KDDI、ローソンの次は果たしてどこだ?――ネットとリアルをつなげるための新たなパートナーとは石川温のスマホ業界新聞

» 2024年03月03日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 KDDIがローソンに5000億円を出資し、三菱商事と共同経営体制になると発表されたことで、にわかに注目されているが「いずれ、KDDIは楽天グループも傘下に収めるのでは」という見方だ。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年2月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 筆者が度々、語ってきた「仮説」で、昨年、NewsPicks主催の討論番組で披露してきたのだが、当時は「なんでKDDIが?」というツッコミが多かった。「大型買収ならソフトバンクでしょ」という声が圧倒的ななか、世間ではKDDIが過小評価されている感があった。

 しかし、今回、ローソンに出資したことで俄然、世間のKDDIに対する評価が変わってきたように思う。

 KDDIは通信の会社であり、世間の企業におけるDXを進める立場にいるものの、ウェブ上での「顧客接点」においては若干、弱かったりする。ソフトバンクがLINEやヤフーを持つなか、KDDIにはウェブにおけるauユーザー以外のオープンな顧客接点は皆無に等しい。

 そんななか、KDDIが楽天グループと組めば、シナジーは絶大だ。もちろん、KDDIにとって楽天モバイルには興味はなく、楽天グループ全体と組めることが重要だ。

 ネットショッピングやトラベルなどのWebサービスだけでなく、銀行や証券なども一緒になり、パンダとタヌキが組み合わさった強大な経済圏が誕生することになる。KDDIが弱かったネットショッピングを補完するという関係性においてはベストではないか。

 一般メディアでは単に「KDDI・ローソン・楽天」という組み合わせによって、セブンイレブンやファミリーマートを倒せるのではないか、さらにGAFAMに対抗できるのではないかといった論調があるが、もしかすると単に「KDDI・ローソン・楽天」という枠組みにはとらわれない可能性だって考えられる。

 今回のローソンへの出資に関しても、実はKDDIだけでなく、ENEOSが本来であれば出資するつもりだったとの報道がある。幹部の不祥事により頓挫し、KDDI単独での出資になったようだ。

 将来的にKDDIが楽天グループに出資すると言うことになった場合、KDDIだけでなく、もう1社ぐらい別のパートナーを連れてくることも考えられるだろう。

 KDDIと仲が良く、資金的に余裕があるが、将来的な成長に不安を感じている企業。例えば、JR東日本とKDDIがタッグを組んで楽天グループに出資するなんてことがあれば、結構、面白いことになるのではないか。

 東日本に鉄道網を持ち、豊富な人流データを握っている。Suicaによって、ユーザーの行動履歴だけでなく、購買データも持っている。JREポイントとPontaと楽天ポイントが組み合わされたら、ネットとリアル、両方でポイントが貯まるなんてことになれば、俄然、ユーザーの利用意向も促進されるだろう。

 KDDIは今回、ローソンという「リアル」への進出を果たしただけに、もはや何でもあり、誰とでも組める体制になっているといえる。

 我々が全く想像し得ない「座組」で、新たな出資を仕掛けてくる可能性は十分にあり得そうだ。

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