達人が選ぶ「2024年を代表するスマホ」 ハイエンド/ミッドレンジで厳選した5機種を語り尽くすスマートフォン・オブ・ザ・イヤー2024(3/3 ページ)

» 2024年12月27日 18時38分 公開
[井上晃ITmedia]
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島氏:「らくらくスマートフォン Lite」は出てきただけで価値がある

・推薦機種(ハイエンド)……motorola razr 50 ultra、Xiaomi 14T Pro、Pixel 9 Pro XL、AQUOS R9
・推薦機種(ミッドレンジ)……らくらくスマートフォン Lite MR01

島徹 島徹氏

 ミッドレンジの「らくらくスマートフォン Lite MR01」から。スマートフォンが普及して10年ほどたち、高齢の利用者がマイナンバーカードや決済を利用するのはもちろん、初期からの利用者も年齢を重ねています。ただ、市場では安価かつ大画面のモデルが数多く投入されている一方で、使いやすさの面でボリュームゾーンに刺さっているのか疑問でした。

 そんな中で、大画面・低価格 ・SIMフリーで「らくらくスマートフォン」の新モデルが出てきました。ホーム画面に、アプリ名が大きい文字かつ省略なしに表示されているだけで価値があります。また、以前から「らくらくコミュニティ」というWebコミュニティーが続いているのも、この時代になって改めて評価したいところです。こういった立ち位置のスマホやホーム画面については、国内メーカーやキャリアがもっとフォローして欲しいところ。Pixelの新しいシンプル設定も、ホーム画面のアプリ名の省略があり見づらいので。

 シャープのAQUOS R9は、「今までのAQUOSは何?」と言いたくなるほど各機能が進化しました。カメラ・サウンド・充電がハイエンドとして評価できる仕上がりになり、 “ほどよくハイエンド”として魅力的なプロセッサ性能と価格を実現しました。AIを留守電だけでなく、通話の防犯にも活用する瞬発力にも驚かされました。

 Xiaomi 14T ProはiPhone 16と迷って選びました。昨年(2023年)のXiaomi 13T Proの時点で機能がかなり充実していましたが、デザインや日本語AI対応やデザインを含めて順当に進化しています。あと、10万円台前半のハイエンドのカメラは望遠からマクロまでのうちどこかを割り切りつつも快適な撮影体験を実現できるのかが重要ですが、きれいに撮れる撮影倍率、撮影距離が広めで穴が少なく、落ち着いて撮りやすいのも好印象です。

Xiaomi 14T Pro ライカと共同開発したカメラに加え、スマートフォンとしての性能や使い勝手を追求したXiaomi 14T Pro

 フォルダブルは「欲しい」と思えるものがあまりなかったのですが、motorola razr 50 ultraは「コンパクトな形状から現れる大画面」「自撮りや記念写真を高画質に撮れる」という、折りたたみに期待している機能をしっかりと実現しています。特に大型のサブ画面と底面が滑りにくい素材を採用した点は、珍しいだけでなく実用性を考えた良い設計です。

 Pixel 9 Pro XLは、性能に対してやや高額ですが挙げました。理由の1つは、今年各社のAIを活用する中で、Pixelの機能やGeminiを日常の検索から各種処理の解決まで広く利用する機会が多かった点。もう1つは、今年は旅をしながら複数の機種の写真に加えて動画も比較撮影することが多かったのですが、広い焦点距離、近年のスマホのAIによる盛りもありながら派手すぎず無難に撮れること、夜間の動画もクラウド処理を含めて当たりのカットが出やすかったのが印象的でした。2024年という観点だと標準サイズで光学5倍を搭載したPixel 9 Proを挙げたいところですが、撮るのも見るのも大画面で快適という好みでPixel 9 Pro XLにしています。

村元氏:「Galaxy S24」は希少なコンパクト機として評価

・推薦機種(ハイエンド)……Pixel 9 Pro、Xiaomi 14 Ultra、Galaxy S24
・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9、Nothing Phone (2a)

村元正剛 村元正剛氏

 ハイエンドのPixel 9 Proは、これまでの無印か、大画面のProかという2択だった中で、今回は“無印サイズのPro”が出てきたことを評価しています。性能がよくてコンパクトな機種が欲しかった人は多かったと思いますから。

 後は島さんと同じで、旅行に行くときのカメラとしてはPixel 9 Proが圧倒的によかったです。その理由は、カメラが記憶色に補正されるのですが、無理すぎなくて、ナチュラルなこと。例えば、旅行中に天気が悪くて、曇り空だったとしても、曇り空なりにきれいに撮れます。逆光も、水もきれいに撮れます。失敗がなくて、広角の美しさが圧倒的でした。カメラに関しては、Pixel史上一番レベルが高いところに到達したと感じます。GeminiやAI機能も使いやすい。ただし、値段が高かったですね。

Pixel 9 Pro カメラの画質やAI機能を評価する声も多かったPixel 9 Pro

 Xiaomi 14 Ultraは、見たら買いたくなるインパクトがありました。実際に個人的にも購入しまして、19万9000円くらいしましたが、フォトグラフィーキットなども付いていて、買ったことを後悔しておらず、いまも使い続けています。広角から望遠まできれいに撮れますし、ライカの色使い、フィルターやスタイルの使い分けも楽しいです。ただし、電池が早くなくなったり、使わないのに立ち上がる「Mi Browser」が邪魔だったり、改善してほしい要素もいくつかありました。

 ちなみに、最近発売された端末に「OPPO Find X8」もあって、Xiaomi 14 Ultraを外してこちらを入れようかとも悩みましたが、まだ使いこめていなくて、しっかり評価できていません。

 Galaxy S24は、何よりコンパクトで高性能な端末だったことを評価しています。今年はXperiaシリーズも「5」を見送っていたので、貴重な選択肢でした。Galaxy S24はきっちり高性能で、サクサク動きますし、カメラもきれいです。また、Galaxy AIとして、いち早く翻訳や、要約、AIスケッチなどの機能も取り入れていて、Geminiも使える。端末に入っている機能だけでトレンドの生成AI機能を楽しめる点でも画期的だったと思いました。

 ミッドレンジのAQUOS sense9は、大前提として薄さと軽さをキープしてくれているのがうれしい。カメラもディスプレイもきれいになっていて、個人的にはステレオスピーカーになったことも評価しています。欠点がなく、限りなくハイエンドに近いミッドレンジに仕上がったと感じています。

 僕はNothing Phone (2)を持っているのですが、Nothing Phone (2a)は、4万円台で買えつつ、(2)と使い勝手がそこまで変わらない。廉価版なのに結構使えました。おサイフケータイが入ったことも評価しています。日本語のドットフォントを導入していたり、ファンの声を生かしてSpecial Edition、Community Editionを展開していたりと盛り上がっている様子も楽しそうなので、今後にも期待しています。

ITmedia Mobile編集部:進化の幅が大きかったiPhone 16、新機軸のPixel 9 Pro

・推薦機種(ハイエンド)……iPhone 16、Pixel 9 Pro、motorola razr 50、Xiaomi 14T Pro
・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9

 編集部では、メディアとして記事がどれだけ読まれたか、読者の関心などを踏まえて評価をしました。2024年に記事が一番読まれていた機種はiPhone 16シリーズで、スマホの販売ランキングを見ても、15〜16シリーズが席巻しているような状況です。その中でスタンダードなiPhone 16を選んだのは、プロセッサが「iPhone 15」のA16 BionicからA18にジャンプアップしたことをはじめ、先代との差分が大きかったからです。ソフトバンクが1年で36円など攻めた価格を出していたように、売るための施策が充実していたことも特徴でした。こうした理由で、一般の方に勧めやすい端末だと感じます。

 Pixel 9シリーズの記事も多く読まれました。4モデルあるなかでPixel 9 Proを選んだのは、無印と同サイズに小型化した上で、ハイエンドの機能を凝縮してきたことで、例年にはないトレンドが生まれました。選択肢としてハイエンド=大型だけではないことを示したところを評価しました。

 フォルダブルでどれを入れるか悩み、モトローラのmotorola razr 50を入れました。2024年は同社の動きが活発でしたし、発表会でもシェアが2〜3倍に増えたことを公言されていました。一般の人でも手に取れるようになる“折りたたみの民主化”があった中で、象徴的な機種だったと思います。「motorola razr 50s」やmotorola razr 50 ultraなどのバリエーションもありますが、ソフトバンク版はメモリが少なかったり、ultraは価格が高かったりするので、今回はバランスのいい無印のrazr 50を挙げました。

motorola razr 50 折りたたみスマホの民主化を進めたモトローラ。価格とスペックのバランスのよさからmotorola razr 50を評価した

 Xiaomi 14T Proについては、Xiaomi 14 Ultraと迷いつつ、スマートフォンとしてのバランスを見て、こちらにしています。おサイフケータイも備えていて、キャリアの販路もある。そして、急速充電にも対応しているという堅実な部分を評価しています。

 ミッドレンジにはAQUOS sense9を挙げました。上位のRシリーズのエッセンスを絶妙に融合させて、しっくりハマったかなと思います。カメラ、ディスプレイ、スピーカーなどが改良されていて、AI機能も一部対応しています。イヤフォンジャックがなくなっていますが、こうした引き算もうまかったですね。

 また、ITmedia Mobileではドコモの販売ランキングの記事を毎週載せているのですが、9月からずっとiPhoneが首位だったところ、唯一それを引きずりおろしたのがAQUOS sense9でした。販路も先代のAQUOS sense8だとソフトバンクが扱っていませんでしたが、2024年は4キャリアが扱い、MVNOも含めて非常に販路が広がっていることも、人気を裏付けていると加味しました。

ハイエンド部門とミッドレンジ部門で各5機種がノミネート

 審査員が選んだ5機種を集計し、ハイエンド部門とミッドレンジ部門の上位5機種をノミネート機種として選出しました。

ハイエンド部門

  • 1位……Xiaomi 14 Ultra(5票)
  • 2位……Xiaomi 14T Pro(4票)
  • 3位……AQUOS R9 pro(3票)
  • 3位……Pixel 9 Pro(3票)
  • 3位……Galaxy S24 Ultra(3票)

 ハイエンド部門は1位にXiaomi 14 Ultra、2位にXiaomi 14T Proがランクイン。以降は3票ずつ獲得したAQUOS R9 pro、Pixel 9 Pro、Galaxy S24 Ultraが並びました。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー ハイエンド部門のノミネート機種。左上からAQUOS R9 pro、Xiaomi 14 Ultra、Galaxy S24 Ultra、Xiaomi 14T Pro、Pixel 9 Pro

ミッドレンジ部門

  • 1位……AQUOS sense9(6票)
  • 2位……Nothing Phone (2a)/Nothing Phone(2a)Special Edition(4票)
  • 3位……Libero Flip/nubia Flip 5G(2票)
  • 3位……らくらくスマートフォン Lite MR01(2票)
  • 4位……Xiaomi 14T(1票)

 ミッドレンジ部門は、1位がAQUOS sense9、2位がNothing Phone (2a)/Nothing Phone(2a)Special Edition、3位にLibero Flip/nubia Flip 5Gと、らくらくスマートフォン Lite MR01がランクインしました。5つ目の機種になる4位には、1票ずつ獲得したXiaomi 14Tとmoto g64yから決選投票を行い、Xiaomi 14Tが選ばれました。

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー ミッドレンジ部門のノミネート機種。左上からAQUOS sense9、Nothing Phone (2a)、Libero Flip、らくらくスマートフォン Lite、Xiaomi 14T

 この後、各部門で審査員が配点をした上で、ナンバーワン機種が決まります。果たして、各部門のノミネート機種5つの中から栄冠を手にする機種はどれか? 結果は12月中に掲載予定の次回レポートをお待ちください。

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