自民党がNTT法のあり方を検討する組織を格上げ ――次の衆院選を乗り切り、NTT法廃止にこぎ着けられるか石川温のスマホ業界新聞

» 2023年12月24日 10時16分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 2025年に廃止するということは「NTTが言っているのではなく、自民党の税務調査会が出した提言に書かれている」と自民党のハシゴを見事に外してしまったNTTの島田明社長。この発言からはNTT法の廃止に対してNTTはあまりやる気は無く、「すべて自民党の提言に付き合っている」という、本来とは逆の印象が出てしまった。

 審議会終了後、島田社長は澤田純会長や柳瀬唯夫副社長、さらには自民党にこっぴどく怒られたのではないか。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2023年12月18日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 その影響からか、12月14日には自民党でNTT法のあり方に関する検討チームの体制を強化する方針が明らかになったと一部で報道があった。

 これまでは防衛財源の確保策を検討する特命委員会の下にあるプロジェクトチームだったのが、検討組織を格上げし、特命委員会になるという。ちなみに委員長には甘利明前幹事長が就く。

 もはや、防衛財源の確保というお題名目はどこかに行っているにもかかわらず、自民党が頑なにNTT法を廃止しようと躍起になっているのは何故なのか。

 ただ、昨今の自民党によるパーティ券を巡る裏金疑惑で、NTT法見直しの行方も不透明になってきた。

 プロジェクトチームのナンバー2であった萩生田光一政調会長は、安倍派ということで裏金疑惑のど真ん中におり、辞表を提出したばかりだ。

 NTT法の廃止については甘利明前幹事長が旗振り役と言われている。

 NTT法は2024年の通常国会までに見直し、2025年までには廃止するという提言になっているが、衆議院議員の任期は2025年10月だ。もちろん、過去を振り返ってみると、任期まで続くことはほとんどなく、それまでのどこかのタイミングで衆議院の解散がやってくるだろう。

 仮に選挙となった場合、萩生田氏は裏金疑惑だけでなく、かつて旧統一教会問題でも関係が取り沙汰されたが、説明責任を果たしていない。また、甘利氏も先の衆議院選挙において小選挙区では落選し、比例でかろうじて復活となっている。昨今の裏金疑惑で自民党の支持率は低下しており、今後、選挙が行われた場合、比例での枠もさらに少なくなる可能性は極めて高い。

 NTT法の廃止に対する自民党からの圧力がなくなれば、総務省の力が強くなり、NTT法は残ることになるだろう。

 つまり、2025年にNTT法が廃止されるか否かは、次の衆議院選挙で自民党がいまの勢力を維持できるかが最大の焦点となってきそうだ。

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