Appleが独自に開発した生成AIサービスの「Apple Intelligence」が、4月から日本語に対応する。iPhone 16シリーズは「Apple Intelligenceのために設計されたiPhone」とうたっているだけに、ついにその本領を発揮するときが来た。正式サービスの開始に先立ち、Appleは開発者向けβ版の「iOS 18.4」の配信を開始した。対象となるiPhoneにこれをインストールすれば、一足先に日本語版のApple Intelligenceを利用できるようになる。
英語では先行提供されてきたApple Intelligenceだが、日本語ではどのようなことが実現するのか。正式バージョンに先立って配信されている開発者向けβ版を使い、その実力を確かめてみた。
なお、開発者向けβ版は一般公開されているものではないため、スクリーンショットの公開が禁止されているが、本稿では、許可を得た上でこれらを使用している。また、β版のため、機能の詳細が変わる可能性がある点にもご留意いただきたい。
これまでも言語設定を切り替えれば利用できたApple Intelligenceだが、日本語を扱う機能では、直接的な恩恵を受けることができなかった。「作文ツール」は、その代表格だ。これは、文字通り生成AIを使って文章を作成したり、文章を書き直したりする機能を指す。長い文章を要約するといった使い方も可能だ。
使い方は簡単。例えばメールを開き、新規作成画面で一通り文面を書いた後、それを選択すると、メニューに「作文ツール」が表示される。ここで「プロフェッショナル」や「フレンドリー」をタップすると、文体をより専門的にしたり、カジュアルにしたりといった変更を加えることができる。下書き的にざっと文章を書くだけで、よりきちんとした文章に仕上げられるというわけだ。
また、ChatGPTとの連携で、ゼロから文章を書きあげることも可能だ。メールの新規作成画面でApple Intelligenceのアイコンをタップし、メニューの一番下にある「作文」を選択すると、ChatGPTが起動する。ここでは、「3月5日に開催される新しいスマホの発表会の案内文を書いて。時間は16時から、場所は渋谷」と指定してみた。
すると、以下の画面のような文章が自動的に生成された。細かい書き直しは必要だが、ゼロからiPhoneでこの文章を作り上げるのはなかなか骨が折れる。作文ツールを使えば、短くどのようなことを書きたいか指定するだけだ。隙間時間にメールを書き上げてしまいたいというときに、重宝する機能といえる。ChatGPTからは、このメールに追加した方がいい項目も提案される。
作文は、メールへの返信にも利用できる。届いたメールに対して即レスポンスしつつ、文章はきちんと書きたいというときに活用できそうだ。筆者の場合、メールに返信フォームが記載されている発表会の案内などを受け取ることが多々ある。この場合も、「フォームを埋める形で返信を書いて」と頼むとそのようにしてくれるので、コピペの手間が省ける。
ただし、項目内の一部はダミー的に埋められるだけなので、書き直しも必要になる。ユーザーの情報を学習できれば、より効率的に返信ができるようになるだろう。作文ツールを実際に使ってみると、物理的なキーボードがなく、長文を打つのがおっくうになってしまうiPhoneとは、特に相性がいい機能だと感じた。コミュニケーションを促進する機能という点でも、スマホ向きだ。
作文ツールは、文字を扱うさまざまなアプリから呼び出すことが可能。筆者の場合、記者会見やインタビューなどのメモを取るのにiPadの「メモ」アプリを利用しているが、その中身をザクっとまとめることもできた。あとからメモを活用する際に、要点だけをサッとつかめる。単に文章を作れるだけでなく、アプリにしっかり組み込まれているため、実用的といえる。
生成AI「Apple Intelligence」、4月初旬から日本語に対応
日本のiPhoneで「Apple Intelligence」を有効化してできること<後編>
日本のiPhoneで「Apple Intelligence」を有効化してできること<前編>
「iPhone 16e」実機レビュー カメラや処理性能、独自モデム「Apple C1」による通信品質はどうか
“魔改造”でSEの魂を受け継いだ「iPhone 16e」 不安要素は「価格」「ライバル」「対応バンド」にありCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.