日本通信があらゆるサービスや仕組みを実現する上で、欠かせないのが「認証識別番号(090から始まる電話番号、識別番号であるIMSI)」「認証媒体(SIMやeSIM)」「認証コアシステム」の3つから成る認証基盤だ。
eSIMへのアクセスは電子認証局が必要で、GSMAからSAS(Security Accreditation Scheme)認定を受けた認証局が、世界中のeSIMへのアクセス権を持つ。福田氏によると、日本通信は「国の認定を唯一受けた事業者」であり、日本通信が独自に電話番号を発行できるようにならなければ、実現しないことの1つだという。
日本通信が認証基盤を持つことで、「本来、日本通信がやりたかった」とする、割安かつ付加価値のあるサービスの提供が可能になる、というのが今回の発表内容で大きく注目したいポイントだ。福田氏は「3レイヤー(認証識別番号、認証媒体、認証コアシステム)全てをわれわれ自らで作って、運用していける点が極めて大きい」とする。
自前でこれらを持つということは、当然、費用も日本通信が負担することになるわけだが、三田氏は「昔なら十億単位の交換機を置かなければならなかったところ、昨今の技術の進歩によりソフトウェアとサーバで機能する」とした。
一方で、福田氏は「具体的な投資額に関しては、日本通信とドコモとで厳格な秘密保持契約を結んでいるため、開示できない」とした。
日本通信は、携帯基地局以外の機能を全て保有することで、携帯キャリアと同一のサービス提供能力を持つ、「ネオキャリア」を目指すとしている。福田氏は「現時点の情報ではあるが……」と前置きしつつも、相互接続を生かしたサービス開始予定日を2026年5月24日と発表した。
このタイミングとした理由について、福田氏は「日付にはこだわっていないが、創立30周年を迎える日だから」と話しつつも、前倒しする可能性を示唆した。
ネオキャリアが日本のモバイル通信市場でどれほどのシェアを獲得できるのかは不透明だが、例えば、欧州、特にドイツではMVNOが市場の半数近くのシェアを握っており、英国やフランスでも25〜35%と日本よりも高い。福田氏は、付加価値のあるネオキャリアへと進化した日本通信が、日本のモバイル通信市場において数%までシェアを獲得できる見通しを示した。
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