日本に限らず世界的にも同じような傾向が続いており、各社のラインアップを見てもミッドレンジでも128GB、10万円を超えるハイエンドは256GBが最低容量になりつつある。地域によっては廉価モデルですら256GBを用意し、低容量モデルを販売しないものも見受けられる。
近年のスマートフォンでは、10万円を超えるハイエンド機種を中心に、外部メモリのmicroSDを利用できない機種が大半になり、そういう機種は少ない容量を外部メモリでカバーできない。世界的に見てもmicroSDが利用できるハイエンドスマホは少数で、2023年に発売された機種に限れば、シャープから2機種、ソニーから2機種の計4機種しか登場していないレアな存在になりつつある。
さて、64GBに限らず、これからは128GBのストレージ容量でも使うにあたって工夫が必要だと感じる。正直、少ないストレージのスマートフォンでも「操作に支障が出るほど厳しい」というわけではない。使い方を工夫さえすればおおむね快適に使える。
具体的には写真や動画を多く撮影しない、大容量のゲームはタブレット端末などの別端末で行う。このような、ちょっとした工夫次第では満足に使えるはずだ。一方、こうした工夫をしたところで「今は」何とかなっても長くは持たない。アプリの容量そのものが増大する傾向のため、1年ほどで128GBでは容量不足になってくるだろう。
もっとも、「電話やLINEしか使わない」といった割り切りができる上級者なら問題ないと思うが、これからスマートフォンを購入してもらう若年層にとって、リッチコンテンツは当たり前の存在だ。そのような層にとって、アプリを多く入れられない低容量のスマホを選ぶと後悔する可能性が高い。
先述の通り、スマートフォンは平均4年利用するというデータが出ている。スマートフォンの容量も128GBで足りていたとしても、4年後も大丈夫か? と問われれば話は変わってくる。実際、3年利用した128GBのiPhoneではOSのアップデートができないほど容量不足になっていた。
昨今では512GBや1TBの容量を持つスマートフォンも登場し、AndroidスマートフォンでもPixelやGalaxyのように複数容量を必要に応じて選べるものも現れた。大容量のストレージを採用した機種は高価になりがちだが、平均利用期間などを考慮すれば決してオーバースペックではなく、安心できる追加容量を手に入れたと考えればいい。
やはり、スマートフォンのストレージ容量は、自分が思っているものよりもワンランク上あたりを選んでおく方が長く安心して使える。スマートフォンを快適に、安心して使える最低ラインが2025年ごろには128GBに代わって256GBの容量になるのではないか――という言葉を結びにしたい。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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