同様に、KDDIの主力になっているUQ mobileの料金改定も、低中容量で済んでいた比較的ライトなユーザーへの影響が大きくなりそうだ。UQ mobileは、6月3日に新料金プランの「コミコミプランバリュー」と「トクトクプラン2」を新設。現行の「ミニミニプラン」「トクトクプラン」「コミコミプラン+」は、6月2日に新規受付を終了する。
コミコミプランバリューは、コミコミプラン+にPontaパスがセットになった料金プランで、サブスクぷらすポイントも適用されるが、料金は550円上がり、3828円になる。これらの特典を上手に使っていけば、“元を取る”ことはできそうだが、売りだったシンプルさは失われてしまう。ahamo対抗として誕生したコミコミプランだが、その役割を終えつつあるといえる
同様に、データ容量4GBのミニミニプランがなくなり、料金は2本立てになる。トクトクプラン2が、ミニミニプランとトクトクプランの2つを包含できるよう、データ容量の階段が変更されている一方、現行の料金プランで事足りていたユーザーにとっては値上げになる。特に影響が大きいのは、割引適用後に1078円で使えていたミニミニプラン。新料金プランでは、トクトクプラン2で5GB以下だった場合の1628円が最安になる。データ容量は1GB増えるものの、値上げ幅は550円と大きい。
UQ mobileはシンプルさや低中容量での安さを売りにしていたブランドだけに、新規獲得のペースが鈍る可能性もある。また、KDDIはUQ mobileの既存の料金も値上げすることを発表しており、詳細は追って発表される。値上げ後の金額がいくらになるのか次第だが、コストにセンシティブなユーザーが多いブランドなだけに、値上げ幅によっては他社への流出が増えてしまう可能性はありそうだ。
もっとも、KDDIもそれはある程度織り込み済みであることがうかがえる。KDDIの取締役執行役員常務 竹澤浩氏は、「au、UQ、povoの3ブランド戦略を進める上で、auとUQの役割をしっかり整理していこうと思った」と語る。UQ mobileは、「データ容量と利用状況に合わせて選択できるサブスクぷらすポイントを中心に、シンプルな形にした」と述べており、auよりも経済圏との連携は限定的ながら、通信だけのブランドではない形に位置付けを整理し直した格好だ。
竹澤氏のコメントは、低中容量で低価格のブランドを、povo 2.0に集約していく方針だと受け取れる。実際、povo 2.0では3GBのトッピングが990円で提供されており、割引なしでも990円で利用できる。また、30GBトッピング(30日間)は2780円だが、360GBトッピング(1年間)をまとめ買いすれば1カ月あたり2200円まで料金は下がる。オンライン専用ブランドは、店舗運営や端末販売のインセンティブがかからないため、構造的にコストを抑えやすい。
オンラインのahamoに対抗するのは、オンラインのpovo 2.0という方向にかじを切ったといえる。その意味では、povo 2.0に多彩な料金プランがあるからこそ、auやUQ mobileの料金プランを大胆に変更しやすい側面がある。ややあいまいだったブランドごとのすみ分けが、より明確になっていくことは間違いない。auやUQ mobileの新料金プランにフィットしないユーザーを、povo 2.0でどう巻き取っていくのかは今後の課題になっていくかもしれない。
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