―― カメラレンズフィルター対応ケースとはどのような物でしょうか。
石川氏 R8 proとR8に対応するレンズフィルターを装着できるケースです。色彩や取り込む光の量を調節できる撮影もできれば、使わない場合はレンズフィルターを外して、本体を保護するケースとしても機能します。
エレコムが52mm径、LooCoが49mm径のレンズフィルターに対応します。口径さえ合えば、お持ちの物でも市場に出回っている物でも楽しめます。R8 proとR8のカメラの上から被せるようにして装着できます。
―― カメラレンズフィルター対応ケースを用意するに至った理由を教えてください。
平嶋氏 実はこのカメラレンズフィルター対応ケースのような発想は、僕らではなく端末デザイナーから挙がりました。
石川氏 当初は小さな物でしたが、実用面で課題があったことから、当初の物よりも大型化していきました。
平嶋氏 最初は「ないでしょ」と思いましたが、カメラレンズフィルター対応ケースの脱着で、プロになったような気分を味わえるでしょうし、光源をクロスするフィルターがすでに出回っており、それとスマホの組み合わせでスマホに遊び心が加わり、R8 proとR8で面白い体験ができると考え、採用に至りました。
目のつけどころがシャープかどうかは分からないですが、他モデルとの差別化要素の1つにもなるはずです。ここまでくるとデジカメと変わらないかもしれませんね。スマホもRシリーズをきっかけに動画や写真を通した体験が面白いと感じてもらうとうれしいです。ステップアップとしてデジカメ、一眼レフで楽しむのもアリですが、われわれとしてはその逆の流れも生めるとうれしいです。
―― これを機にカメラレンズフィルター対応ケースのバリエーションは増えそうですか?
平嶋氏 先ほどもお伝えしましたように、現状(7月4日取材時点)ではエレコムとLooCoが対応製品を手掛けていますが、今後は他のメーカーへのお声がけをお願いして、長期的にラインアップを拡大していきたいです。カメラレンズフィルター対応ケースではないですが、マルミ光機、ケンコー・トキナーがレンズフィルターを準備しています。
―― 防水・防塵(じん)を維持しつつカメラリングから放熱できるのはなぜですか?
宮原氏 例えば、カメラリングに隙間を空けてしまうと、空気の通り道ができて、空冷はしやすくなりますが、防水・防塵性能を犠牲にします。
それを避けるべく、R8 proとR8では空気や水を使わずに、熱伝導率の高い金属パーツを使うことで、防水・防塵性能を確保しています。カメラが収まる本体内部に凸構造を設け、プロセッサからの熱を金属パーツへ逃します。そこからさらに外側のカメラリングへ放熱する仕組みです。これにより、防水・防塵性能と、放熱性能の両立を果たすことができたわけです。
凸構造とプロセッサの距離が近いほど、熱が移動しやすくなりますが、双方を密着させてしまうと、プロセッサからの熱が行き過ぎてしまい、手に持ったときにより熱を感じやすく、安全性が損なわれます。それを防ぐためにカンマ数mmの隙間を設けています。
もちろん先ほどのカメラレンズフィルター対応ケースを装着した状態でも放熱を行えるようにしています。
―― その構造は画期的ですが、熱が外側から内側へ伝わってしまわないですか?
宮原氏 熱伝導率を用いた仕組みですので、その可能性は十分にあります。例えば、夏場の外気温が35度程度になってしまうと、内部も35度に近い温度になります。これは物理現象として仕方のないことです。ただ、夏場に発売されるモデルですから、そのような環境を想定し、35度の室内環境を用意して、人的に確認の作業をしました。
―― AQUOS R8だけがMIL規格に準拠しているのはなぜですか?
平嶋氏 両モデルのコンセプトや利用シーンを検討していく中で、R8を気兼ねなく使ってもらうべく、軽さと耐久性を重視した結果、MIL規格対応となっています。R8 proも技術的には軽量化や耐久性をアップさせることはできますが、形状を変えたり、他の部分を削ぎ落としたりしなければなりませんので、商品性を鑑みてproらしい形状や、コンセプトやニーズに合った機能、仕様としました。
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