2つの「ライカを冠したフラグシップスマホ」として評価すると、トータルの完成度の高さはXiaomi 14 Ultraに軍配が上がると感じた。AQUOS R9 proは「ここまでのものを世に出した」点は評価したいが、ハードウェア、ソフトウェア共にまだまだ粗削りな印象が目立つ。
AQUOS R9 proは手ブレしやすい点が気になり、ソフトウェアは操作系に課題があるように感じた。現時点では1倍をタップして1.2倍、1.5倍(それぞれ換算28mmと35mm)に切り替える項目もなければ、近年多くの機種で使える「2倍」の項目すらない。多くの競合がこの機能を備えるだけに、ここは時代遅れと感じられる。
それでも撮影した写真の雰囲気は両者ともに共通する部分があり、カメラ性能こそ差はあれど、目指す絵作りは近いものを感じられる。「ライカコラボ」のスマホとしては両者ともに完成度は高い。
Xiaomi 14 Ultraは卓越したカメラ性能はもちろん、フラグシップのスペックを備える「最上位」のスマートフォン。専用のPhotography Kitなどをはじめ、カメラ機能だけでなく「撮影体験」にも特化している。
それゆえに、カメラ以外の使い勝手で普段使いでは不満に感じる場面もある。筆者としては、電池持ちが競合機種と比較してやや悪い点、FeliCa(おサイフケータイ)に対応しない点といった勝手の悪さが惜しいところ。Xiaomi 14 Ultraは販路も限られており、ドコモでも購入できるAQUOS R9 proに比べると、入手性やケースなどのアクセサリーの充実度で劣ってしまう。
AQUOS R9 proのカメラは「スペクトルセンサーを用いた自然な色表現」が利点だと感じた。それ以外では、最上位のカメラスマホながら「普段使い」にもきっちり対応できるところ、特におサイフケータイ(FeliCa)の対応が大きく、Xiaomi 14 Ultraに対して明確な強みを持つ。地味ではあるものの指紋センサーにはQualcommの「SonicMax」を採用しており、超高速認証や複数の指を用いた認証も可能だ。
ソフトウェア面でも「簡単モード」をはじめとした利用者のニーズに応える機能が多く備わる。OSのアップデート期間を明確化しているため、長く安心して利用できる点も魅力。オープンマーケットだけでなく、ドコモでも取り扱いのあるため、購入後のサポート面でAQUOS R9 proを狙うのもアリだ。
一方で、約20万円という価格設定を考えると、フラグシップよりも一段劣るSnapdragon 8s Gen 3の採用、後発ながら先行しているXiaomi 14 Ultraにカメラ性能等で後れを取ってしまった点は惜しい。発売時期の関係もあって、OPPO Find X8やnubia Z70 Ultraといった次世代機がほぼ間を空けずに登場した点も、AQUOS R9 proのようなマニア向けの機種には逆風となってしまった。
ここで価格を見ていこう。Xiaomi 14 Ultraはストレージ512GB、Photography Kit付属で価格は19万9900円。これに対しAQUOS R9 proもストレージ 512GBで19万4700円、ドコモ向けは21万1970円に設定されている。
カメラスマホとして今回真っ向勝負の2機種を選定したが、オープンマーケット向けの価格帯はほぼ同じ。こうなると悩ましい2機種だが、基本性能やカメラ性能を加味するとXiaomi 14 Ultraに軍配が上がる。
本機種のカメラ性能は、現在日本で発売されているスマートフォンの中でも5本の指に入る高いレベルにある。ライカ共同開発のカメラできれいに撮れるだけでなく、基本性能、撮影体験をはじめ「カメラスマホ」としてみたときの完成度はAQUOS R9 proを上回る。もっとも、この比較は2024年に日本国内ではIT系メディアの記者、ライターをはじめ、SNSユーザーを中心に多くの方から極めて高い評価を得たXiaomi 14 Ultraとの比較。AQUOS R9 proも単機で見た際の性能の高さ、撮影体験は他社製品よりも高いことは付け加えておく。
ライカのカメラを冠するこれら2機種は、重視するものが妥協のないカメラ性能なのか、カメラ性能を求めつつ普段使いのバランスなのかで選ぶとよさそうだ。
妥協のないカメラ性能を求めるのならXiaomi 14 Ultraを、カメラ性能を重視しつつも、FeliCa採用、各種サポート面の充実具合を含めた「普段使いしやすさ」を求めるのならAQUOS R9 proを選択するといい。
特に「Xiaomi 14 Ultraがおサイフケータイに非対応なのが惜しい」と感じた人には、近いカメラ性能を持つAQUOS R9 proはマストバイの選択になると考える。可能であれば両機種とも家電量販店などで実際に手に取ってから選択してほしい。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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