日本通信とNTTドコモが2月13日、音声通信網とSMS網の相互接続で合意した。日本通信が翌14日に発表した。これにより、MVNOである日本通信と、そのユーザーがどのような恩恵を受けられるのか。同日の会見で、代表取締役会長の三田聖二氏と、代表取締役社長の福田尚久氏が説明した。
日本通信はドコモの設備の一部を借り受けてサービスを提供している。中容量プランの中では頭1つ抜けて安価な「合理的30GBプラン」を打ち出すも、月額料金はそれまで提供していた「合理的20GBプラン」と同じ2178円(税込み、以下同)のままだ。
2007年の総務大臣裁定により、データ通信網の相互接続は実現しているが、音声通話はMNOからの卸サービスとして提供されており、相互接続はできていなかった。加えて、「音声部分の卸料金が高すぎる」(福田氏)ため、音声通話に関してはデータ通信のように安価なサービスの提供が難しい。
それが老舗MVNOの日本通信が抱える悩みの種であったという。
もう少しかみ砕いていえば、これまで国内外全MVNOは携帯キャリアが技術的あるいは契約的に制約する範囲でしかサービスを提供できず、MVNOと携帯キャリアが同じ土俵で戦うことはできなかった。福田氏は「低価格だけではない、付加価値のあるサービス競争を本当はやりたい」が、なかなかこのハードルを越えられずにいたという。
制度的な課題である電話番号もそうだ。ドコモと日本通信で音声通信網の相互接続を試みたとき、090、080、070から始まる携帯電話番号が付与されていないMVNOにとってのハードルは下がらず、「相互接続までたどり着くことができない」(福田氏)という。
そのため、「日本通信は総務省関係者にあらゆる形でこうした問題点を説明し、2021年12月に総務省の通信情報通信審議会で、 一定の条件を満たしたMVNOにも電話番号を直接付与すべき、という結論が出された」わけだ。
2021年12月の答申を受けて、日本通信は2022年6月10日、ドコモに音声網の相互接続を申し入れて以降、日本通信とドコモとで協議を積み重ねてきたという。2023年2月22日の省令改正により、MVNOが一定基準を満たせば、電話番号が付与されるようになった。
その後も日本通信とドコモが、技術的な面制度的な面でさまざまな協議を重ね、音声通信網とSMS網の相互接続で合意に至った。
ただ、ドコモ側でのソフトウェア改修が必要になり、「このようなケースだと、一般的に数年単位でかかる」(福田氏)が、実際には「想定よりはるかに短い2年ほどで完了できる」そうだ。
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