“ホリエモンのMVNO”誕生の舞台裏 あえてahamoより高く、今後も「○○モバイル」は増やすMVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2023年04月25日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 2014年にモバイル業界に参入したエックスモバイルは、代表取締役の木野将徳氏がゼロから立ち上げたMVNOだ。ISPやネットサービスなどの“本業”がない中、開業時から代理店を拡充するなどして、現在まで生き残ってきた。CMに歌手の氷川きよし氏を起用したクラウドSIM搭載の「限界突破WiFi」で同社の名前を見聞きした人も、少なくないだろう。そんな同社が、新たな戦略に基づいて立ち上げたのが、事業家の堀江貴文氏との共同事業になる「HORIE MOBILE」だ。

HORIE MOBILE エックスモバイル木野将徳社長(左)と堀江貴文氏(右)がタッグを組んでスタートした「HORIE MOBILE」

 HORIE MOBILEは、単に通信が使えるだけでなく、堀江氏が関わるさまざまなサービスをセットにしているのが特徴。音声メディア「Voicy」の「ホリエモンチャンネル」や、堀江氏が発案したベーカリー「小麦の奴隷」のカレーパンが1個無料になるクーポンなど、同氏のファンにはうれしい特典が付く。料金は、5分間のかけ放題と20GBのデータ通信で、月額3030円(税込み)だ。

HORIE MOBILE 月額料金は3030円で、20GBのデータ通信と5分かけ放題、堀江氏が手掛けるコンテンツやカレーパンが特典に付く

 このHORIE MOBILEに先立ち、エックスモバイルはメンタリストのDaiGo氏との共同企画として、「DXmobile」を立ち上げている。こちらは、モバイルWi-Fiのブランドで、データ容量は月50GB。「余ったギガで、猫を救う」をコンセプトにしており、DaiGo氏の動画サービスである「D-Lab」も視聴できる。著名人と共同でブランドを立ち上げ、専用サービスで付加価値をつけていくのがエックスモバイルの戦略といえる。

 一方で、これまで“格安スマホ”と呼ばれていたMVNOの料金水準と比べると、やはり少々割高だ。HORIME MOBILEに関しても、金額ではドコモのahamoをはじめとしたオンライン専用ブランドを上回っている。エックスモバイルの勝算はどこにあるのか。:木野氏 に同社の戦略や、新ブランド立ち上げ後の成果を聞いた。

10円、100円安くする細かな戦いをしていても、らちが明かない

―― 最初に、立ち上げ直後から話題になっているHORIE MOBILEについてうかがえればと思います。なぜ、堀江さんとだったのでしょうか。

木野氏 堀江さんには、10年ぐらい前にX-mobileをスタートしたときにメールをしたことがありました。その後、堀江さんがXiaomiの端末を「めっちゃいいじゃん」と言っていたので、一緒に売りませんかとご提案しに行ったこともあります。

 ただ、それは技適の問題があって売れなかったのですが(笑)。その後も2年ごとぐらいのペースでお会いしていました。フランチャイズをスタートしたというようなことも定期的にお話している中、昨年(2022年)、X-mobileの商品紹介で(YouTubeの)「ホリエモン チャンネル」に出させていただく機会がありました。その反応がよかった。

 そこから何度か話をしていき、僕の方からHORIE MOBILEをやりませんかとご提案しました。最初は「HORIE MOBILEって何よ?」という反応でしたが(笑)。これは堀江さん専門のケータイキャリアです、とお話ししました。(ナイキにおける)マイケルジョーダン専門のシューズのようなものですね。

HORIE MOBILE インタビューに答える木野将徳氏

―― 確かにエックスモバイルという会社の中の別ブランドというと、ナイキにおけるジョーダンブランド(ナイキから独立しており、コーナーを別に設けて展示しているショップも多い)のような位置付けなのかもしれません。

木野氏 これは、僕が昨日たまたま「AIR/エア」という映画を見たので、そう思っているのかもしれませんが(笑)。

―― なるほど(笑)。堀江さんの前には、DaiGoさんとのDXmobileもありました。この著名人を起用するという方向性になったのは、なぜでしょうか。

木野氏 最初にお話ししたのがDaiGoさんです。限界突破WiFiがソフトバンク回線の問題(回線を仕入れていた代理店がソフトバンクから契約を打ち切られて、無制限での提供ができなくなった話。筆者の過去記事でもその経緯を詳報している)もあって瀕死(ひんし)の状態になり、楽天モバイルも0円プラン(UN-LIMIT VI)を出してきました。さすがに0円には対抗ができません。この状態でいつまでも10円、100円安くするという細かなMVNO同士の戦いをしていても、らちが明かないと思いました。

堀江氏やDaiGo氏は広告塔として起用したわけではない

木野氏 単純な価格競争ではなく、それをやるなら、X-mobileの名前じゃなくてもいいと思ったんです。MVNOを作るのもそれなりに大変ですが、うちは全国に店舗があり、MVNOとして普通に運営できています。これをホワイトレーベルにして、一緒に事業を立ち上げ、ともに育てていくことができればということで、最初にDaiGoさんにお話をしたところ、興味を持っていただけました。

 DaiGoさんとは半年ぐらい、食事などをしながら、何がやりたいことかを考えていきました。猫の殺処分を減らしたい、勉強できる環境のD-Labを皆さんに届けたいという思いがあり、一緒にDXmobileを立ち上げませんかとお声がけしました。最終的には余ったギガで猫を救おうというコンセプトになりましたが、これからもいろいろな特典を出していきます。それができるのも、彼の協力があってこそです。

 僕らが提供しているものは他のMVNOと変わりませんが、そこ(特典)に価値が付く。単純な案件なら広告料を払うのと同じですが、DaiGoさんや堀江さんには自分の事業としてやっていただきたい。1社1社プロデュースして、彼らのブランドとして提供していければ、彼らのビジネスを伸ばしていく上でもポジティブな要因になります。

HORIE MOBILE メンタリストDaiGo氏とコラボしたモバイルWi-Fiサービス「DXmobile」も提供中。通信料の一部が保護ネコ支援に寄付される

―― あくまで広告として起用したわけではない、ということですね。

木野氏 はい。共同事業です。広告としてのお金は一切お支払いしていません。あらかじめ決めた比率でレベニューシェアをしています。今お話ししているところも、全てレベニューシェアです。

―― 開発費などがかかると思いますが、そういったところは折半ですか。

木野氏 組み方によって違います。例えば、大きな会社がエックスモバイルの代理店になり、そこが独自の通信サービスをやりたいとなれば、可能な範囲で必要ですが、われわれからアプローチする場合は何もいただいていません。堀江さんやDaiGoさんにはかなり稼働していただいていますから。あれを広告だと考えれば、数千万円お支払いしなければいけないほどです。共同事業として、いい形ではないかと思いました。

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