多くのUSB Type-C端子のイヤフォンは端子部にDAC(D/Aコンバーター)を搭載している。高コスト要因の1つだったが、このチップがなければiPhoneやPixelではUSB端子から音声出力ができないため、必須の機能となる。廉価なものはダイソーにて500円程度で販売されており、現在ではコスト圧縮も進んでいる。
この仕様のおかげか、スマートフォンに限らずPCのUSBヘッドセットとしても利用できる。変換アダプターなしでそのままUSB端子に挿して使える点はうれしい。
USB端子から直接電源を取れることを生かして、ノイズキャンセリングに対応する機種も存在する。従来の電源は乾電池式が主流で、イヤフォンには電池を収めるコントロールボックスが備えられていた。これには週に1回程度の電池交換が必要な点と物理的に重いという難点があった。
このような悩みもUSB端子から電源供給ができれば一挙に解消でき、電池残量を気にすることなく使えるようになった。また、本体からコントロールボックスも廃されたことで、軽量化や取り回しの向上も図れた。USB Type-Cになったことによる有線イヤフォンの進化がみられる好事例だ。
USB Type-Cイヤフォンは利便性だけでなく、音質強化にも新しい流れをもたらした。一部メーカーの機種には専用のアプリからイヤフォンのチューニングを変更できるものも登場した。
これはDACチップ(アンプ含む)とイヤフォン本体で音の要素が完結する1つのオーディオシステムと評価できる構成になったことで、メーカー側もより多くの環境で意図した音を出せるようになった。この考えは完全ワイヤレスイヤフォンにも通ずるところがある。
同じ方向性で従来の有線イヤフォンをスマートフォンでも高音質で楽しみたいという声には、バスパワー動作のUSB DACが応えてくれる。仕組みはイヤフォンの変換アダプターと同じだが、こちらは主に音質向上を目的とした商品で、細長いものが多いことから一般にスティック型DACともいわれる。廉価なものでは数千円単位から、上位では「iBasso DC Elite」といった7万円クラスの商品も存在する。
スマートフォンにコンパクトなアダプターを装着することで、あっという間に高音質な音楽プレイヤーへと変化する。従来のポータブルヘッドフォンアンプと比較しても軽量コンパクト、充電が不要という点で以前よりも注目されている。
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