Nothing Japanが、フラグシップスマートフォン「Nothing Phone (3)」を8月28日に発売する。
Nothing Phoneといえば、背面のLEDが光る「Glyphインタフェース」が象徴的で、ホーム画面にもアイコンが見やすく並ぶ独自のUI(ユーザーインタフェース)を採用してきた。しかし、Phone (3)は従来のNothing Phoneからガラリと印象を変えてきた。
一目で変化が分かるのが背面だ。Glyphインタフェースというコンセプト自体は残っているが、Phone (3)では「見せ方」を変え、新たに「Glyphマトリックス」という仕掛けを用意した。LEDで光らせるギミックはなくなり、今回は右上の円の中に設けた489個のマイクロLEDがドットで表示される。
Glyphマトリックスは小さなサブディスプレイのように機能し、時刻やバッテリー残量、音量などが表示される。ストップウォッチとしても使える他、アウトカメラが起動した際に被写体を写すこともできる。ドットなのでカメラのファインダーとしてはかなり粗いが、構図の確認はできる。また、今後のアップデートで発信者の名前や番号も表示されるようになる。
面白いのが、「スピン・ザ・ボトル」というゲームも用意していること。これをオンにすると、画面上のボトルが回転して止まり、ルーレットのように使える。例えば複数人がテーブルに座っている状態でボトルを回し、ビンの先を示した人がゲームを進行する、飲み物をおごる、といった用途で活躍する。Nothingはこれを「Glyphトイ」と呼んでおり、Glyphトイを開発するためのパブリックSDKを、nothing.communityで公開している。今後、一般ユーザーが開発したさまざまなGlyphトイを追加できることが期待される。
Glyphマトリックスは、背面に設けた丸形のタッチパネルを押し込むと表示され、単押しで機能切り替え、長押しで機能を利用開始できる。タッチパネルは感圧式で、ある程度ぐっと押し込まないと反応しないので、誤作動は防止できそう。またNothing担当者によると、従来のLEDが光るタイプではなくなりドット表示になったことで、バッテリーへの負担も減るそうだ。
Nothing Japan代表の黒住吉郎氏は、Phone (3)のデザインについて「美しさ、アイデンティティー、個性を持たせ、使うことでユーザーがクリエイティブになれるようにデザインを設計した」と語る。
幾何学的な模様の背面には、横に3マスずつグリッドが並んでいるかと思えば、段によってはグリッドのラインがなくなっている。スクエアなグリッドと曲線が融合しているが、黒住氏によると、これは「フレキシブル基板のレイアウトに基づいている」という。左右非対称になっているのも特徴で、ふぞろいな印象を受ける。カメラの横や、Glyphマトリックスの操作ボタン下にはボタン風のパーツがあるが、いずれも機能はない。
Glyphマトリックスを含めたこの背面は、Phone (3)の大きなアイデンティティーとなっている。あえて規則性のないデザインにしたことで「動きが生まれ、人とコミュニケーションを始める」と黒住氏。こうした考えをNothingでは「テクニカルウォームス」と呼んでおり、「人間のような温かさがあるデザイン」「呼吸や鼓動をもった行動的なデザイン」を目指している。
スマートフォンが成熟化する一方で、黒住氏は「どのプロダクトも似たり寄ったり、だんだんつまらないものになっていった」と指摘する。また、黒住氏はスマートフォンに依存するライフスタイルにも警鐘を鳴らす。「人々がずっと画面を見てタッチばかりしている。スマホはいつのまにかSNSを見るためのマシンになり、多くの人がネガティブな情報に翻弄(ほんろう)されている。本来とは逆に、テクノロジーが与えるべき積極性、創造性を失いつつあるのかもしれない」と同氏。
「テクノロジーは楽しく、可能性に満ちあふれている」ことが本来あるべき姿であり、「テクノロジーが再びワクワクするものになり、もっと想像力を刺激するようになったら」と考えてNothingの製品を開発してきた。そんな同社のスマートフォンは「10m離れたところからも分かる」ことが特徴。ソフトウェアにもデザイン志向を持ち込み、独自色を強めた。
もちろん単なる色物ではなく、ユーザーの意見も重視する。その象徴がコミュニティーであり、Nothingではコミュニティーのメンバーとともに製品開発を続けている。「8000人以上のコミュニティーメンバーがNothingの株主でもあり、コミュニティーメンバーの代表は、われわれの取締役会にも出席してもらっている」(黒住氏)
ユーザーへの調査では、デザインでNothingを選んでいる人が「ダントツで1位」だという。
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