一方で、本体の価格が高いとユーザーは手にしてくれない。Phone (3)の価格(税込み)は、12GB+256GBモデルが12万4800円、16GB+512GBモデルが13万9800円だ。
スマートフォン本体の価格が高いかどうかの1つの基準に「10万円を超えるかどうか」があると考えるが、Phone (3)はそのラインを超えている。シャープやFCNTなど、10万円を切るハイエンドスマホを出すメーカーも出てきている中で、この点は不利にならないのか。
黒住氏は、12万〜13万円台という金額は「いい線を行っている」との所感を示す。「大体17万円がハイエンドスマホという世界がある中で、Phone (3)ではメタルを使い、4カメラ全て5000万画素で、5000mAhを超えるバッテリーを積んでいるなど、スペックを横並びで見ると、けっこう高いところにいるのでは」とみる。
シャープやFCNTとは「競争軸が違う」との見方で、Nothingがライバル視するPixelやiPhoneと比べると、10万円台前半のフラグシップモデルは確かに「いい線を行っている」ともいえる。そしてくしくも、Phone (3)の発売日はPixel 10やPixel 10 Proと同じ8月28日だ。
その価格面で大きな後押しとなるのが、楽天モバイルの扱いだ。Phone (3)は国内キャリアでは楽天モバイルが独占販売する。ここまではPhone (3a)やCMF Phone 2 Proと同じだが、Phone (3)に関しては、MVNOも扱わない。もう1つ異例なのは、Phone (3a)やCMF Phone 2 Proで扱う楽天モバイルショップは一部の店舗に限られていたが、Phone (3)では楽天モバイルショップの“全店舗”で扱うこと。
Phone (3)と同日に楽天モバイルが発売するPixel 10とPixel 10 Proは、オンライン限定。楽天モバイルがPixel 10シリーズよりもPhone (3)の販売を重視している、と見ることもできる。しかも、Phone (3)は現行のAndroidスマートフォンではPixelシリーズにしか適用していない残価設定型の購入プログラム「楽天モバイル買い替え超トクプログラム」の対象としており、MNPで購入すると、1〜24回までは月1250円(2年間3万円)からの支払いで済む。
8月20日の発表会では、楽天モバイル 代表取締役 共同CEO兼CTOのシャラッド・スリオアストーア氏が登壇し、Phone (3a)の発売後、「20〜30代からポジティブな声をいただいている」と手応えを話す。Nothingの製品が若年層を取り込む呼び水になっているようだ。早期に1000万契約を達成したい楽天モバイルにとって、Nothingのスマートフォンが大きな武器になると考えていることが分かる。
Nothing CEOのカール・ペイ氏も、「デザインやAIを活用したユーザー体験により、若い人が関心を持ってくれている」と話す。実際、日本におけるNothingのユーザーは46%が31歳以下だという。若年層をいかに取り込むかは、多くの通信事業者が課題としており、MNOやMVNOなどへの販路拡大にもつながりそうだ。
Nothingのスマートフォンにおける全世界のマーケットシェアはわずか0.2%だが、黒住氏は「われわれにとっては可能性だと思っている」と前向きに捉える。少なくとも国内でシェアを拡大する上で、楽天モバイルとのパートナーシップが大きな後押しになることは間違いないだろう。
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