Googleの最新フラグシップスマートフォン「Pixel 10 Pro」シリーズは、国内価格が17万4900円から、大画面のPixel 10 Pro XLが19万2900円からと、iPhoneのProシリーズやSnapdragon 8 Elite搭載の最上位Androidと並ぶハイエンドスマホだ。
一方で、実際に使ってみると、特にゲーム性能で高価格帯に見合わない部分があることが分かってきた。今回は実機を用いてその理由を解明していきたい。
Pixel 10シリーズの心臓部には3nmプロセスで製造された新型SoC「Tensor G5」を搭載。CPUとAI処理を担うTPU性能が強化され、写真のHDR合成や夜景撮影、リアルタイム翻訳など、AIを生かした体験が大幅に向上している。
これまでPixelは、カメラ性能やAI機能で他社をリードしてきた。最新モデルのPixel 10 Proでは画面輝度向上やマグネット式のワイヤレス充電に対応。Gemini nanoを本体にビルドインし、より進化したリアルタイム翻訳やカメラコーチ機能も追加。スペックだけを見れば「万能な17万円のスマホ」に見える。
しかし実際に使ってみると、ゲーム体験だけは別物だった。価格帯的に当然クリアしていてほしい“最低限のゲーミング性能”を満たしていなかったのだ。
今回はPixel 10 Proを用い、人気の高負荷タイトル「原神」と「崩壊スターレイル」に加え、利用者も多い日常的な位置情報ゲームの代表格である「Pokemon GO(ポケモンGO)」を実際にプレイした。
実際に遊んでみると、原神は高画質 60fps設定でもわずか15分で30fps前後まで急落した。マップを駆け回る序盤こそ最高画質でも50fps前後を保っていたが、10分もすると30fps以下まで一気に低下。
複数のエフェクトが重なる戦闘では操作と画面の反応がわずかにずれる。元素爆発(必殺技)といった高負荷なシーンが重なる場面では、端末がフリーズするような挙動も何度か見られた。
さらに、本体は遊び始めてから十数分でバッテリー温度は40℃台後半に到達し、手で持つとディスプレイや背面パネル越しに熱をはっきり感じる。
崩壊スターレイルは前世代より明らかに不安定と感じた。Pixel 9では高画質設定でも40〜45fpsを維持できた同条件下で、Pixel 10 Proは30fpsを割り込むシーンが頻発した。戦闘シーンでは明らかに動作が重たい場面があり、この部分だけはミッドレンジスマートフォンと大差ない動作感にまでパフォーマンスが低下。こちらも発熱が多く、原神以上に動作が不安定なことがうかがえた。
最後に比較的軽量な位置情報ゲームであるポケモンGOも検証した。フィールドを30分ほど歩いてプレイしたところ、体感温度は一気に上がり、背面は40℃台半ばに上がった。
発熱による制御もあってか、ポケストップを回す動作、モンスターボールを投げる操作には引っ掛かりも見受けられた。快適に遊べる時間は他の同価格帯スマホよりも短い。
通常、ポケモンGOはSnapdragon 8系を採用するAndroidスマートフォンや上位モデルのiPhone(Pro)であれば、発熱しても動作に引っ掛かりは起きにくい。それだけに、Pixel 10 Proが軽めのタイトルでも明確な温度上昇と処理落ちを示したことは、冷却性能の低さや電力効率の弱さを裏付けている。
これらの挙動は、5年前のハイエンドスマホに相当するレベルであり、Pixel 9シリーズはおろか、2023年のPixel 8シリーズにも劣る動作感といえる。Pixel 10 Proは2025年に17万円という価格を考えれば、到底受け入れられるパフォーマンスではない。
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