一方で、こうしたホワイトレーベル的なサービスは、MVNOや大手キャリアの一部も提供しており、競合は多い。起業家の堀江貴文氏を全面に打ち出した「HORIE MOBILE」を手掛けるエックスモバイルも、企業やインフルエンサーなどとのコラボレーションに主軸を定めている。企業、個人を問わず、話題性の高いブランドと提携することで注目を集めている。
ドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルのブランドで提供する「マジモバ」も、エックスモバイルを活用。当初は堀江氏のような、名前の立った個人が多かったが、徐々に企業と協業した「○○モバイル」を増やしている。
同社の場合、ミークモバイルのように料金プランを固定しているのではなく、ブランドごとに料金体系が異なる。例えばIT関連に強い堀江氏のHORIE MOBILEなら20GBプランと5分かけ放題をセットにした料金プランが主力だが、マジモバは3GBの「驚安プラン」や、10GB、20GB、50GBの「最驚プラン」を選択できるなど、ユーザー層に合わせて細かなカスタマイズをしているのが特徴。より、小回りを利かせて差別化を図っている。
老舗MVNOで、MVNOトップシェアのIIJも、IIJmioを他社ブランドで提供する事業を展開している。もともと、ビックカメラで販売するサービスには「BIC SIM」という名称を付けていたが、2025年4月には日本航空とタッグを組んだ「JALモバイル」をスタート。JALのマイレージサービスと連携することで、ユーザー数を伸ばしている。このサービスも、マイレージというJALの経済圏を補強するためのいち手段だ。
ミークモバイルとの違いは、IIJ自身もIIJmioとして直接ユーザーに通信サービスを提供していることだろう。エックスモバイルも、自社ブランドの料金プランはあるが、IIJmioの場合、他社に提供しているものも「ギガプラン」がベースになっている。
逆に、DMMモバイルPlusのように、企業側がモバイル用のブランドを立ち上げ、その下で回線を選べるようにするサービスも登場している。DMMモバイルPlusの通信回線側を手掛けるのは、IIJとKDDI Digital Lifeのpovo2.0だ。経済圏を強固にするという点では、幅広いユーザーに合わせた料金プランがあった方がいい。ホワイトレーベル型であれば、複数社と連携することでDMMモバイルPlusのように選択肢を用意できる。
こうした既存のサービスに、ミークモバイルがどこまで割って入れるかは未知数だ。ただ、小林氏によると、「既に提案している企業はある」といい、ゴーサインが出ればすぐでもサービスを開始できるという。もともと、MVNEとして支援の実績が豊富なミークが手掛けているだけに、伸びる可能性は十分ある。各社が本腰を入れ始めたことで、今後、「○○モバイル」のようなサービスはさらに増えそうだ。
非通信事業者の格安SIM参入を支援する「ミークモバイル」誕生 最短3カ月で開発、あらゆる経済圏でモバイルを
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