マジモバのサービス内容を見ると、まさに、顧客ファーストなPPIHグループならではの特典といえる。 森谷氏は、今回の発表内容が「利益重視の新事業でなければ、携帯電話事業への参入でもない」とアピールする。
森谷氏は、「majicaの延長として、お客さまとのタッチポイントをたくさん取っていきたい。お客さまにとってよりよいサービスをご紹介したい、という要素の方が強い。現時点で売り上げ目標(そこまで大きな目標)は定めていない。われわれ自らが通信事業者になることも検討していない」とも話す。
手を組む相手にエックスモバイルを選んだ理由について、森谷氏は「われわれは小売業なので、変化に対応していくというところが一番重要だなと思ったときに、エックスモバイルは柔軟性があると判断した。通信に関してもドコモ回線を利用するところも大きかった」と説明する。
顧客ファーストなサービスや体験を重視するのがPPIHなら、MVNOサービスに欠かせない通信を担うのがエックスモバイルだ。社名の「X」をコラボのXとして、「消費者の“好き“X mobile」「推し」「○○モバイル」など、数多くのインフルエンサーや企業とコラボしたモバイルブランドを複数展開してきた。
その事例の1つに「ホワイトレーベル戦略」の一環として立ち上げた「HORIE MOBILE(ホリエモバイル)」がある。その名の通り、事業家の堀江貴文氏がプロデュースし、YouTubeの動画では堀江氏と木野氏が宣伝する場面もある。
一方、PPIHの森谷氏は、「店頭でのプロモーションみたいなものもかけていく予定だが、芸能人を起用した広告は考えていない」としており、マジモバ/最驚 Wi-Fiの宣伝手法や位置付けはHORIE MOBILEとは異なるようだ。
では、マジモバと最驚 Wi-Fiは、どのようにして誕生したのだろうか。「激安、驚安といえば、多くの人がドンキ(ドン・キホーテ)を想起するのではないか?」という問いかけからプレゼンを始めたエックスモバイルの木野氏は、自身の体験談とともに、マジモバ開始に至るまでの経緯をこう紹介した。
「お金がない時期には、地元の岐阜にあるアピタやユニーへ閉店間際に向かい、安くなる食品を買ったのを思い出す。その後、エックスモバイルの創業から間もない頃、当時は専務(現在はPPIH代表取締役社長)だった吉田直樹氏にモバイルの提案を行ったことがあった。そのときはまだこのような形にはならなかった」
「今から約2年前、吉田社長に再チャレンジの機会をいただいた。結果、即座にプロジェクトチームが組成され、PPIHグループの皆さんと数えきれないほどの打ち合わせを経て、マジモバをともに準備してきた」
「失礼ながら夜中にメールで返事をしてしまうことがあったが、何時に返してもPPIHの皆さんからお返事があった。それどころかマジモバをどうすればよくできるのか、価格をもっと下げられないか、といったアイデアが次々に出てきた」
これまでの期間を木野氏は、「ワクドキ」の期間であったと表現し、丁寧に振り返った。その上で、「マジモバがドン・キホーテやユニーで展開されることを、1人の経営者としてうれしく思う」とした。
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