こうした事業者同士の連携を強化していくことで、年度内に開始される予定の「非常時事業者間ローミング」をスムーズに運用できるようになる可能性もある。同サービスの詳細な開始日はまだアナウンスされていないが、現状の制度検討や開発、周知体制などはおおむねスケジュール通りに進んでいるため、遅くとも2026年3月にはサービスが始まる。次の検討に進むタイミングが、近づいてきているといえる。
総務省では非常時事業者間ローミングの検討が大詰めを迎えている。サービス開始は、年度末を予定する。画像は、「情報通信審議会 情報通信技術分科会 IPネットワーク設備委員会 非常時における事業者間ローミング等に関する検討作業班(第6回)」に提出された「非常時における事業者間ローミング等に関する検討作業班報告(案)概要」から抜粋(以下同)NTTの倉内氏は、「(この取り組みは)ローミングのためにやっているわけではない」と前置きしつつ、「ローミングをやっていく中では事業者間がしっかり連携して、どういうところで、どこのローミングをするかの密な連携が必要になる」と語る。「災害対策メンバーがそれを活用できるよう、連携方法や仕組みも含めて検討していくのが次に考えていくこと」(同)だ。
特に災害時には、基地局が倒壊や停電などで停止する一方、被災地から離れた場所で通信を制御するコアネットワークには影響がないことが多い。そのため、国際ローミングや楽天モバイルとKDDIのローミングに近いフルローミング方式が適用されるケースもあり、災害対策としての期待も高い。倉内氏が、「ローミングは来年度(2026年度)からの大きなポイントになる」と述べていたのは、そのためだ。
事業間ローミングは、現在、サービス名称が「JAPANローミング」に決まり、その方式が「フルローミング」と「緊急通報のみ」の2つに定められた。その発動条件や実際の運用フロー、ユーザーへの周知方法、さらには端末の設定方法や実際の接続方法など、さまざまな要素が固まりつつある。
中でも運用フローについては、キャリア同士が災害などによって事前に発動が予想される場合に備え、連絡体制の事前構築を行う必要性が指摘されている。事業者間ローミングは、発動要件の確認や、依頼書の作成、さらにはネットワークの設定などで、実際に開始されるまでには数時間を要する。
この時間を短縮するためには、事業者間連携や事前の共同訓練などが必要になる。また、端末によっては設定の変更などを行わなければならないが、避難所での協力体制をその周知に生かしていくこともできそうだ。事業者同士の連携体制を強化してきたことが、事業者間ローミングのスムーズな導入の一助になることを期待したい。
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