では、スコープリーによる買収は、Nianticのゲームにとって、どんなメリットをもたらすのだろうか。分かりやすいところでいえば、スコープリーが持つ潤沢な資金力だ。
ウォルター氏は「追加のリソースを提供して、プレイヤーのために、良いものを提供できるようお手伝いをしたい。私たちのビジネスは、プレイヤーに何日も何週間も、ずっとゲームに戻ってきてもらうこと。これは素晴らしいプレイ体験を提供することで実現できる」と話す。繰り返しになるが、スコープリー自らがゲームの方針に口を出すのではなく、ゲームを強化するための支援に徹するという関係になりそうだ。
日本市場で達成したいKPI(目標)については、ポケモンGO、ピクミンブルーム、モンスターハンターNowのユーザーを拡大することだとハビエル氏は言う。また、開発チームの拡大も目標に掲げている。
「日本市場には、世界有数のタレントがいる。今後もスタジオに投資を続けて、チームを拡大していきたい。IPホルダーとの関係も深め、向こう3年、パートナーシップを拡大していきたい」(ハビエル氏)
スコープリーが買収した3タイトルは、いずれも位置情報を活用したゲーム。こうしたゲームを手に入れたことについて、ウォルター氏は「そのカテゴリーをリードしている会社と仕事ができることに喜びを感じている」と率直に語る。位置情報ゲームは外に出て遊ぶものなので、運動をしたり、似たような趣味を持ってつながったりすることにつながる。そうした副次的な効果もウォルター氏は高く評価する。
「こういうカテゴリーに入ろうとして失敗した会社も多い。世界のトップのチームと仕事ができるので、どんな体験を提供できるのかを楽しみにしている。体験を改善、拡大していきたい」(ウォルター氏)
ウォルター氏はコミュニティーが盛り上がっていることにも関心を示し、「そういう意味では10年単位で考えられる」と評価する。スコープリー自身も、ゲームを通じて意義のあるコミュニティーを形成することをミッションに掲げており、ユーザーとの接点を持つことを重んじている。これはまさに、ポケモンGOを始めとするNianticのゲームとも通じる理念であり、スコープリーが共感した部分でもある。
なお、現在のところ、Nianticの現チームと一緒に新しいゲームを開発する計画はないという。
「(新しいゲームを)並行して開発する可能性はあるし、日本のスタジオが今後、出してくるアイデアによって変わる可能性はある。ゲーム開発はチームがけん引するプロセスなので、スタジオと協力しながら考えていきたい。可能性はオープンに考えている」
このハビエル氏の言葉からも、新しい取り組みをするにしても、現在の開発チームが主体的に動けることを前提にしていることが分かる。
ちなみに、ウォルター氏、ハビエル氏、ティム氏は、Pokemon GO Fest 2025:大阪にも参加したそうだ。多数のトレーナーが集まってゲームを楽しむ様子を目の当たりにしたことで、位置情報ゲーム、ひいてはポケモンGOというゲームの大きな可能性を感じたことだろう。
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