Nothing Japanは8月20日、フラグシップスマートフォン「Nothing Phone (3)」を日本向けに発表した。8月20日に予約を開始し、8月28日に発売する。
公式通販サイトNothing.techでは12GB+256GBモデルを12万4800円(税込み、以下同)、16GB+512GBモデルを13万9800円で販売する。
この機種は楽天モバイルと連携して拡販を狙う。Nothing Japanマネージングディレクターの黒住吉郎氏は、「Phone (3a)から一部のショップで展開していたが、今回は取扱店舗を増やして展開する」と述べた。Nothing.techでも端末単体で購入できるが、その他のチャネルは楽天モバイルの専売となり、MVNO向けや家電量販店での販売は行わない。
あわせて、ブランド初となるオーバーイヤー型のヘッドフォン「Nothing Headphone(1)」も発表した。
Phone (3)の最大の特徴は、背面右上に配置された円形のGlyph Matrix(グリフマトリックス)だ。489個のマイクロLEDが独立して発光し、アプリアイコンやタイマー、ストップウォッチなどを表示する。従来のGlyph Interfaceが光のストライプで通知を表現していたのに対し、より詳細な情報を伝えられるようになった。
背面には専用のGlyphボタンを配置した。押すとメニューをトグルで切り替え、長押しで選択して各機能を起動する。実用的な機能として、バッテリー残量をLEDの点灯数で視覚的に表示したり、アウトカメラで自撮りする際にGlyph Matrixにプレビューを表示したりできる。
「Glyph Toy」と呼ばれるミニゲーム機能も搭載した。ボトル回しゲームでは、画面をタッチすると円形のLEDがルーレットのように回転し、誰が支払うかを決められる。じゃんけんゲームも用意されており、ちょっとした遊び心を演出する。SDK(開発者向けキット)を公開してコミュニティーが独自のアプリを開発できる環境も整備し、既にコミュニティーメンバーと共同開発した「8ボール」と「レベラー」という2つのゲームが付属する。
黒住氏は従来のGlyph Interfaceについて「10人中8人が毎日使っている。デザインだけでなく情報として活用されている」と説明する。今回のGlyph Matrixへの進化により、光のストライプから円形ディスプレイへと表現力が大幅に向上し、より濃密な情報を伝えられるようになったという。
プロセッサにはSnapdragon 8s Gen 4を採用した。最上位のSnapdragon 8 Eliteではなく、準ハイエンド級のチップを選択した理由について黒住氏は「2〜3年後も最適に動作することを考えた。価格と性能のバランスを重視した」と説明する。
前世代と比較してCPU処理速度とGPU性能が向上しただけでなく、電力効率も改善された。画像処理能力も強化されており、QualcommのAIエンジンと統合することで、カメラ機能やAI機能の処理を効率的に実行できる。黒住氏は「最高スペックだけがフラグシップの定義ではない。表現したいものを表現するプロダクトに最適なチップを選んだ」と強調した。
Phone (3)は日本モデルのみおサイフケータイに対応した。グローバル版とはハードウェアが異なり、FeliCaチップを別途搭載している。IP68の防塵(じん)・防水性能も備え、日本市場のニーズに応えた仕様となった。
ディスプレイは6.77型のフレキシブルAMOLEDパネルで、最大輝度4500ニトを実現した。前モデルの1600ニトから大幅に向上し、屋外での視認性が改善された。ベゼル幅は1.87mmまで縮小し、4辺が均等な幅で統一された端正なデザインを採用している。
カメラは4つ全てが5000万画素センサーで統一された。メインカメラは1/1.3型の大型センサーを搭載し、F1.68の明るいレンズを採用。Phone (2)と比較して44%多くの光を取り込めるようになり、暗所撮影性能が大幅に向上した。35mm(1.5倍)と48mm(2倍)のロスレスズームにも対応する。
望遠カメラはペリスコープ構造で光学3倍ズーム、ロスレス6倍ズーム、AI超解像60倍ズームに対応する。7枚のレンズで構成されたペリスコープカメラは、広大な風景から微細なクローズアップまで幅広い撮影シーンに対応。10センチまで寄れるマクロ撮影も可能だ。超広角カメラは114度の視野角を持ち、風景撮影に適している。
前面の50メガピクセルカメラは、Vlog撮影などに最適化されている。
TrueLens Engine 4.0は、Snapdragon 8s Gen 4のISPとAIエンジンを活用し、Phone (2)よりも125%高速に写真を処理可能という。全カメラで4K/60fps動画撮影が可能になり、Ultra XDRビデオシステムにも対応した。
バッテリーは5150mAhで、負極にシリコンカーボンを採用したリチウムイオン電池だ。一般的なグラファイト負極のリチウムイオン電池と比較して膨張率が低く、同じ体積でより多くの容量を確保できる。65W急速充電に対応し、19分で80%まで充電可能だ。
ワイヤレス充電やリバースワイヤレス充電にも対応しており、イヤフォンなどの小物を充電できる。
Phone (3)には、AI機能「Essential Space」の正式版が搭載される。Essential Spaceは「第二のメモリー」として機能し、気になるコンテンツやアイデアを保存して自動的に整理する。本体右側面の専用「Essential Key」を1回押すと画面をキャプチャー、長押しで音声メモを録音してテキスト化、2回押しでEssential Spaceにアクセスできる。
Essential Spaceの新機能「フリップして録音」は、端末を裏返してEssential Keyを長押しすると録音が開始され、会議の内容を自動で要約してアクションポイントを提案する。録音中は背面の赤いライトが点滅し、Glyph Matrixに波形が表示される仕組みだ。
保存したコンテンツはAIが自動的にカタログ化し、音声の文字起こし、画像の説明、ユーザーに合った提案や要約を生成する。全てのデータはデバイスに安全に保存され、クラウドで処理された場合は暗号化されてタスク完了後に自動削除される。黒住氏によると、Essential Spaceはβ版の段階で「5人に1人が毎週活用していた」という。
ホーム画面には「Essential 検索」も追加された。画面下からスワイプすると検索バーが表示され、AIを活用してUIから離れることなく回答を得られる。Web検索のエンジンはGoogleやDuckDuckGoなどから選べるが、今後はよりパーソナライズされた情報や提案を表示できるよう進化させる計画だという。
Phone (3)の主な仕様は以下の通り。プロセッサはSnapdragon 8s Gen 4、メモリとストレージは12GB・256GBまたは16GB・512GB。ディスプレイは6.77型有機EL(1260×2800ピクセル、460ppi)で、リフレッシュレート120Hzに対応する。
カメラは背面に5000万画素広角(F1.68、1/1.3型センサー)、5000万画素超広角(114度)、5000万画素望遠(光学3倍、ペリスコープ)、前面に5000万画素インカメラを搭載。バッテリーは5159mAhで、65W有線充電、15Wワイヤレス充電に対応する。
5G対応で、nanoSIM×2またはnanoSIM+eSIMのデュアルSIM構成。FeliCa(おサイフケータイ)に対応する。防水防塵(じん)はIP68。
OSはAndroid 15ベースのNothing OS 3.5を搭載し、2025年秋にAndroid 16ベースのNothing OS 4.0にアップデートされる予定だ。5年間のOSアップデート保証と7年間のセキュリティアップデートを提供し、長期的なサポートを約束している。
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