今年のCES、やはり「節目」になっているような気がしてならない。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年1月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
数年前までの「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」の略称だったCESのころには、各社が新しい技術を搭載した新製品をひたすら、プレスカンファレンスで発表し、その実物を見るというのがブースの存在意義であった。
しかし、今年、ソニーやサムスン電子、LGエレクトロニクスなどはプレスカンファレンスでソリューションやコンテンツ事業を紹介。企業としてのメッセージを世界に向けてアピールする場になっている。そのため、ブースを見に行っても、製品はほとんど並んでおらず、ソリューション紹介などに留まるというのがトレンドになっていた。
もちろん、パナソニックのように、ナショナル時代の歴史を物語る古い製品をミュージアム的に展示し、ひげそりやドライヤー、デジカメなど、現行製品を並べているメーカーもあることにはある。ただ、トレンド的には製品ではなく、メッセージを見せるというのが、「最先端を行くメーカー」のやり方になっているようだ。
ここ最近のCESといえば、スタートアップが世界中からやってきて、自分たちのプロダクトを披露する場になっている。
数年前はこれも楽しかったが、今年は、どこかで見たことあるような既視感のあるプロダクトばかりでワクワク感は皆無であった。
かつて「フレンチテック」が勢いがあり、日本を始め他の国も、こぞって国を挙げてスタートアップを連れてくるようになった。
ただ、すでに国内で予選を勝ち上がり、支援を受けてラスベガスにやってきている優等生なスタートアップばかりで面白みに欠ける。
また、いずれのスタートアップも「アイデアベース」のものばかりで、すぐに製品にはならないものも多く、メディアとして取り上げづらいという状況もある。
こうしたスタートアップは「モノを売りたい」というよりも「投資家に見つけてもらって会社に資本参加してもらいたい」と思ってCESに来ている感が強い。
実際、プレスデーであっても投資家やアナリストの姿を多く見かけるようになり、青田買いの場になりつつある。
つまり、大手メーカーだけでなく、スタートアップのブースにもすぐに売られる「商品」は並んでいないわけで、ブース取材がつまらなくなりつつあるわけだ。
結局のところ、CESのようなイベントは「いかに人に会って話を聞くか」が重要であり、オンラインではなく、リアルで立ち話をすることで得られる知見に最大の価値がある。だからこそ、遠路はるばる展示会イベントに通うのだ。
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