売していくお話をされていましたが、Snapdragon 695は息が長いですね……。

松原氏 特殊な状況(半導体不足など)がかなり続いていたこともあり、チップサプライヤー側も、思うようにジェネレーションシフトができていないことはあります。ただ、モトローラはQualcommだけでなく、MediaTekともかなりたくさんの端末を出していますし、今はMediaTekもどんどん技術力を向上させています。今後は、マルチなプラットフォームの中からご満足いただけるものをいち早く選び、それを高い質感で安く提供できるようにしていきたいですね。以前はネットワークIOT(互換性テスト)の話もありましたが、最近ではそういった問題はなくなってきています。

―― moto g52j 5Gよりディスプレイサイズは小さくなっていますが、サイズは比較的大きい印象もあります。やはり、ある程度のサイズは必要なのでしょうか。

松原氏 そこは微妙なところですが、5Gのコンテンツとしてやはり動画があります。数年前と比べると、本当に電車に乗りながら、YouTubeやNetflixなどの動画を見ている方が多くなりました。あれは、少し前だと考えられなかったですよね。皆さんが認識していないところで、少しずつ生活が変化しているのだと思います。そのコンテンツを見るためのサイズと持ったときのベストなバランスは、ここだと思っています。

moto g53j 5G エントリークラスのスマホとしては大きめの6.5型ディスプレイを備える
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