GoogleがPixel 10シリーズのフォルダブルスマートフォンとして、10月9日に発売した「Google Pixel 10 Pro Fold」は、先代の「Google Pixel 9 Pro Fold」の後継機に相当し、同社の折りたたみスマートフォンとしては事実上3世代目となる。
本機は、折りたたみスマートフォンとして初めて防塵(じん)性能を備え、バッテリー容量を増量したことで30時間以上の駆動時間をうたうなど、実用性やユーザーのニーズを強く意識した仕様だ。本稿では、そんなPixel 10 Pro Foldを約1週間利用して感じた点(本音)についてまとめる。
まず実感したのは、「やはり手軽に小型タブレットを持ち歩ける感覚」である。これは、とある取材先で強く感じたことだ。使わないときはコンパクトに折りたたんでポケットにしまい、必要なときだけ小型タブレットに近いサイズ(8型のインナーディスプレイ)に展開できる様は、まさに「トランスフォーマー」をほうふつとさせる仕様だ。
また、土地勘のない不慣れな場所へ行く際にGoogle マップでバスの時刻やルートを確認することは多いが、本機であれば画面の左側にバス停と停車予定時刻、右側にはバス路線の地図を同時に表示できて極めて便利である。一般的なスマートフォンでは、これほどの大画面は望めない。仮に画面分割機能があったとしても、1つ1つの表示は小さく見づらくなってしまうだろう。分割した状態でもなお、通常のスマートフォンより大きな画面で複数の情報を閲覧できるというメリットを、改めて実感した。
もちろん、こうした大画面の利便性はサムスン電子製の「Galaxy Z Fold6」「Galaxy Z Fold7」など、国内で販売されている他の折りたたみスマートフォンでも同様に体験できる。しかし、Pixel 10 Pro Foldは本体の四辺が丸みを帯びているため持ちやすく、手のひらに角が当たって「痛くて持てない」と感じるようなことはない。
防水・防塵性能についても、先代モデルより安心感が増している。取材当日が大雨だった際に、その恩恵を感じる機会があった。バスで移動中に地図を確認していたところ、傘から滴った水滴が本体に付着してしまったのである。普段利用しない駅からバスに乗るという状況だったため、ずぶぬれになることは避けられたものの、不意に水に触れる場面であった。
ぬれてしまった本体を確認したが、動作に全く問題はなかった。もちろん、取材会場に到着後、すぐにUSB Type-Cポートに水が入らないようタオルで拭き取ったが、多少の水ぬれを気にせずに済むのは心強い。ただし、誤解のないように付け加えると、海水や泥水などが内部に侵入するような過酷な環境での使用は、公式に保証されているわけではない。そのため、そうした状況での使用はユーザー自身が避けるべきだろう。
防塵に関しても、本機は大きな進化を遂げている。折りたたみスマートフォンは可動部が多い複雑な構造上、防塵性能を確保することが難しいとされてきた。事実、先代機はIPX8の防水のみで防塵には非対応であったし、競合のGalaxy Z Fold7も防塵はIP4X等級であり、1mm以上の固形物しか防ぐことができない。そのため、細かい砂のあるビーチなどに持ち込むことは故障のリスクを伴う。
それに対して、Pixel 10 Pro Foldは最高の防塵防水等級であるIP68に準拠し、粉じんの侵入を防ぐ。これにより、ヒンジの隙間に細かな砂が入り込んで開閉不能になるといった、折りたたみスマートフォンにありがちな不安が大幅に軽減された。すぐにビーチへ持ち出す予定はないものの、日常的にポケットの中などで付着するホコリに対して、これまでのように神経質になる必要はなくなった。
実際に取材中の約1時間半、洋服のポケットに入れておいたが、取り出した際にホコリが原因で動作に支障が出ることは一切なかった。ただし、どんな粉じんにも耐えられるワケではないので過信は禁物だ。
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