「冷やし中華なんてこれだけで……」 なぜミツカンはSNSで炎上したのか 味の素“冷凍ギョーザ”の成功事例との差は(1/2 ページ)

» 2025年08月25日 08時00分 公開
[鈴木朋子ITmedia]

 大手食品メーカーのミツカンが、8月13日にX公式アカウント(@mizkan_official)行った投稿について謝罪をしています。該当ポストは「冷やし中華なんてこれだけでも充分美味しいです。」(原文ママ)という本文と共に、同社商品の「冷やし中華のつゆ」と、つゆがかけられているだけの具材がない冷やし中華の画像が添えられていました。

photo 炎上したミツカンのポスト(現在は削除済み)

 「不快な思いをさせてしまった」(同社)として、そのポストは削除されています。実際、ポストには多数の批判コメントがつき、「冷やし中華なんて具材があってこそ」「商品パッケージも具なしにすればいい」「主婦の努力をばかにしている」などの意見がありました。

 恐らくミツカンは「具材を用意しなくてもこのおいしいつゆがあれば大丈夫」という趣旨で投稿したのでしょう。素直にそう受け止めた人々は、このポストがなぜ炎上に至ったのか理解に苦しみ、炎上理由を分析する投稿も続出しました。

 改めて、ミツカンのポストはなぜ炎上し、謝罪に至ったのでしょうか。振り返ってみます。

投稿のタイミングが主婦の心に火をつけた

 本件は、複数の要因が重なったことで炎上につながりましたが、炎上のもっとも大きな理由は「投稿のタイミング」によるものだと考えます。

 ミツカンが問題の投稿を行った5日ほど前から、Xでは家事の負担の大きさについて論争が起こっていました。発端は「家事はちょろい」とするポストで、一人暮らしの家事と、家族に対する家事の違いについてなどが議論されていました。

 ちょうど家事の負担が増大する夏休み中の論戦であり、1日3食の食事を用意する主婦たちは、この発言を見逃せなかったのでしょう。お盆前で多数のユーザーに可処分時間が多かったことも拍車が掛けたのか、白熱した議論になっていました。

 やがて議題は「そうめん」に変化してきました。家族に「簡単にそうめんでいいよ」といわれることについて、主に女性たちが怒りを表明し始めたのです。

 そうめんは夏の定番メニューですが、夏の暑いさなかにたっぷりのお湯を沸かしてゆでなければなりません。イメージよりも作る側の負担が大きい献立の代表例とも言えます。

 「そうめんなんて簡単だ」とするポストに対し、「そうめんを作るのも重労働だ」「"でいい"という言葉が良くない」「そうめんだけというわけにはいかない。付け合わせも必要だ」などの意見が挙がり、しまいには「そうめんに付け合わせがないなんて育ちが悪い」という話に発展していきました。

 そんな熱い議論が交わされる中、ミツカンが「冷やし中華なんてこれだけでも充分美味しいです。」と具材がない冷やし中華のポストを行ったというわけです。

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