ソフトバンク宮川社長が語る「経済圏の戦い」「PayPay黒字化」 “AIスマホ”への思いも(2/2 ページ)

» 2024年08月06日 22時41分 公開
[小山安博ITmedia]
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ついに黒字化したPayPay 「売上4桁億円」を目指す

 ファイナンス事業は、売上高が同20%増の631億円、営業利益は同75億円改善の57億円で黒字転換。PayPayの黒字化が寄与したという。PayPayカードを含むPayPayの連結売上高は同19%増の572億円、連結EBITDAは93億円となって2年連続で黒字を達成。営業利益の四半期ベースでは初の黒字化となった。

ソフトバンク PayPayが黒字化し、ファイナンス事業も黒字転換を果たした
ソフトバンク PayPayの連結EBITDAは拡大。営業利益は四半期ベースで初の黒字化となった

 PayPayの黒字化は、宮川氏の下期という想定よりも早いペースで、「黒字化は今期に来るとは思っていたが、第1四半期からとは思っていなかったので、なかなかいい子に育ってくれた」と語った。

ソフトバンク ファイナンス事業では、SB Payment Serviceの決済取扱高(GMV)が同21%と拡大。特にソフトバンクの通信料金以外の非通信分野で好調だ

 PayPayの黒字化に伴い、「IPOへの期待感も高まってきたと個人的には思っている」と宮川氏。ただ、決定権はPayPay取締役会にあるとしつつ、宮川氏は「まだまだPayPayは成長できるし、急いで資金調達する必要はない。もう少し成長の先が見えてから大きなIPOをしてもらった方がいいので、急がなくてよいと伝えている」と話す。

 通期では、PayPayの決済事業だけで売上高を「3桁億円ぐらい」を想定する宮川氏。以前から宮川氏はPayPayについて決済事業の1階、加盟店サービスの2階、金融事業の3階という3階建ての戦略を描いており、顧客基盤を使って新たな事業展開が重要だと指摘。金融サービスを積み上げて、売上高で「4桁億円ぐらいまでやりきらないと、金融事業が事業の柱と呼べるほどにはならない」として、さらなる成長を目指す考えを示している。

GAFAMとは違うAI戦略 「垂直統合型のAIインフラを作りたい」

 決算では、その他にエンタープライズ事業が売上高同10%増の2156億円、営業利益が同3%増の415億円。メディア・EC事業では売上高が同6%増の4083億円、営業利益は同74%増の981億円だった。一過性の要因を除いても20%増の549億円で好調だった。

 注力するAI関連では、AI計算基盤のデータセンターを分散配置する「Brain DataCenter」において、シャープの堺工場跡地にAIデータセンターを構築する計画が進められている。同工場跡にはKDDIもデータセンター構築を検討しているが、これはソフトバンクの検討の中で「急に出てきた話」(同)だったという。

ソフトバンク 同社が構築を進める次世代社会インフラの中で、Brain DataCenterの取り組みに進捗

 ソフトバンクは全体の6割ほどを占める液晶工場を再利用する計画で、KDDIは残りの4割の中での利用になるそうだ。「通信会社のAIデータセンターが堺工場に集結することになるかもしれない」と宮川氏。ただ、堺市とシャープの契約次第では撤退も検討する、という状況とのこと。

ソフトバンク シャープ堺工場の既存の設備を活用してAIデータセンターを構築する計画
ソフトバンク 堺工場を再利用することでさまざまなメリットがある

 宮川氏は、「個人的にはAIスマホを作りたい」としつつ、ソフトバンク社長としては「垂直統合型のAIインフラを作りたい」との目標を示す。Brain DataCenterではコア側からAIインフラを作り、さまざまな地域に分散して配置し、AI RANとして基地局のAI化を図りエッジコンピューティングを設置する。「基地局までは設計ができて進んでいるが、その先の(スマートフォンや自動車、家電などの)デバイスまでやると本当の意味での垂直統合ができる」というのが宮川氏の構想だ。

 これによって、いわゆるGAFAMと呼ばれる巨大IT企業に対して、「違う構造でのAIとの向き合い方がオリジナルでできるのではないか」と宮川氏は説明した。

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