楽天モバイルで「身に覚えのないeSIM再発行」の危険性 緩すぎる2つのプロセスは改善すべき石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2024年04月27日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

手続きがより厳格な競合他社、楽天モバイルも見直しの時期か

 他社の場合、eSIMを再発行する前に利用中の回線にSMSで認証コードが飛ぶケースが多い。ソフトバンクのLINEMOは、認証コードの送付先としてSMSだけでなく、メールでの受信も選択できたが、登録済みのメールアドレスを変更するには契約している回線からのアクセスが必要だった。メールサービスまで乗っ取られていたケースだと被害は発生しそうだが、少なくとも、変更のハードルは高くしていることが分かる。

 また、auでは利用中の端末が故障した場合、eSIMプロファイルを誤って削除してしまった場合に限り、eKYCを活用した本人確認が求められる。いずれも、端末の故障やeSIMプロファイルの誤削除などで、SMSを受信できなくなってしまうとハードルが上がり、手間も増えてしまうものの、楽天モバイルのそれよりも仕組みとして安全側に倒した運営をしているのは間違いない。

楽天モバイル
楽天モバイル auはケース別にeSIM再発行の手順を分けており、手元に機種変更前の端末がない場合には、eKYCを求められる

 その分だけ、本当に機種変更でeSIMのプロファイルを移行させたいときに手間がかかってしまうのは事実だが、キャリアと端末メーカーやプラットフォーマーの協力により、徐々にそれも解消されつつある。現状では、iPhone同士であればeSIMクイック転送を利用でき、大手キャリア4社はサブブランドやオンライン専用ブランドまで含めてこれに対応する。

楽天モバイル iPhoneのeSIMクイック転送には、4キャリアが対応済み

 Androidは現時点でGalaxyとPixelに限定されるが、ドコモが「Android eSIM転送」を提供している。AndroidのeSIM転送は、2023年のMWC BarcelonaでGoogleが発表したもので、GSMAの業界標準に準拠した仕組み。当のGoogleや、Googleとの距離を縮めているサムスン電子がいち早くこれに対応したが、標準仕様が策定されているだけに、他のメーカーやドコモ以外のキャリアへの広がりも期待できる。完璧ではないものの、契約情報を管理するサイトから再発行する必要性は低くなりつつある。楽天モバイルも、eSIM再発行のプロセスを見直す時期に来ているといえそうだ。

楽天モバイル AndroidもeSIM転送に対応しており、ドコモで利用できる。画像は「Galaxy Z Fold5」で、アップデートでこの機能を備えた

 それ以前に、my楽天モバイルへのアクセスが緩すぎる点も気になっている。仮にeSIMの再発行を防げたとしても、my楽天モバイルに入られた段階で本名はもちろん、電話番号、住所、職業、生年月日などの個人情報が筒抜けになってしまう。「最強家族プログラム」を組んでいた場合、家族の名前や電話番号も簡単に表示できる。こうした情報が集約されているサイトにアクセスするための認証システムがIDとパスワードだけというのは不十分だ。

 例えば、ドコモの場合、端末に暗号化した秘密鍵を持たせるパスキーを利用すると、アカウントにログインする際のパスワードを無効化できる。KDDIのau IDも同様だ。こうした対策がしてあれば、IDとパスワードの流出をきっかけとした不正ログインはほぼできなくなる。いずれも、Android端末だとGoogleアカウントを通じた同期ができないなど、課題も残されているが、楽天モバイルのそれより安全性が高いのは事実だ。楽天IDにはさまざまなサービスがひも付いているだけに、セキュリティ強化の動きに期待したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月11日 更新
  1. スマホをタッチせずに改札もレジも通過 日本で広がる「UWBタッチレス決済」最前線 (2026年07月10日)
  2. 「d NEOBANK」は消滅して「ドコモの銀行」に、アプリアイコンも変更 住信SBIネット銀行の商号変更で (2026年07月09日)
  3. 海外限定のシャープスマホ「AQUOS wish5s」を台湾で見た (2026年07月10日)
  4. あなたの顔バレますよ──阪急電鉄が撮影時の注意喚起、理由は鏡面反射? (2026年07月09日)
  5. 新生「ドコモ・フィナンシャルグループ」本格始動 強みのドコモショップを生かし“やさしい金融”を訴求 (2026年07月09日)
  6. 「ドコモの銀行」始動、個人向け銀行サービスを刷新 dカードやマネックス証券の利用で初年度最大4.5%還元も (2026年07月09日)
  7. 「060」携帯電話番号の提供延期の原因は? 林総務大臣が改めて説明 (2026年07月10日)
  8. 20代の筆者が2026年に「カセットウォークマン」へ回帰した理由 タイパ時代にあえて“不便”を選んで発見したこと (2026年07月09日)
  9. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  10. どんな車でもエンタメ&ナビ環境を改善できる「オットキャスト ポータブルディスプレイオーディオ OTTOCAST ScreenFlow」がセールで2万4299円に (2026年07月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー