地上波でも「4K/60fps」が当たり前に? 総務省の審議会が「次世代地デジ」の技術的条件を答申 実現に向けて大きな一歩(1/3 ページ)

» 2023年07月20日 18時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 総務省は7月18日、同省の情報通信審議会から「放送システムに関する技術的条件」に対する答申を受領したことを発表した。この答申をもとに、同省では地上デジタルテレビ放送(地デジ)の規格面での高度化(スペック向上)に必要な制度設計を進めていくことになる。

現在の地デジの概要

 現行の地デジは、NHK(日本放送協会)が主導して開発された「ISDB-T」という規格にも基づいて、2003年12月から順次導入が始まった。主要なスペックは以下の通りだ。

  • 映像の解像度:1440×1080ピクセル(アスペクト比4:3)が基本
  • 映像の走査方法:インターレース式が基本(プログレッシブ式も対応可)
  • 映像のフレームレート:29.97fpsが基本
  • 動画コーデック:MPEG-2 TS(ビットレートは可変式、※1)
  • 音声コーデック:MPEG-2 AAC(ビットレートは可変式、※1)

(※1)動画、音声、付加情報(データ放送など)を全部合わせて23Mbps以内に収める必要がある

 「え、地デジのアスペクト比って『16:9』だよね?」という声もあるかもしれない。実は現在、ほとんどのTV局はフルHD(1920×1080ピクセル)か4K(3840×2160ピクセル)で撮影した映像を1440×1080ピクセルにしてから送り出している。簡単にいうと横方向に“圧縮”した状態で電波に乗せているのだ。

 その際、放送波には「この映像のアスペクト比は16:9ですよ」という情報を添付しており、TVチューナーはそれを検知し、自動的に“引き伸ばした”映像を出力している。

 規格上は、地デジでも1920×1080ピクセルのまま伝送することは可能である。しかし、その分ビットレートが上がりやすくなるため、採用している例は非常に少ない。

 ちなみに、一部のTVチューナーでは設定を変えると、16:9に戻す前の映像で視聴できる。新しめのTV(TVチューナー)ではできないことがほとんどだが……。

16:9 地デジの放送は、一見するとアスペクト比16:9で映っているのだが……
引き伸ばし 実際は、1440×1080ピクセルで送られてきた映像を、付加情報に基づいてTVチューナーが引き伸ばしていることが多い(画像はイメージです)

地デジを高度化する理由は?

 今回、総務省が地デジの高度化を行うのは「新たな技術の順次導入」を主目的としている。議論自体は2019年6月から始まっており、先行して高度化された「4K8K衛星放送」の規格を参考にしつつ、より新しい技術を取り入れるべく検討が進められてきた。

 海外でも、地デジを高度化する動きがあり、米国が主導する規格「ATSC」には第3版(ATSC 3.0)が登場し、ヨーロッパ圏で普及している規格「DVB-T」も順次第2版(DVB-T2)への移行が進んでいるという。ある意味で、世界的な高度化トレンドに乗っかったともいえる。

目的 新しい技術を取り入れることで、より放送を高度化することを目指す(総務省資料より:PDF形式)
地デジの高度化 地デジの高度化は、世界的なトレンドとなっている。現行の地デジもそうだが、規格間の「国際競争」は思ったよりも盛んで、米国、ヨーロッパ、中国との競争を考えると新規格の策定は“待ったなし”ともいえる(総務省資料より:PDF形式)
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月13日 更新
  1. 新幹線「独りぼっち席」が話題――「2000円追加で“隣が空席”」との声、なぜ導入? (2026年08月11日)
  2. 楽天の三木谷氏がStarlinkに言及――「正直に言って……」 AST SpaceMobileは過疎地域や海上で効果発揮か (2026年08月10日)
  3. あの「カシャッ!」は意味なし? スマホの「シャッター音」実態に即さず、ネットに見直しを求める声 (2026年06月15日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. LINEの「ミュートメッセージ」有料化へ 相手のスマホを鳴らさずに送れる便利機能 (2026年08月10日)
  6. なぜ? 「PayPay改悪」といまネットで騒がれている理由 ユーザーがすべき対策を解説 (2026年06月05日)
  7. 【3COINS】360度回転する「ベルトファン」、ハンズフリーで衣服内へ直接送風 1980円 (2026年08月12日)
  8. ソニーに聞く「Xperia 1 VIII」の裏側 デザイン刷新や20万円超えの理由、物議を醸したAIカメラ新機能の真相 (2026年08月10日)
  9. “大画面”を活用できない――サイゼリヤに折りたたみスマホは不向き? 注文UIに賛否 (2026年08月12日)
  10. 【ワークマン】1900円の「アーバンマルチストレージショルダー」 大きく開く小分けポケット搭載 (2026年08月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー