ITmedia Mobileでは、2024年を代表するスマートフォンを決定する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2024」を開催しました。
審査の対象となるのは、2024年1月1日から2024年12月中旬までに発売したスマートフォン。審査員がそれぞれ5機種を推薦し、その中で票が多く集まった10機種をノミネート機種として選定しました。2024年は「ハイエンド部門」と「ミッドレンジ部門」に分け、各部門で5機種ずつ(計10機種)、最終的に各部門で1機種(計2機種)を選定します。なお、ハイエンドとミッドレンジの線引きについては、価格が10万円を超えるかどうかという基準を用いました。
2024年の審査員は、ITmediaなどで活躍し、1年間を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐野正弘氏、島徹氏、房野麻子氏、村元正剛氏、山根康宏氏(五十音順)の8人とITmedia Mobile編集部です。今回は、審査員が推薦した5機種とその理由を紹介します。
・推薦機種(ハイエンド)……Xiaomi 14 Ultra、AQUOS R9 pro
・推薦機種(ミッドレンジ)……らくらくスマートフォン Lite、AQUOS sense9、Xiaomi 14T
ハイエンドは、「Xiaomi 14 Ultra」がダントツという印象でした。 カメラでガチンコで来たのも面白かった。「AQUOS R9 pro」もハードウェア的にいいところはありましたが、実際触ってみると、まだまだ「Xiaomi 14 Ultra」を追いかける立場でしたね。
一方、ミッドレンジに関しては、シャープの「AQUOS sense9」が抜きん出ていました。あとの機種は悩みつつ、「Xiaomi 14T」と、ギリギリ2024年に発売されたFCNTの「らくらくスマートフォン Lite」を挙げました。
・推薦機種(ハイエンド)……AQUOS R9 pro、Xiaomi 14 Ultra、Galaxy S24 Ultra
・推薦機種(ミッドレンジ)……Nothing Phone (2a) Special Edition、nubia Flip 5G
ハイエンドについて、Xiaomi 14 Ultraは確定ですね。プロユースで実際に使っている人も多いですし、カメラとしても、スマートフォンとしてもよくできています。フォトグラファーキットが付いたら使いやすくなるのも良い。今年ナンバー1でしょう。
「Galaxy S24 Ultra」は、マイナーチェンジっぽいところもあるのですが、「AIスマートフォン」化を今年最初に行った端末であることを評価しました。世界初ではないものの、内蔵しているSペンを生かした生成AI機能が使えることなど、他社に先駆けて生成AI機能を形にしていました。
「AQUOS R9 pro」は、発表時にかなり衝撃を受けた1台でした。「シャープやればできるじゃん」と思いましたね。ひと皮剥けて、海外と同じレベルのものを作れている。実際、個人的にも初めてシャープ製スマートフォンを購入しました。もし、これを2年前に出せていたらシャープは変わっていたでしょうね。
ミッドレンジは、「Nothing Phone (2a) Special Edition」を挙げました。これまでの1と2は、能書を垂れすぎていて、お高くとまりすぎていた感がありましたが、今回の2aは手頃な価格に落ち着いて、日本向けにおサイフケータイ対応も図っているなど、ようやく肩の力が抜けたデザイン端末になった気がしました。Special Editionを挙げていますが、ハード的な違いはほぼないので、票を入れる際には、「Nothing Phone (2a)」としてまとめてもらって構いません。
そして、「nubia Flip 5G」は、フォルダブルの低価格モデルを世界に先駆けて日本市場に出してきたところに衝撃を受けました。本気で日本に折りたたみを出そうと考えたアグレッシブな1台だったと思います。
・推薦機種(ハイエンド)……Xiaomi 14 Ultra、iPhone 16、Galaxy S24
・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9、Nothing Phone (2a)
今年はいい機種が多かったので絞り込むのが大変でした。推薦枠に限りがあるので、入れたかったけれど漏れてしまったものもあります。
ハイエンドのXiaomi 14 Ultraはスマートフォンの枠を超えて、カメラに片足を突っ込んでいるような機種でした。スマートフォンとして見ると使いづらい部分はありつつも、フォトグラフィーキットをつけると本当にデジタルカメラのような撮影ができるのが面白かったですね。同社としてライカブランドのカメラを日本で初めて出した端末でもありましたし、オープンマーケット向けのみとはいえ、「T」の付かないナンバリングを投入してきたことも評価したいところです。
ちなみに、同機は日本で発売されているスマートフォンの中で、唯一“絞り”をいじれるようになっていたことも本格志向でした。どうしても、カメラのセンサーが大型化してレンズのF値が低くなってくると、飯撮りとかするときに、手前だけにピントが合ってしまうことがあります。写真は光を切り取るものと考えると、こうしたフラグシップモデルが“絞り”を意識してきたことは、必然の流れでしょうね。
同じような意欲作としてAQUOS R9 proもありましたが、先に発売したXiaomi 14 Ultraと同系統ゆえに泣く泣く外しました。こちらも頑張ってはいたものの、もう一歩足りなかったですね。先ほどの“絞り”があって、ライカらしい写真が撮れるXiaomiに対して、シャープはライカの色味を全面に出すよりも、「ライカの協力でキレイになりました」という意味合いが強かったので、同じライカモデルでも方向性の差を感じました。
あと外せなかったのは「iPhone 16」です。肝心のApple Intelligenceは日本語未対応なので評価しづらいですが、その対応をするためにプロセッサやメモリが底上げされたのが重要。全体的に無印のiPhoneのバランスがよくなり、万人におすすめできる端末になりました。個人的にはProシリーズを買いましたが、やっぱり無印でもよかったかなと思うくらいです。新搭載の「カメラコントロール」にも賛否はありますが、先日のアップデートで半押しオートフォーカスに対応して、多少使いやすくなったと感じています。Apple Intelligenceも、恐らく4月くらいのアップデートで使えるようにはなると思うので、そうなると結構よくなるはず。今のうちにおすすめしておくべき端末だろうと思いました。
【訂正:2024年12月30日14時10分 初出時、Apple Intelligenceの日本語対応時期を「3月」としていましたが、正しくは「4月」です。おわびして訂正いたします。】
Galaxyについては、全部を代表して「Galaxy S24」を挙げたような感じです。筐体そのものは全然代わり映えしなかったのですが、とにかくGalaxy AIがすごかった。ちゃんと端末に組み込んで自然に使えただけでなく、いきなり日本語対応もしてきていました。もちろん荒い部分もありましたが、それでも日本語は来年というAppleや、日本語非対応機能を日本で紹介すらしないGoogleとかとは違って、ちゃんと対応させてきていたのがよかったですね。
ミッドレンジの「AQUOS sense9」は、候補を挙げるうえで最初に思いついた端末でした。本当にフルモデルチェンジしているくらいのイメージで、隙がなくなりました。賛否両論ある新デザインも、AQUOS senseにはフィットしているように感じます。デザインが変わったことで、基板配置もガラッと変わって、ステレオスピーカーを積めるようになったり、細かいところだとバイブレーションがハプティック(※触覚フィードバック)になっていたり、あの値段でハイエンドの風格すら漂わせてきたと感じます。一応、ライカブランドのカメラも備わっていて、コストパフォーマンスの高さで群を抜いていました。実際に数も去年より出ているようですし、文句なしの選定です。
Nothingは最初に日本上陸したときに、日本市場のことを本当に分かっているのかなという不安があり、どうなることやらと思っていましたが、今年になって体制をしっかり整えてきました。Nothing Phone (2a)では、日本向けにロットを分けておサイフケータイを搭載していて、かなり日本市場について真剣に考えていることが伝わってきた1台だったと思います。また「Phone (2a) Community Edition」として、ファンと一緒にバリエーションが展開されるのも、取り組みとして面白いなと評価しています。ミッドレンジだから背面のデザインをここまで省いてしまうのはどうかな、と思う部分もありましたが、頑張っているし値段も安いし、デザインも格好よくて無個性になりがちなミッドレンジモデルの中で個性が立っている。こちらも周りに勧めやすいミッドレンジになったのではないでしょうか。
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