大手携帯キャリアに代わって、各種契約手続きを受け付ける「キャリアショップ」。数年前なら「いつも混んでいる」というイメージを持たれがちだったが、コロナ禍で完全予約制を取り入れたり、契約者用Webサイトで行える手続きを拡充したりした結果、混雑はある意味で過去のものとなった。
新型インフルエンザ等対策特別措置法における新型コロナウイルス感染症の位置付けが変更されて以降、店頭に「予約なしでも手続き可能です!」という掲示を行うキャリアショップもちらほら見かけるようになった。店内を見ても、コロナ禍前の立ち客が出るほどの混雑ぶりでもない。
一見、すいているように見えるキャリアショップ。しかし、すいていると思ってふらっと店内に入ると、店員から「当日中の対応が難しい」と告げられ、受け付けを拒否される事案が発生している。こうした話は筆者の回りにとどまらず、SNSを探すと思いの外多く見つかる。「ガラガラなのに(対応を)断られた」、と。
予約なしでもOKに戻ったはずなのに、予約なしで行くと対応してもらえないことがある――今回の「元ベテラン店員が教える『そこんとこ』」では、キャリアショップ店員の“証言”を交えつつ、この不思議な現象の謎に迫る。
今回は、ある代理店が運営するキャリアショップに勤める、筆者と旧知の店員から話しを聞くことができた。
「ガラガラなのに予約ないと対応してもらえないって、何かおかしいような気がしますよね」と、あえてあおり気味に話を振ってみたところ、至って冷静なトーンでこう答えた。
予約なしでの手続き、受け付けていないわけではないんですよ。店によっては「予約なしで大丈夫です!」的な掲示もしているくらいですし。でも、手続きは予約のあるお客さまを最優先で行っています。
コロナ禍前から、来店予約システム自体はありましたが、わざわざ予約して来店されるお客さまはそれほど多くありませんでした。しかし、コロナ禍の時に予約を必須化したところ、しっかりと来店予約をしてから訪れるお客さまがグッと増えました。コロナ禍が落ち着いた今でも、予約をした上での来店が多くなっています。
一見するとガラガラに見える店内でも、よくよく観察していただくと、カウンターは満席で、待合室のうち接客対応もできるゾーンは全部埋まっているなんていうこともよくあります。すいているように見えて、接客対応可能な店員はフル稼働中だったりするのです。ほとんどの場合、製品やサービスの展示コーナーの面積が広いゆえにガラガラに見えるだけです(笑)。
「それでも、手続きが早く終われば予約なしの来客にも対応できるのでは?」と思うかもしれません。しかし、次の予約のお客さまがすぐに来店される可能性もあるため、超短時間で終わると分かりきっている手続きでもない限り、割り込ませることが困難だったりします。
結局、当日の予約来店者が限界まで埋まっている場合、いつまで待たせることになるのか読めないので、予約なしの当日来店はお断りするしかないこともあります。
筆者の自宅最寄りのキャリアショップは、いつも閑古鳥が鳴いているように見える。待ち合いスペースも空席が目立つのだが、いつ行っても「予約がない場合は、しばらくお待ち頂きます」と案内される。「こんなガラガラなのに、どうしてなんだろう?」と思いつつ待っていると、その間に「○時から予約の△様!」という感じで予約来店者が呼び出され、続々と受付カウンターに誘導されていた。
だがいつ行ってもと案内されるし、待っている間にも「○時から予約の〜」とひっきりなしに予約済みの来客が来店し、どんどんカウンターで手続きを行っている様を見ている。
確かにスタッフの言う通り、目に見える混雑はなくともその日のカウンターの混雑具合はそれなりに予約でいっぱいになっている店舗は多そうだ。
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