ドコモがirumoを、UQ mobileがミニミニプランを廃止することで、脚光が当たりそうなのがMVNOだ。もともとMVNOは、小容量から中容量を主戦場にしており、サブブランドより料金は一段安いか、割引などの条件が少ない。例えば、最大手のIIJmioは「ギガプラン」の5GBが950円。家族割引を適用すると、さらに100円料金が下がる。上記の金額を実現するのに、光回線やクレジットカードは必要ない(※料金の支払いにクレジットカードは必要)。
【更新:2025年7月3日11時00分 一部、記述を追記しました。】
MVNO側も、これをチャンスと捉えていることがうかがえる。老舗MVNOの日本通信で代表取締役社長を務める福田尚久氏は、筆者のインタビュー(全文は後日掲載予定)に答える形で大手キャリアの料金値上げが「追い風になると思っている」と述べた。「料金だけでなく企業姿勢も含めて、MVNOに流れるお客さまが増えることはあっても減ることはない」とコメントしている。
大手キャリアとMVNOの価格差があるのはもちろん、料金が変わるという事実で市場が活性化する可能性もある。MVNOシェア2位のmineoを運営するオプテージのモバイル事業戦略部長 松田守弘氏は、調査会社MMD研究所が主催したイベントで、「料金を見直すときに、大手キャリアだけでなくMVNOも見てもらえれば、私たちも機会として捉えられる」とユーザーが動くことに期待を寄せる。
また、3月にメルカリモバイルでMVNOに参入したばかりのメルカリも、「よりポジショニングを取りやすくなったことは、チャンスであるとポジティブに捉えている」(Business and Marketing Director 永井美沙氏)という。3月に新規参入したメルカリモバイルだが、「今回出してみて分かったが、世間全体がより価格コンシャス、付加価値コンシャスになっている。2プランで出したが、やはり料金に対するコメントはすごく多い」(同)という。
一方で、イオンリテールのイオンモバイル商品グループ統括マネージャーの井原龍二氏は、「チャンスだと思ってはいるが、大手キャリアのユーザーは7割ぐらいの方が一度も(MNPで)乗り換えていない」とし、MVNOがユーザーの選択肢にすら挙がっていないことが課題だとした。「大手キャリアの値上げだけでMVNOに目が向くかというと、そうではない。別のアプローチで仕掛けなければいけない」というのが、井原氏の考えだ。
とはいえ、MVNOにとってチャンスであることに変わりはない。イオンモバイルでも、「店頭では(代理店として)大手キャリアを扱っているので、うまく値上げしたという告知をして横並びで販売していく」(同)という。このタイミングを生かし、大手キャリアから動かないユーザーの目をMVNOに向けさせるきっかけになるキャンペーンを展開するなど、注目を集めるための取り組みは必要になりそうだ。
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