スマホを使った「マイナ保険証」の実証実験スタート スマホ1台で保険診療が受けられる

» 2025年07月03日 12時26分 公開
[小山安博ITmedia]

 マイナンバーカードの健康保険証利用、いわゆる「マイナ保険証」をスマートフォンでも利用可能にするための実証実験が、7月1日にスタートした。2日には厚生労働大臣とデジタル大臣がデモンストレーションを行い、スマートフォン単体で病院の受付を利用できる点をアピールした。

マイナ保険証 スマートフォンを使ったマイナ保険証の実証事業を開始。写真は東京の国立病院機構東京医療センター

関東15の病院、薬局、歯科を含む診療所が実験に参加

 マイナ保険証は、マイナンバーカードを使って本人を確認し、オンライン資格確認にアクセスすることで保険資格を確認する仕組み。従来の健康保険証は本人を確認することができなかったため、他人(特に家族)の保険証を使ってしまったり、有効期限切れの健康保険証が使われたりといった問題もあった。

 さらに、医療DXの観点から、医療機関をまたいで本人にひも付いた医療データを利用するためには、厳密な本人確認が重要になる。なりすましが容易な健康保険証ではなく、顔認証による本人確認が可能なマイナ保険証を用いることで、今後の電子カルテや電子処方箋などによる医療データの活用が期待されている。

マイナ保険証 マイナ保険証リーダー。これはUSEN-ALMEX製。右にあるのがスマートフォン用のカードリーダー

 6月24日から、マイナンバーカードの機能をiPhoneに搭載することが可能になった。これまで、Androidにはスマホ用電子証明書搭載サービスが提供されていたが、「iPhoneのマイナンバーカード」が利用可能になったことで、国内のスマートフォンの多くで電子証明書が利用可能になった。

 この電子証明書によってマイナ保険証と同じことができるため、厚生労働省は7月1日に、一部医療機関を対象にスマートフォンを使ったマイナ保険証のテストを開始した。関東15の病院、薬局、歯科を含む診療所が実験に参加しており、スマートフォンにマイナンバーカード機能を搭載した人なら誰でも、該当する医療機関でスマートフォンのマイナ保険証を利用できる。

マイナ保険証 iPhoneでのマイナ保険証を試す平将明デジタル大臣
マイナ保険証 デモンストレーションを行う福岡資麿厚生労働大臣

iPhoneとAndroidで利用可能 使い方はコンビニ交付サービスと同じ

 使い方は以下の通り。まず、受付のマイナ保険証リーダーの画面にある「スマートフォンを利用」をタッチして、iPhoneかAndroidを選択。iPhoneの場合はAppleウォレットからマイナンバーカードを呼び出してFace IDまたはTouch IDの生体認証を実行し、リーダーにタッチする。Androidの場合、マイナ保険証リーダーが暗証番号入力画面になるので、あらかじめ設定してあるスマートフォン用の利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁の数字)を入力して、カードリーダーにスマートフォンをかざすと認証される。

マイナ保険証 Androidスマートフォンの場合は、スマホ用利用者証明用電子証明書の暗証番号入力が必要
マイナ保険証 Androidスマートフォンはウォレットの起動は不要で、カードリーダーに置けば自動的に電子証明書が読み込まれる

 その後は、通常のマイナ保険証と同じく、「過去の医療情報等の提供」の同意画面になり、必要に応じて「全て同意する」「個別に同意する」を選択すれば終了となる。

 使い方はコンビニ交付サービスの場合と同じで、iPhoneは生体認証での本人確認ができるのに対して、Androidは暗証番号入力が必要になる点が異なるものの、スマートフォンだけで保険証利用ができる。健康保険証や資格確認証、マイナンバーカードといった物理カードを持ち歩かなくても、病院や薬局で保険診療が受けられるようになるのがメリットだ。

 もちろん、現状はほとんど使える医療機関がないため、まだ持ち歩きは必要になるが、行きつけの医療機関が対応して、キャッシュレス決済もサポートしているなら、普段の通院はスマートフォンだけということも可能になって利便性が向上する。

9月以降、準備が整った医療機関から順次対応を開始

 iPhoneのマイナンバーカードは、開始後約1週間となる6月30日の時点で約66万5000人が設定。Androidのスマホ用電子証明書は、5月時点でマイナ保険証に必要な利用者証明用電子証明書が30万6269件(署名用電子証明書は29万8448件)のアクティブ数となっており、これら設定済みの人は、そのままマイナ保険証として利用可能になる。

 今回の実証実験は、7月1〜18日、8月4〜15日の2回にわたって行われ、問題がなければ、9月以降は準備が整った医療機関から順次対応を開始する。基本的にはオンライン資格確認端末(PC)でスマートフォン対応を設定するだけだが、マイナ保険証リーダーがスマートフォンの読み取りを想定していないため、別途外付けカードリーダーをオンライン資格確認端末に接続する必要がある。

 カードリーダーは一般的な市販品で利用可能だが、厚生労働省では、病院には3台、薬局、診療所には1台ずつの購入補助を8月にも用意する。リーダー自体が高額ではないため、数千円程度の補助になる見込み。基本的にはリーダーを接続してスマートフォン対応をオンにするだけで使えるようになる見込み。

 厚生労働省によれば、既存のマイナ保険証リーダーでも、例えばキヤノン製の端末は機器の構造上、大型スマートフォンも設置できるため、外付けリーダーを使わなくてもそのままスマートフォン対応ができるという。こうした準備が済んだ医療機関から、順次スマートフォン対応していく予定だ。

マイナ保険証 マイナ保険証リーダーは市場に5機種が存在。手前はパナソニック製、その左隣がキヤノン製
マイナ保険証 マイナンバーカードを差し込む形のキヤノン製端末
マイナ保険証 このへこみの部分にスマートフォンを設置できるため、構造上は大型スマートフォンでも読み取りが可能だという

 現在、マイナ保険証の利用率は29.3%(5月末時点)。1カ月のオンライン資格確認利用件数が2億3000万件程度で、そのうちの6800万弱がマイナ保険証、残る1億6000万件強が従来型の保険証利用となっている。厚生労働省ではこの割合を増やすことを目標としており、スマートフォン対応で利便性が向上することから、この利用率の向上に期待を寄せる。

 デモでは、福岡資麿厚生労働大臣、平将明デジタル大臣がいずれも自分自身のiPhoneを使ってマイナ保険証を体験し、スムーズに受付ができた点をアピールしていた。

マイナ保険証 福岡厚労相
マイナ保険証 平デジタル相

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