タフネススマホ「TORQUE G06」は何が進化したのか その中身と「耐海水」の秘密を聞く(2/3 ページ)

» 2023年12月12日 11時30分 公開
[長浜和也ITmedia]
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「耐海水」はどのように実現したのか? 塩水と海水の違いを考える

 以上のように「TORQUEのアイデンティティー」と訴求する堅牢性と携帯電話としての基本性能の強化ポイントを確認してきた。しかし、筆者の超個人的興味関心においてTORQUEシリーズ独自の特徴としては、やはり「耐海水」を挙げざるを得ない。堅牢を訴求する情報機器は今でこそ当たり前のように増えてきたが、「耐海水」を掲げるのは数が少ない。国内スマートフォンにおいては唯一無比の存在だろう。

 TORQUEシリーズが耐海水を掲げるようになったのは、2015年に登場したTORQUE G02からだ。耐海水を実現したTORQUEシリーズの堅牢性能的条件とは何か。「防水」「耐塩水」と耐海水は何が異なるのか。遠山氏は「耐腐食性能」「異物のかみ込み」「より深い水深での耐水」を挙げる。

 塩分という観点において塩水と海水に違いはない。しかし、海水には含まれる「異物」が堅牢性能にとって大きな問題となる。異物が防水パッキンや操作ボタンにかみ込み、そこにスキマが発生して浸水が発生することが故障につながる。また、海水に含まれるプランクトンなどの海生生物やミネラルなどの析出もパッキンに付着して凹凸面を形成すると浸水の現認になり得る。

 このような付着物はスピーカーや通気膜にこびりつくと、音量が小さくなったり、空気の循環が止まってボディー内部が高温になったりと、不具合が発生する要因となる。TORQUEシリーズのマニュアルで海水が付着した場合に水洗いをするように指示しているのは、このような不具合の発生を防ぐためだと遠山氏は訴えている。

 海水による劣化の要因として最も注意したいのが、「海水に沈めるだけじゃなく、海から上げて乾燥させる繰り返しが条件として厳しい」と遠山氏は説明する。これは、まさに小型船舶やカヤック、SUPなどで波をかぶりながら航行する状況が当てはまる。この理由は先述の通り、「乾燥することで海水に含まれているミネラルなどの不純物が析出してくるため」(遠山氏)。

 この「海水に沈めて引き揚げて乾かして」のテストは、専用の測定器を使って「数日間」(!)にわたって実施する。具体的な検証レギュレーションは非公開だが、引き揚げて乾燥するフェーズは「完全に乾いて塩分や海中成分が析出」するほど長くないとしている。

 TORQUEシリーズの開発にあたって、耐海水性能の検証では成分が一定している人工海水を使用している。これは工業用や海水魚飼育用の汎用(はんよう)品で物性的に安定しているので、海から採取した海水と比べてテストデータを取得するのに適しているという。ただ、“念のため”関東近辺の沿岸で採取した海水も使用した試験も補完的に実施していると遠山氏は言う。

 実際の海水は季節や場所によって塩分濃度に変動があるが、遠山氏の説明によると、「死海ぐらいの塩分濃度は別として、日本近海の3〜4%程度では高低の幅があったとしても腐食の程度に違いは出ない」とのことだった。

キャップレス防水に対応していない理由

 TORQUEシリーズの防水性能というと「ヘッドフォンマイク端子とUSB端子のカバー」が気になる存在だ。使用しているうちに完全に閉まらなくなり、最終的に自分で取り外してしまう場合もある。カバーがないと防水性能は効かなくなって実用的には大きな問題となる。

TORQUE G06 USB Type-C端子はキャップ付きとなっている

 一方で、今や端子カバーのない“キャップレス防水”に対応したスマートフォンが大半だ。この違いについて遠山氏は「真水で短時間の試験なら耐えても海水だと腐食する」と堅牢性能の違いを指摘する。「試験条件によると思いますが、一般的な試験は長時間やるものではありません。その試験には耐えられるのでしょうが、耐海水という場合は1日中使う想定で試験をしなくてはなりません。そのレベルでいうとむき出しのUSB端子としては耐えられません」(遠山氏)

ぬれたグローブで潮まみれのスマートフォンを操作することの難しさ

 堅牢スマートフォンを海で使うとき、最も不便を感じるのが「しけた海で波を頭からかぶり続ける海況で、ぬれたグローブで潮まみれのスマートフォンを操作しようしたら、タップもフリック認識されなくてアウト」という状況だ。

 TORQUEシリーズではグローブをはめても使える「グローブタッチモード」と、ディスプレイがぬれた状況でも使える「ウェットタッチモード」を用意している。グローブタッチモードでは微弱な静電容量を検知することで、グローブをはめた手のタップやフリックを認識する。ウェットタッチモードでは静電容量の分布からぬれたエリアと指のエリアを区別してタップやフリックを認識するようにしている。

 両者は静電容量の認識において相反する設定なので「両立が難しい」(山田氏)。先に挙げた「ぬれたグローブで潮まみれのスマートフォンを操作」するのは困難だという。

 この状況を解決できる数少ないユーザーインタフェースが、「物理キーもしくはボタン」だが、スマートフォンユーザーの需要を考えるとその実装は難しい。オーナーズイベントでも緊急事態の発生を通知するエマージェンシーボタンの実装を希望する意見が、海でTORQUEシリーズを使っているユーザーから寄せられたという。

 TORQUE G06ではそのような利用を想定し、天面にカスタムボタンを1つ追加して緊急で通報ができる仕様に改善している。

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