「Apple Music Classical」の強みは圧倒的な検索機能 “プチストレス”から解放され、初心者もクラシックファンも満足(2/3 ページ)

» 2024年02月01日 14時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

指揮者によりこんなに違う「運命」

 検索機能の優秀さは、絞り込み型検索が可能な点にも現れている。今度は別の角度から、ベートーヴェンのネタで作品の聴き比べを目的とした絞り込み型検索をやってみた。

 作品によっては、指揮者の考え方や解釈により音楽性が大きく異なる場合もある。クラシックのファンの中には「○○の指揮は○○だ」といった一家言を持っている人もいるだろう。

 例えば、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」は、第1楽章の冒頭でいきなり、その違いが分かる典型的コンテンツといえる。いわゆる「ジャ・ジャ・ジャ・ジャ〜ン」という有名なフレーズだ。

 そこで、指揮者別の聴き比べプレイリストを作ってみた。検索機能から「運命」で検索し「すべてのアルバムを見る」をタップすると、膨大な数のアルバムがリストされるのだが、画面上部の検索窓には『「運命」のすべてのアルバム内を検索』とある。つまり、ここからさらにキーワードで絞り込めるわけだ。ちなみに、Apple Musicアプリで「運命」で検索するとポップス系が上位に並ぶし、絞り込み検索もできない。

photo 指揮者や作品名の知識があれば、絞り込み検索は目的の楽曲を探す有効な手段

 この絞り込み検索で、指揮者名の「フルトヴェングラー」「小澤」「クルレンツィス」「ノリントン」と個別に検索し、4人の指揮者による「運命」の第1楽章をプレイリストにまとめた。

 重厚長大型のヴェルヘルム・フルトヴェングラー、端正で安心・安全系の小澤征爾、音圧&キラキラ音質のテオドール・クルレンツィス、超高速型のサー・ロジャー・ノリントンという三者三様の違いを聴き比べて楽しめる。

 それにしても、あらためて聴くフルトヴェングラーの「運命」は重々しすぎて、聴く方も気合いと体力が必要だ。「濃厚な官能性と高い精神性」と評されるだけのことはある。その一方で、ノリントンの軽快テンポの「運命」は、聴いていて晴れやかな気分になる。ベートーヴェンがニコニコしながら、スキップしてこちらに向かってくる映像が頭に浮かぶ。

photo 各指揮者の解釈の違いを確認するために『「運命」速度聴き比べ』というプレイリストを作ってみた

 とまあ、少し知識があればこんな楽しみ方が気軽にできるのもApple Music Classicalの特徴である、この検索性の優れた点がApple Musicとの大きな違いといえるのではないか。

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