NTTドコモ、前田義晃副社長が社長に昇格――ユーザー視点での事業運営を進め、通信品質への不満解決を誓う石川温はスマホ業界新聞

» 2024年05月19日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモは2024年5月10日に2023年度決算説明会を開催。終了後、新社長に昇格した前田義晃副社長が登場し、メディアに所信を語った。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年5月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 前田新社長は「ユーザー視点での事業運営を進めていく。ドコモのサービスを使う中で感じる要望や不満を常に真摯に受け止め、速やかに応えることでユーザー体験、CX向上に取り組んでいく」として「通信品質への不満やサービスの使い勝手など一つ一つの声と誠実に向き合い、解決していく」と意気込みを語った。

 アスキーの連載でも執筆したが、前田新社長が起用されたことで、まずはドコモ経済圏の拡大に注目がいくが、それよりもまずは「ネットワーク品質の改善」が喫緊の課題であることは間違いない。

 その点、前田新社長はコンテンツやパートナー開拓の経験が豊富な一方、技術屋ではなく、ネットワーク関連は「門外漢」という印象が強い。この辺りのハンデをどのように埋めていくかが注目と言えそうだ。

 今回、NTTドコモの会見終了1時間後にKDDIの決算会見が開かれた。せっかくなので、同じく「経済圏の拡大」が得意な印象の高橋誠社長に「前田社長が就任したNTTドコモへの受け止め」を尋ねたところ、

 「前田社長が就任して良かったなぁ、と。今、グローバルの方々と話していると、ベースとグロースの考え方が定着してきた。我々は通信と付加価値と言ってみたり、ビジネス領域でもベースとグロースと言っているが、グロース領域がこれから拡大していくのは流れとしてはその通り。そこに強い前田さんが社長に就任するだけに、我々としてもしっかりやっていきたい。

 とは言ってもベースは通信。僕は上位レイヤーの人としてみられているが、元々は通信屋。これからは通信の品質、5G展開、衛星連携が重要になってくるのではないか」とした。

 確かに、今回の決算会見を見ていても、KDDIの高橋社長、さらにソフトバンクの宮川潤一社長は経済圏の拡大に触れているだけでなく、ネットワークの品質の向上に加えて、AIとの取り組みについても語っている。

 ソフトバンクは自社で大規模言語モデルを作り、展開していくのに対して高橋社長は「ソフトバンクがWindowsなら、うちはLinux」として、Metaなど海外製大規模言語モデルをベースに、国内ベンチャーと開発しつつ、全国にネットワーク基盤を整備する方向を示している。

 NTTドコモに関しては、AIはNTTグループの「Tsuzumi」任せなところがあり、NTTドコモとしてAIを同サービスや自社ネットワークに取り込むのかが気になるところ。

 今回、NTTグループの決算会見での時間配分が全くなっておらず、前田新社長に対する質疑応答がほとんどなかっただけに、改めて、前田新社長が、じっくりと「この先、NTTドコモをどうしていきたいのか」を語る場を設けてもらいたいものだ。

 この4年、NTTドコモはすっかりメディアを遠ざけてきたので、是非とも前田社長にはメディアを通して、ドコモユーザーに向けた情報公開をしていってもらいたい。

© DWANGO Co., Ltd.

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2024年07月27日 更新
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