Qualcommが最新5Gモデム「Qualcomm X85」を紹介 「Apple C1」をしのぐ“高性能”に自信を見せるMWC Barcelona 2025(2/3 ページ)

» 2025年03月21日 19時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

モデム内にもNPUを搭載 AIで通信を最適化

 Qualcomm X85は、モデムチップ内に推論に特化した演算ユニット「NPU(Neural Processing Unit)」を搭載している。これはモデムでAI(人工知能)機能を使うためだという。「モデムでAI?」と思うかもしれないが、これはAIでトラフィックパターンを分析し、デバイスでどのような「使い方」をしているかを検出した上で通信パフォーマンスの最適化を行うとのことだ。

 例えば「ユーザーがゲームをプレイしている」と検出した場合、ゲームのトラフィックに高い優先度を与えて、遅延を可能な限り抑え、「Zoom/Microsoft Teamsなどのビデオ通話やOTT(アプリ)通話をしている」と検出すると、ビデオ通話/OTTアプリ通話の優先度を高めて、通話の中断/切断を抑制するといったふるまいをするという。

 これにより、モバイル通信を行う際のユーザー体験(UX)が大幅に向上するとQualcommは説明する。

AI最適化 モデム内のNPUを使って稼働するAIがデバイスの通信状況を分析し、トラフィックの差配を行う機能を備えている。デモンストレーションを見る限り、効果はてきめんなようだ

 また、AIはモバイル通信とWi-Fi(無線LAN)の切り替え速度も改善するという。現在、この切り替えはOSが主導する形で行っているが、Qualcomm X85ではモデム側でWi-Fi信号をより早く検出し「Wi-Fiの信号強度が低下している場合はモバイル通信に切り替える」という制御を主体的に行う。これにより、アプリの通信が途切れないようにできるとのことだ。

ベンダーテスト Ericssonの5G基地局設備とQualcomm X85との組み合わせで通信速度を計測した結果。100MHz幅のTDD4波をCAで束ねると、下りに約6.3Gbpsのスループットが出たという
ベンダーテスト Nokiaの5G基地局設備とQualcomm X85との組み合わせで通信速度を計測した結果。TDDとFDDを3波ずつCAで束ねて通信したところ、下りで約7.5Gbpsのスループットを達成できたとのことだ
ベンダーテスト こちらはEricssonの5G基地局設備とQualcomm X85との組み合わせで上りの通信速度を計測したもの。TDDで2波CAを利用すると、約0.48Gbps(480Mbps)の速度が出たという

先代モデム搭載の「Xiaomi 15 Pro」の高速さもアピール

 Qualcommブースでは、先代のSnapdragon X80を搭載するXiaomi製スマートフォン「Xiaomi 15 Pro」(日本発売未定)を使った通信パフォーマンスのデモンストレーションも行われた。

 同製品では、6つのアンテナを使用して通信を行う「Qualcomm 6Rxソリューション」、地下街/エレベーター内/電車内といったあらゆる環境で利用可能な最適なネットワークに接続する「Smart Network Selection」機能により、“現行製品”でも下りの通信速度やレイテンシー(遅延)が大幅に向上することをアピールしていた。

6Rx Xiaomi 15 Proによる「Qualcomm 6Rxソリューション」のデモンストレーション。受信(ダウンロード)の速度が大きく改善することをアピールしている
DSDA Xiaomi 15 ProではDSDAも利用できる。DSDAを使うと、送信(アップロード)を高速化できるという

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