さらに、国内キャリアの公式サイト内の製品名表記にも変化が見られた。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式ページでは、既に「Samsung Galaxy Z Fold7」「Samsung Galaxy Z Flip7」といった表記が採用されている。以前は「Galaxy Z Fold」や「Galaxy Z Flip」とだけ記載されていたが、最新モデルからはSamsungの社名が正式に付与された形だ。サムスン電子ジャパン広報によると、これも「Samsung Galaxy」の認知向上のための取り組みであり、キャリア側の登録名も近年変更されたという。メーカーとキャリアが足並みをそろえてブランド統一を進めていることがうかがえる。
NTTドコモにおける「Samsung Galaxy Z Fold7」の製品ページ。製品名はGalaxy Z Fold7だが、その手前にメーカー名のSamsungが含まれている(出典:NTTドコモ内のGalaxy Z Fold7製品サイト)興味深いのは、Galaxy公式サイト内での表記が少し異なる点だ。Galaxyの日本公式サイトでは、製品名は「Galaxy Z Fold7」「Galaxy S24 Ultra」など、Samsungの社名を含まない。これについてサムスン電子ジャパン広報は、「弊社ロゴ規定によりWebサイト内では既に会社ロゴが左上に表示されているため、製品名には重複記載を避けている」と説明する。つまり、サイトデザイン上の理由によるもので、Samsungを省いているわけではないという。サイト訪問者がページを開いた瞬間、画面左上に「Samsung」のロゴが視認できる構成なら、ブランドとしての一貫性は保たれるという考え方だ。
こうして見ていくと、日本市場におけるGalaxyブランドの変遷は、サムスンがいかにして自社ブランドと製品ブランドのバランスを取ってきたかを示す好例といえる。初期にはSamsungという企業名よりもGalaxyという製品ブランドを浸透させることを優先し、その結果、スマートフォン市場で確固たる地位を築いた。だが一定の認知を得た今、あらためてグローバルブランドとしての統一性を重視し、企業名を前面に出す方針へと転換している。
スマートフォン市場は成熟期に入り、製品スペックだけでは差別化が難しくなっている。そこで重要になるのが、企業ブランドとしての信頼や一貫性だ。Appleが「iPhone」を軸にブランド力を確立しているように、サムスンもSamsung Galaxyという統一した表記のもとで、企業と製品の両面から信頼を築こうとしている。その転換点に立っているのが、まさに現在の日本市場であり、Galaxy S23シリーズ以降の展開はその象徴といえる。
ロゴの一文字、表記の順番、その全てに意図がある。かつてGALAXYと全て大文字で表記されていた時代から、Samsung Galaxyへと変化していった推移を振り返ると、自社ブランドをどう育て、どう伝えるかという試行錯誤が伝わってくる。デザインの変化にとどまらず、企業の姿勢と市場戦略を映し出す鏡のような存在が、いまのGalaxyなのかもしれない。
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