「Pixel 8 Pro」「iPhone 15 Pro Max」ガチンコ勝負 カメラ、ディスプレイ、パフォーマンスはどちらが上か(1/3 ページ)

» 2023年10月22日 10時30分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 Googleの「Pixel 8」シリーズとAppleの「iPhone 15」シリーズが発売された。今回はその中でも最上位モデルとなる「Pixel 8 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」を比較する。特に注目したいのが、Pixel 8 ProのAI強化、待ちに待ったiPhone 15 Pro Maxの望遠カメラ強化だ。具体的にどういったところがそれぞれの強みなのかを実機で検証した。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左から「Pixel 8 Pro」「iPhone 15 Pro Max」

静止画を比較 食べ物や暗所撮影に強いのはどっち?

 まずは静止画からチェックしていきたい。

 食べ物については0.5xの超広角から、1xの広角、2x、5xまでの光学ズームで比べてみた。被写体はハンバーガー(食べ物)とした。

 0.5xの超広角では他のレンズよりも広い画角で撮れる。スケール感を出すのに便利だ。Pixel 8 ProとiPhone 15 Pro Maxで撮影した画像を比べると、Pixel 8 Proは白っぽくなり、トマトの赤はやや足りず、レタスの青みが増している。撮影現場の光源はオレンジライトだったので、それに近い表現となったのはiPhone 15 Pro Maxだった。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 Pixel 8 Proの0.5xで撮影
Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 iPhone 15 Pro Maxの0.5xで撮影

 0.5xから1xに切り替えて撮影してみると、Pixel 8 Proの色味が0.5xとは異なり、暖色系、つまりiPhone 15 Pro Maxに近い色味となった。一方でトマトはPixel 8 Proの方が鮮度があると感じる。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの1x、右がiPhone 15 Pro Maxの1x

 2xにして先ほどよりもさらに被写体に寄ってみると、Pixel 8 Proの色味はまた白っぽくなった。光源が白色系と認識されているのかは不明だが、ややみずみずしさが足りない気がする。iPhone 15 Pro Maxの色味はまずそうとまでは言わないが、実際よりも赤色が強い。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 Pixel 8 Proの2x
Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 iPhone 15 Pro Maxの2x

 5xでもPixel 8 Proの色味は白色が強く現れてしまい、レタスの緑色とは程遠い青色に近い仕上がりとなってしまう。iPhone 15 Pro Maxの仕上がりとしては全体的に赤色が強く、こちらも実物とは違う。明るさはともに明るすぎず暗すぎず、といったところ。現場の雰囲気は捉えられているようだ。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの5x、右がiPhone 15 Pro Maxの5x

 続いて試したのは夜景だ。これからの冬シーズンに向けて、街が鮮やかなイルミネーションで彩られることから、スマホを持って出掛けて、夜景撮影に臨む人が多いだろう。この点についてもPixel 8 ProとiPhone 15 Pro Maxの違いを比較した。

 0.5xで撮影したところ、Pixel 8 Proの方が明るく撮れるのだが、肉眼で見た夜景よりも明る過ぎてしまう。夜景というより曇り空で薄暗い夕方のような雰囲気だ。iPhone 15 Pro Maxは木々の辺りが黒くつぶれてしまうが、不自然な明るさではない。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの0.5x、右がiPhone 15 Pro Maxの0.5x

 1xにすると、違いが出た。ハンバーガーを被写体とした先ほどの仕上がりと同様、色味や明るさの差が他の倍率ほど大きく見られない。ただ、地面の色は緑色が若干強くなっているiPhone 15 Pro Maxよりも茶系や黒がしっかりと再現できているPixel 8 Proの方が実物に近い。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの1x、右がiPhone 15 Pro Maxの1x

 2xは街灯の明るさが目立つのがiPhone 15 Pro Max、やや控えめなのがPixel 8 Proといったところ。iPhone 15 Pro Maxではつぶれがちなビルの窓から漏れる光や、窓枠などのディテールがPixel 8 Proではややはっきりと表現できている。複数のピクセルを束ねて感度を向上させるピクセルビニングを活用しているため、全体的にノイズの少ないきれいな仕上がりとなる。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの2x、右がiPhone 15 Pro Maxの2x

 5xでも他の倍率よりも差が表れやすい。木々の緑色やビルのディテール、東京駅舎の茶色のれんがが自然に表現できたのはPixel 8 Pro。手持ちのため構図が少し違う点はご容赦いただきたい。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの5x、右がiPhone 15 Pro Maxの5x

 極め付きはデジタルズームの仕上がりだ。2機種とも5xまでは光学ズームだが、それ以降はデジタルズームとなる。分かりやすい例として最大倍率で比較したい。ただし、Pixel 8 Proは最大30x、iPhone 15 Pro Maxは最大25xと異なる。

 仕上がりを比較すると、見事に鮮明な画像を撮影できているのがPixel 8 Proで、全体のディテールがつぶれてしまっているiPhone 15 Pro Maxと比較すると、全体的には暗いものの、Pixel 8 Proで撮影した画像では駅舎の中にある看板の「JR」という文字が確認できる。これは肉眼でも見えづらいわけだから、スマホカメラでここまで記録できるのはすごい。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左がPixel 8 Proの25x、右がiPhone 15 Pro Maxの25x

 JRの文字が写っている箇所を切り抜いてみるとよく分かるはずだ。一般的に倍率が上がると落ちてしまう画質がAIを使った「超解像ズーム」によりきれいな仕上がりとなる。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 JRの文字が辛うじて分かるのは左のPixel 8 Proで撮影した画像だ。右はiPhone 15 Pro Maxで撮影した画像

 なお、Pixel 8 ProもiPhone 15 Pro Maxも最大倍率でズームすると、画面にサムネイルが表示され、全体像を確認しながら撮影できる。どの辺りを中心にズームしているのかが分かるし、手ブレによって被写体がフレームから外れて、見失ってしまうことはない。

 Pixel 8 ProをはじめとするAndroidかつ高倍率ズームを搭載するモデルでは特段目新しい機能ではないが、iPhone 15 Pro Maxで最大25xズームが可能な点と、UIに工夫が見られる点を考えると、iPhoneのPro Maxでもようやく望遠カメラが強化された、と実感できた。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 倍率が上がるとどこの部分をズームしているのかが分かるサムネイルが表示される

「ベストテイク」はプライベートでの利用にとどめたい

 続いてチェックしたいのがiPhone 15 Pro Maxにはなくて、Pixel 8 Proにはあるオリジナル機能だ。注目どころの機能はいくつかあるが、順に説明していく。

 1つは「ベストテイク」という機能。集合写真で誰かが目をつぶってしまったり、目線をそらしてしまったりしても、10秒以内に5〜7枚の静止画を連続で撮影し、その中から1人ずつ良い表情を選択して、1枚の集合写真を作成できる機能だ。「Google Pixel 8」でも使える。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 左が加工前のオリジナル、右がベストテイクによる加工後(提供元:Google Japan)

 ただし、こちらは撮影した瞬間には存在しない、いわゆるフェイクの画像をAIも活用して生成できる機能のため、これを仕事の成果物として納品するのは厳しいだろう。

 試しにPixel 8 Proを「ホリエのWiFi」の発表会場に持ち込んで試したところ、誰かが目をつぶっている……という不満を解消できたが、ベストテイクで生成された静止画は顔どころか手の部分も別の画像に差し替えられてしまい、拡大するほどその不自然さが目立ってしまう。

Google Pixel8Pro Apple iPhone15ProMax レビュー カメラ 比較 便利なベストテイクだが、環境によって不自然な仕上がりとなる場合があるようだ

 とはいえ、さっと構えて撮影し、後から簡単に手を加えられるのは楽でいい。何人かで旅行へ行った際に記念の1枚に役立つかもしれない。

音声消しゴムマジックがすごい

 動画についてもiPhone 15 Pro Maxにはなくて、Pixel 8 Proにはあるオリジナル機能がある。それが「音声消しゴムマジック」だ。数回タップするだけで不要な音声を減らし、聞きたい音だけを残すことが可能な機能だ。GoogleのAIが活用された機能でもある。Google JapanがYouTubeで公開している「Google Pixel 8 : 音声消しゴムマジック篇」の動画がイメージしやすい。動画では何人かが滝を背景に静止画を撮影し、撮影後に「自然の音(この動画では滝の音)」を消す様子が分かる。こちらは別途試してみたい。

Google JapanがYouTubeで公開している「Google Pixel 8 : 音声消しゴムマジック篇」の動画
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