もともとY!mobileは、突出した安さを追求していたわけでもない。サブブランドの主戦場ともいえる中容量帯では、「シンプル2 M」のデータ容量が6月から正式に30GBになる一方で、料金は割引なしだと4015円(税込み、以下同)かかる。この金額は割引がなく、音声通話が無料になるドコモのahamoやUQ mobileのコミコミプランバリューよりも高い。ソフトバンク光かSoftBank AirとPayPayカードがあれば2178円まで下がるが、音声通話に1回10分まで通話が無料になる「だれとでも定額+」をつけると、ahamoとほぼ横並びの3058円になる。
ahamoやコミコミプランバリューと同じく準音声通話定額が付く「シンプル2 L」は、データ容量が35GBで割引前が5115円、割引後が3278円。データ容量こそ多いが、割引後もahamoより高くなっている。いずれの料金プランも料金を抑えるには固定回線やホームルーターが必須。単体で契約しても安いahamoやコミコミプランバリューより、単身のユーザーを取り込みにくい。これらの料金を値上げして競争力が保てるかというと、そこには疑問符も付く。
同様に、楽天モバイルも代表取締役会長の三木谷氏浩史氏が、決算説明会の質問に答える形で「現段階で、大きな値上げは考えていない」と発言。現状の「Rakuten最強プラン」を維持していく方針を示した。楽天モバイルの料金は、20GB超で3278円、家族契約があれば3168円になり、他社と比べると安さが際立っている。サブブランド並みの料金で、無制限のデータ通信が使える。
一方で、同社の契約者数は3月に863万に達したところで、大手3社とはまだまだ開きがある。この段階で、無理やり値上げしてしまうと、四半期で30万回線に達している純増数を止めてしまう恐れがある。特に、楽天モバイルのユーザーはコストに敏感。1GB以下0円を廃止した際には、純減に見舞われる事態にもなっただけに、値上げに慎重なのは無理もない。
その反面、ARPUは緩やかながら上昇しており、2025年の第1四半期(1月から3月)にはデータARPUが1737円まで伸びた。楽天モバイルの料金プランは段階制を採用しているため、メイン回線として同社を選び、よりデータ通信を使うユーザーが増えていることが分かる。純増を支えている上に、ARPUも上がっているとなれば、値上げする必要性は薄い。現在、急速に成長している点は、値上げに踏み切った2社との大きな違いといえる。
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