総務省は12月5日、「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正案に対するパブリックコメントの結果を公表。同ガイドラインを12月26日に改正する。
ツッコミどころはたくさんあるが、ここで注目しておきたいのが「お試し割」だ。
楽天モバイルからの要望を受けて実現する運びになりそうだが、これが業界的にかなり波乱を起こしそうな予感がしている。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年12月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
割引の条件としては「税別2万円以内」「割引期間は最大6か月」「適用されるのは同一事業者の同一契約者で1回のみ」「複数ブランドがある場合はブランドごとの割引は禁止」なのだという。
ただ、2万円を6か月で割れるということで、楽天モバイルやahamoなど、3000円程度の料金プランを半年、使えるというのは大きいのではないか。現在、Aというキャリアを契約している人であればBーCーDと1年半、毎月タダで使うことも可能だ。半年後はさらにMVNOを渡り歩いていけば、相当、お得なデータ通信ライフが送れるのではないか。
パブリックコメントではキャリアから「契約者でなく使用者で見るべき」とか「期間を限定すべき」という声が出ていた。まさに仰るとおりで、手数料はかかるが、家族の名前を借りて回線の名義変更すれば何周もできてしまうのではないか。
総務省は端末の割引に対して、やたらと「不公平感」という武器を振り回してくる。端末を頻繁に購入する人と、同じ端末を長く使う人で「不公平感」が出るから、端末の割引はけしからんという主張だ。
まさに「お試し割」こそ、ホッピングしていく人と、同じキャリアで満足している人との「不公平感」につながりはしないのか。
この「お試し割」、確かに安価なプランを提供する楽天モバイルにユーザーが殺到する可能性がある一方、お得な料金プランにめざとい、すでにMNPを経験しているユーザーが楽天モバイルから流出する可能性だってあり得るだろう。
とりあえず、楽天モバイルを契約しているものの、他の3キャリアに半年ずつ、計1年半、ホッピングして、最終的に楽天モバイルに戻ってくれば良い。それだけで6万円ほど節約できるのだから、本当にありがたい話ではないか。
業界全体的に見ても、お試し割による営業費の負担増がハンパないことになりそうなだ。せっかくKDDIやソフトバンクはV字回復し、楽天モバイルも黒字化に向けて順調に動き出しているなかで、お試し割が冷や水にならないか、心配でならないのだ。
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