Googleは折りたたみスマートフォンの新型「Google Pixel 10 Pro Fold」を発表した。Google ストアにおける販売価格は26万7500円(税込み)からとなっている。予約販売は8月21日に開始し、10月9日に発売する。
Pixel 10 Pro Fold は、耐久性と性能が向上したGoogleの折りたたみスマートフォン。Pixelブランドを冠する折りたたみスマートフォンとしては、本モデルで3モデル目となる。Googleの最新のAIを複数のディスプレイで使え、Proモデルのストレートタイプ「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」よりも利便性を追求している。
ベゼル幅は歴代のFoldよりも狭くなっており、より大きなアウトディスプレイの搭載に成功した。背面には航空宇宙機や宇宙船の製造に使用されるアルミニウム合金を使用し、新しいギアレスヒンジとあいまって高級感を演出している。
ヒンジの耐久性はPixel 9 Pro比で2倍に向上した。内部のスーパーアクチュアディスプレイ(インナーディスプレイ)は、弾力性のある極薄ガラスと2層の耐衝撃フィルムで再設計されており、落下に対する保護が強化されているそうだ。
これらのアップデートにより、Pixel 10 Pro Foldは「10年以上の折りたたみ動作に耐えられる」という。
サイズは折りたたんだ状態が76.3(幅)×155.2(高さ)×10.8(厚さ)mm、開いた状態が150.4(幅)×155.2(高さ)×5.2(厚さ)mm、重量は258gだ。
ディスプレイは、カバー(外側)が6.4型(1080×2364ピクセル)、インナー(内側)が8型スーパーアクチュアフレックスで、どちらも有機ELを採用している。最大輝度はカバーが2000ニト、インナーが1800ニトで、ピーク輝度はどちらも3000ニトだ。
IP68等級の防塵(じん)・防水性能を有している点も見逃せない。Google Pixel プロダクトマネジメント シニアディレクター ピーター・プルナスキー氏は「(Pixel 10 Pro Foldと)同じ等級の防塵・防水性能を取得している折りたたみスマートフォンは他にない」と自信を見せる。
バッテリー容量は折りたたみスマートフォンとしてはこれまでで最大の5015mAhとなっており、30W充電器を使用すると30分で50%に達する。また、折りたたみスマートフォンとしては初めてQi2規格に対応し、マグネットにより位置合わせをせずにワイヤレス充電器に本体を装着できる。
「過去モデルと比べた場合の薄型化」については、進化点として大々的にはアピールされていない。薄型化には、ぱっと見で分かる進化点や、ポケットへの入れやすさなどのメリットはあるが、Pixel 10 Pro Foldは「それ以上にユーザーに妥協のない品質を維持する」ことに重きを置いている。それは「耐久性向上とバッテリー寿命」だ。プルナスキー氏は、IP68の防塵・防水性能に対応させ、5015mAhのバッテリーを搭載することと薄型化は一致しないとの考えを示し、「これがベストなフォルダブルだと考えている」と述べた。
AI機能を含むPixelの心臓部といえるプロセッサには「Tensor G5」を採用し、メモリ容量は16GBとなっている。特筆すべきは大画面PixelのPixel 10 Pro Foldに最適化された全てのAI機能を利用できる点にある。
Tensor G5はより深いレベルでカスタマイズされており、機械学習とAIの最新の進化に対応するように設計されている。Tensor G5は台湾TSMCの最新3nmプロセスで設計されており、2桁のパフォーマンス向上を実現している。これにより、質の高いAI体験をより効率的に提供できる他、スクロール、Webサイトの閲覧、アプリの起動といった日常的な操作がよりスムーズに行える。
さらに、Google傘下のAI研究開発部門のGoogle DeepMindとの協力によって開発されたTensor G5は、最新のGeminiネイティブモデルを実行できるチップでもあり、Pixel 10シリーズ発売時点で20以上の生成AI機能を利用可能になる。
前述したTensor G5とオンデバイスで動作する軽量の大規模言語モデル「Gemini Nano」を活用し、リアルタイムで処理を行う新機能の「マジックサジェスト」は、先回りして文脈に応じた提案を提示し、アプリ間を行き来する手間を簡素化できる。例えば、友達からのメッセージでレストランの予約詳細について尋ねられた場合、Gmailを参照して返信を提案したり、電話アプリで予約詳細を表示したりできる。
通話にもTensor G5を活用する。「通話中に互いの声をリアルタイムで翻訳する」新機能だ。Googleは、ロボットのような機械的な音声ではなく、本人の声に生成した音声で翻訳されるため、まるで自分の声で話しているかのような、より自然なコミュニケーションが可能になるとアピールする。
なお、Proモデルのユーザーは、推論により複雑な問題を解決できるAIモデルのGemini 2.5 Proやノートの要点を音声やテキストで整理するNotebookLMなど複数のAI機能が使える有料プラン「Google AI Pro」を6カ月間利用できる。NotebookLMとレコーダーアプリの連携も進化点で、録音した音声データをNotebookLMに直接読み込ませ、要約の作成依頼が可能になった。
個人情報の保護に欠かせない「Titan M2」セキュリティチップと継続的なソフトウェアアップデートもPixel 10 Pro Foldの強みだ。Googleが特に強調するのが、着信時にユーザーに代わって応答する通話の自動スクリーニング、アプリを横断したマルウェアからの保護、そして追加費用なしで利用できるVPN機能などだ。
アウトカメラは4800万画素の広角カメラ(絞り値はF1.70、画角は82度、1/2型のイメージセンサー)、1050万画素のウルトラワイドカメラ(絞り値はF2.2、画角は127度、1/3.4型のイメージセンサー)、1080万画素の望遠カメラ(絞り値はF3.1、画角は23度、1/3.2インチのイメージセンサー)を組み合わせたトリプル構成だ。高解像度を保ったまま自撮り写真を撮影したり、マクロフォーカス機能で被写体をクローズアップしたり、超解像ズーム機能で最大20倍までズームインしたりと、質のいい写真を撮影できるという。
インナーディスプレイ側とカバーディスプレイ側のカメラのカメラはともに1000万画素(絞り値はF2.2、画角は87度)の単眼となる。
カメラに関しても新機能がある。例えば、「カメラコーチ」はGeminiモデルを活用し、より良いフレーミングや構図をガイドする。写っているものをカメラとAIが認識し、カメラコーチがいくつかの撮影シーンの候補を提案する。この機能はPixel 10シリーズでプレビュー版として提供される。
Googleが2024年に「Pixel 9」シリーズと発表した「一緒に写る」もアップデート。最新のPixel 10シリーズでは、集合写真の撮影を認識すると、「オートベストテイク」という機能が起動する。数秒間で最大150枚の画像を解析し、写っている一人一人が最高の表情をしている瞬間を探し出すため、高品質なグループ写真を意図も簡単に撮影できる。
UIは最新のPixel UIである「Material 3 Expressive」となっており、通知をスワイプして消したり、音量スライダーを操作したりする際に、自然で弾むようなアニメーションや、満足感のあるハプティック(触覚)フィードバックが加わった他、Uber Eatsなどの進捗通知を一目で確認できる「Live Updates」機能が導入される。
折りたたみスマートフォンの真骨頂は、ユーザーがAI機能を直感的かつ効率的に活用できる点にある。Pixel 10 Pro Foldでは、撮影したばかりの写真をビューファインダーのすぐ横に表示することで最適なショットを確認しやすくなる「インスタントビュー」や、画面分割時に「ドラッグ&ドロップ」でメディアやファイルを異なるアプリ間で簡単に移動できるなど、Pixel 10 Pro Fold限定の使い勝手となっている。
プリインストールOSはAndroid 16で、OSとセキュリティを向上させるPixel Dropのアップデートが7年間提供される。
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