日本通信が「ネオキャリア」に向けて一歩前進 迷惑電話撃退や音声翻訳など、電話機能の拡張も具現化石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2024年12月07日 11時30分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

接続合意に続いてIMS導入も決定、接続試験も来春スタートへ

 フルMVNOとしてサービスを開始するには、(1)ドコモとの音声相互接続をして、(2)日本通信自身がIMSを持ち、(3)SIMカードやeSIMシステムを構築した上で、(4)発着信する事業者との接続を行い、(5)緊急通報との相互接続もしなければならない。冒頭で述べたように、ng-voiceのIMSを採用するのは、ドコモと音声相互接続をする準備の一環で、この中では(2)に該当する。

 電話番号だけで音声通話が他社の端末につながるのは、キャリア同士が相互接続をしているからだ。データ網だけを相互接続しているライトMVNOの場合、音声網はMNOのものをそのまま使うだけで、その必要がない。これに対し、日本通信が目指す音声網まで含めたフルMVNOは、(4)のように、自ら他社や緊急通報機関と相互接続をしていかなければならない。

日本通信 フルMVNOとしてサービスするには、これらのステップをクリアしていく必要がある。ng-voiceとの提携によって、図内(2)のIMSを構築することが可能になった

 日本通信が予告しているサービスインまで、まだ1年半程度の猶予はあるが、「ドコモのネットワーク改修が2026年に終わるより前に、他社との相互接続や緊急通報をやっておく必要がある」(同)。ng-voiceの導入を最終決定したのは、取材日当日。ここから同社のプライベートクラウド上にIMSを構築した後、「来春には緊急通報や固定網との接続テストをしていく」(同)。

日本通信 日本通信とng-voiceが契約を締結した瞬間。筆者らの取材日当日にサインし、IMS導入が正式に決まった

 とはいえ、相互接続する相手の数は多く、特に緊急通報機関は「統廃合でだんだん減っているが、786カ所もある」(同)。これは、消防の数が多いためだ。119番通報は、各市町村が設置する消防本部が管轄地域ごとに割り当てた消防指令センターで受ける体制が構築されている。そのため、同じ119番でも、実際には基地局の設置場所でセンターを特定し、それぞれの地域の消防指令センターに接続している。音声通話を開始するには、この1つ1つと接続していく必要がある。

日本通信 消防庁が総務省の有識者会議に提出した「119番通報の現状について」。警察や海上保安庁とは異なり、消防への緊急通報は基地局の情報に基づき、各地域の消防指令センターに接続する形を取る

 スピーディーな導入が可能なng-voiceのIMSは構築できたとしても、実際の接続テストを来春までに始められるのか。この疑問に対し、福田氏は「実は既に消防署はまわり終わっている」と話す。2024年夏までに、これを完了させていたとのこと。福田氏自身が現地まで行ったわけではないが、「社員からは八丈島や利尻島に行ってきますという出張申請も受けた」という。人海戦術で、緊急通報機関との相互接続の見通しも既に立てていたというわけだ。

 こうした日本通信側の作業と並行し、ドコモ側が音声相互接続を可能にするため、ネットワークを改修していく。接続ができれば、日本通信は2026年5月24日にフルMVNOとしてのサービスを開始できるようになる。ng-voiceとの提携や、同社のIMSを採用したことで、ドコモとの音声接続合意に次ぐ大きな山を1つ超え、次のステップである接続テストに進めるようになった。フルMVNO化で実現できる同社のサービスも徐々に明かされており、着々とその準備が進んでいることがうかがえた。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月09日 更新
  1. 「Suicaのペンギン」卒業騒動にまつわる背景と誤解 JR東日本に聞いた (2025年11月14日)
  2. 折りたたみiPhoneは30万〜40万円超に? ダミー画像から見えたスペックと品薄の懸念 (2026年09月07日)
  3. ドコモの純正スマートウォッチがAmazonで14%オフの約6000円に 心拍や睡眠の測定も可能 (2026年09月08日)
  4. なぜLINEは“ちょっとした気遣い”で重宝された「ミュートメッセージ」を有料化したのか? (2026年09月08日)
  5. 3COINSで1320円の「コイル充電ケーブルAtoC」を試す 伸縮式よりも“ラフ”に扱えて便利 ただしキーボードにはアンマッチ? (2026年09月08日)
  6. “折りたたみiPhone”だけじゃない もうすぐ開催のAppleイベントで登場する新製品のうわさを総まとめ (2026年09月08日)
  7. 車内を大画面エンタメ空間にする「VANBAR ディスプレイオーディオ」がセールで20%オフの2万8777円に (2026年09月08日)
  8. 「Pixel 6a」で製品起因が疑われる発火事故が発生 消費者庁が「消費生活用製品の重大製品事故」として公表 (2026年09月07日)
  9. パスポート型折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」と「HUAWEI Pura X Max」の実機比較で見えてきた違い (2026年09月07日)
  10. 1日1ページ、予定/ToDoや手書きメモがまとまるiPhone/iPad向け手帳アプリ「FirstSeed手帳」登場 (2026年09月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー