今回、KDDI(と沖縄セルラー電話)がauマネ活プランを打ち出したのは、auスマホとの併用した場合の“特典”を強化することでauブランドの金融サービスの契約(会員/口座)数をさらに増やす狙いがある。他社の携帯電話を介してauブランドの金融サービスを使っている人を、auスマホに“引き込む”意図もあるだろう。
端的にいえば、「スマホ」と「金融」をau IDでひも付けて“囲い込み”をしようとしているのだ。
この戦略は、ある意味で楽天グループの「楽天経済圏」の考え方に近い。
携帯電話事業への参入以前から、同社は傘下に「銀行」「カード会社」「損害保険会社」「証券会社」「プリペイドマネー発行事業者」を抱えている。これらの事業を「楽天ポイント」を軸に結び付けて、大きなポイント経済圏を構築している。ここに後から携帯電話(MNO)事業が加わったという点は、KDDIと異なるポイントだ。
冒頭で触れた通り、auマネ活プランは、使い放題MAXシリーズをベースとしている。他のネットサービスとのバンドルプランも含めて、割引前の月額料金は使い放題MAXシリーズと“同額”である。
では何が違うのかというと、auFGの金融サービスを使うことでより多くの還元を得られること……だけではない。複数回線契約による「家族割プラス」を適用できないという違いも見逃せない。
家族割プラスは、2回線契約すると1回線あたり月額550円、3回線以上契約すると1回線あたり月額1100円の割引を得られる。状況によっては、auマネ活プランに乗り換えるとかえって“損”する可能性もある。
ただ、このことは見方を変えると契約回線が1〜2回線なら、auマネ活プランにした上でauFGの金融サービスを積極的に使えば、よりおトクになるかもしれないということでもある。ある意味で、家族を巻き込まずにauスマホを使っている人にとっての“福音”となりうるのだ。
さらに、違う見方をすると、家族で「家族割プラス」を適用しているけれど、自分“だけ”はauマネ活プランにした方が有利というケースもある。しかし、家族割プラスは家族の契約回線数によって割引額が算定されるため、家族内でauマネ活プランに移行するユーザーが生じると、状況によっては他のプランに残ったユーザーの割引が減額/廃止されるリスクがある。
……が、KDDIもそこはきちんと対策している。auマネ活プランは、家族割プラスの適用判定を行う回線数にはカウントできるのだ。そのため、家族内でauマネ活プランに移行するユーザーが増えても、家族割プラス対象のプランへの割引は同じ条件で継続される。プラン移行によって、他の誰かが損をすることはない。
「グループの金融サービスとのシナジーを追求した料金プラン」は、今までありそうでなかった新機軸だ。割引前の単純な料金は既存プランと同額で、ある意味で「複数回線割引を取るか、より多くの還元を取るか」という意味で選びやすいのもありがたい。
筆者個人としては、これからauマネ活プランとデータMAXシリーズの“比率”がどう推移していくのか、注目したい所である。
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