Qualcomm X85は、モデムチップ内に推論に特化した演算ユニット「NPU(Neural Processing Unit)」を搭載している。これはモデムでAI(人工知能)機能を使うためだという。「モデムでAI?」と思うかもしれないが、これはAIでトラフィックパターンを分析し、デバイスでどのような「使い方」をしているかを検出した上で通信パフォーマンスの最適化を行うとのことだ。
例えば「ユーザーがゲームをプレイしている」と検出した場合、ゲームのトラフィックに高い優先度を与えて、遅延を可能な限り抑え、「Zoom/Microsoft Teamsなどのビデオ通話やOTT(アプリ)通話をしている」と検出すると、ビデオ通話/OTTアプリ通話の優先度を高めて、通話の中断/切断を抑制するといったふるまいをするという。
これにより、モバイル通信を行う際のユーザー体験(UX)が大幅に向上するとQualcommは説明する。
また、AIはモバイル通信とWi-Fi(無線LAN)の切り替え速度も改善するという。現在、この切り替えはOSが主導する形で行っているが、Qualcomm X85ではモデム側でWi-Fi信号をより早く検出し「Wi-Fiの信号強度が低下している場合はモバイル通信に切り替える」という制御を主体的に行う。これにより、アプリの通信が途切れないようにできるとのことだ。
Nokiaの5G基地局設備とQualcomm X85との組み合わせで通信速度を計測した結果。TDDとFDDを3波ずつCAで束ねて通信したところ、下りで約7.5Gbpsのスループットを達成できたとのことだQualcommブースでは、先代のSnapdragon X80を搭載するXiaomi製スマートフォン「Xiaomi 15 Pro」(日本発売未定)を使った通信パフォーマンスのデモンストレーションも行われた。
同製品では、6つのアンテナを使用して通信を行う「Qualcomm 6Rxソリューション」、地下街/エレベーター内/電車内といったあらゆる環境で利用可能な最適なネットワークに接続する「Smart Network Selection」機能により、“現行製品”でも下りの通信速度やレイテンシー(遅延)が大幅に向上することをアピールしていた。
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