Appleが1月24日にリリースした「Apple Music Classical」は、Apple Musicで配信されているクラシックジャンル専用のミュージックアプリだ。
クラシック専用アプリの必要性や発表イベントの模様は「『Apple Music Classical』提供開始 Appleが考えるクラシック音楽配信の在り方」で紹介した。本記事では、アプリの機能や従来のApple Musicアプリに対する優位性などについて解説する。
Apple Music Classicalの対応機種はiOS/iPadOS/Androidとなっており、現時点でmacOS向けには用意されていない。このアプリの大きな特徴は、検索機能の充実だ。従来のApple Musicアプリと比較して、クラシック音楽に最適化された検索機能が提供されている。
とはいえ、クラシック音楽について数多くある作品の中から決め打ちで検索し、楽しめるのは、それなりに知識のある人だ。そこで、初心者や「多少は知っているが……」という人は、「今すぐ聴く」に並んでいる楽曲から聴きはじめるといいだろう。
最上段の大きなサムネイル画像では「心やすらぐクラシック」といった、TPOを考慮したプレイリストや、キュレーターが推奨する本格的な作品、限定コンテンツなどが紹介されている。TPO系のプレイリストは、センスよくキュレーションされており、未知のお気に入り楽曲に出会えたときは、じんわりとした幸せ感に浸れる。
「今すぐ聴く」は、本格的な作品との出会いも演出してくれる。筆者が見た際には、1977年に録音されたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮によるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のベートーヴェン交響曲第1番から第9番までのリマスター版(Dolby Atmosによるもの)が紹介されていた。
ここで思い出したのだが、カラヤン氏は生涯でベートーヴェンの全集を50、60、70、80年代と計4度も録音している。後年の3度は、ベルリン・フィルと実施したものだ。
ならば、その4つの録音を聴き比べできないものかと「カラヤン ベートーヴェン 交響曲全集」というキーワードで検索したのだが、残念ながら上記の他には1963年のものしかヒットしなかった。ただ、こうした検索ができることで、従来のApple Musicアプリに対する優秀さを感じられる。
全く同じキーワードを使ってApple Musicで検索を実施すると、検索結果の上位に目的の交響曲全集のアルバムがリストされるが、それに続いて余計なノイズ(これは失礼)が並んでおり、「リストの下位にあるかも」と探さなくてはいけなくなってしまうことでプチストレスを感じてしまう。
一方、Apple Music Classicalでは、該当する2つのアルバムとトラックが表示されるだけでとてもスッキリしている。「カラヤンのベートーヴェンを時代別で聴き比べしたい」というニーズにストレスなくアクセス可能だった。
上記からも分かるように、Apple Music Classicalで聴くことのできる作品は、従来のApple Musicにも収録されている。Apple Music Classicalの統括責任者であるジョナサン・グルーバー氏によると、Apple Music内の「クラシック」カテゴリーの楽曲は、自動的にApple Music Classicalにも配信される仕組みだという。
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